70年前の沈船を見て

5月の前半はずっと南の島にいました。滞在してたのは“ミクロネシア連邦”のチューク州(トラック諸島)と、グアムです。

第二次世界大戦(てか、太平洋戦争、もしくは 大東亜戦争)において、このあたりは南方戦線と呼ばれていました。 → グーグル“南方戦線”の画像検索結果


数多くの日本兵が、餓死や自決で命を失った悲惨な戦争現場でもあり、天皇陛下も節目の年には慰霊に行かれています。
・ 2005年 6月 サイパン ←戦後 60年
・ 2015年 4月 パラオ(ペリリュー島) ←戦後 70年


下記の地図では、赤の小さなマークがパラオ、青がサイパン、黄色が(私の行った)チュークです。グアムはサイパンのやや南東。


サイパンの“バンザイクリフ”と呼ばれる海に面した絶壁の崖からは、“敵の呼びかけに応じて投降するなどという生き恥をさらしてはならない”と教えられていた( or 集団心理的に強制された)多くの日本兵が、

「天皇陛下 万歳!」と叫びながら次々と身を投げ、海には数え切れないほどの遺体が浮かんだといわれています。

南方戦線の悲惨さを象徴する場所ですが、若い人達が「天皇陛下万歳!」と叫んで海に飛び込んだ崖で、慰霊のために祈られる陛下のお気持ちはいかばかりだったことでしょう。


★★★


海&ビーチ好きの私は、日本(沖縄)に加え、世界あちこちの海に出かけているわけですが、今回の訪問地では、楽しみにしている珊瑚とお魚を観ることに加え、もうひとつ海の中で観たいモノがありました。

それは今から 70年前に、南方戦線で沈められた日本の軍艦など艦船です。


今回訪れたチューク州には当時、大日本帝国海軍の大きな拠点があり、戦艦武蔵や戦艦大和も寄港していました。このため、この海域には撃沈された数十隻もの船が今も海中に残っています。


下記は今回、私が撮影したもので、五星丸という海軍の運搬船。魚雷にやられて沈没したといわれています。


驚愕でしょ?


下記では左側が船首。船体にはぎっしりと珊瑚が付着し、数多くの魚が舞うように泳いでいて、あまりの幻想的な光景に、潜った瞬間、息を呑みました。



海に潜ってこんなものがあったら驚くよね。。。



使用カメラはコレ(正確には、ひとつ前のモデル)。ケース不要で、このまま海に持って入れ、使用後は水道水で洗うだけで O K ! という優れもの。




現地ガイドの方によると、沈んでいる船は全部で 80隻にも上り、その大半が日本の軍艦や運搬船、作業船とのこと(いくつか、アメリカの船も沈んでます)。

うち 40隻ほどは、今でもダイビングをすれば見ることができ、浅いエリアに沈んでいる何隻かは、スノーケルでも見ることができます。


今年は戦後 70年。


ちきりんブログでは、いつも秋に行っているツイッター上のソーシャルブックリーディングを、今年(注:今年=2015年)は 8月の上旬 6日から 9日あたりに行います。

課題本については戦争に関するフィクション、ノンフィクションを含め、複数冊、できるだけ早めに指定したいと思っています。

変な人が寄ってきがちという理由で、こういうセンシティブなテーマを取り上げることには今まで躊躇していたのですが、

海に沈んだ船を見たことで(言うまでもなく、沈んだのは船だけではありません。多くの人間もまた、一緒に沈んでいったのです)、

「今年はやっぱりこのテーマでやろう」と決めました。


これを機に、あの戦争って何だったのか、自分も考えてみたいという方。ぜひ一緒に本を読みましょう。


そんじゃーね!


今の「ちきりん」の価値観を形成しているのは間違いなく、若い頃の「旅」でした。20代、30代の時、ちきりんが旅先で何を見て、何を感じ、何を考えたのか。下記の本でどうぞお楽しみください。
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