ラオス旅行記 日常生活編

先々日先日に引き続き、ラオス旅行のガイド、Tさんとの会話です。

昨日は政治と歴史の話でちょっと重かったので、今日は経済や文化の話。



<フランスの植民地だったインドシナはどこも、フランスパン+アジア具材のサンドイッチがメチャ旨>


ちきりん 「自動車のナンバープレートの色が違うけど・・・」

Tさん 「黄色は個人の車、白は企業の車、青が外交官や政治家で、赤が警察や軍の関係車です」

ちきりん 「黄色いプレートも多いですね。みんなどうやって車を買うお金を手に入れるの?」

Tさん 「ラオス人は土地持ちだから、土地を売って車や家電を買い、生活費として使います。

たとえば、ビエンチャンの川沿いの土地なら一平米 1000ドル以上、街中でも 300ドルくらいするけれど、田舎の土地は、一平米 1ドルくらいで買えるんです。

ところがそういう田舎の土地でも、日本からの援助で近くに道路が作られるとすぐに一平米 20ドルとか 50ドルに跳ね上がります。

田舎には土地がいくらでもあるので、そういう土地を売れば車が買えるようになるんです」


ちきりん 「じゃあ、近くに道路ができるという情報は貴重だよね?」

Tさん 「はい。だからその情報を先に手に入れて、田舎の土地を安く買い占める人もいます」

ちきりん 「あー、それは日本語では田中角栄メソッドっていいます。・・・・あわわ、それ、メモしなくていいから!

道路だけじゃ無くて、工業団地とか、政府が再開発する土地も値上がりする?」

Tさん 「大規模な工業団地などの開発が行われる場合は、土地は政府に接収され、遠くにある他の土地と交換されてしまいます」

ちきりん 「そういうところは社会主義的だね!」

Tさん 「ラオス式社会主義です」



<一部のお寺は本堂内も撮影可能>


ちきりん 「お札のケタが大きいですよね。インフレがすごかったのかな」

Tさん 「以前はそうでした。昔はローンの仕組みも無く、車も家も現金で買う必要があったんですが、インフレのせいで必要なお札の量がすごいんです。

だから家を買う時には、大量の現金を何個ものズダ袋に詰め込み、親戚や友達の車も借り、何台もの車やバイクにお金を積んで取引場所に向かいました」

ちきりん 「それ、あたしも昔ミャンマーで見たけど・・・・数えるのが大変だよね」



<卵がピンク!>


ちきりん 「携帯やスマホが普及し始めたのはいつ頃? 子供は何歳くらいからスマホを持ちますか?」

Tさん 「 5,6年前から急速に普及しました。それに伴い、パソコンを使う人が減っています。

大人達は、自分がスマホを使えなくても、15,16歳くらいになった子供にスマホを与え、彼らが使いこなしてから教えてもらっています」

ちきりん 「よく使われる SNS は?」

Tさん 「Facebook, LINE, セルフィ、WhatsApp かな。あと、スマホゲームで遊ぶ人が多い」

ちきりん 「ブログって知ってる?」

Tさん 「知りません」

ちきりん 「えー。そーなの?  ががががーん!」

Tさん 「なんですか?」

ちきりん 「いえ、別に。 じゃ、youtube は? テレビとどっちが人気?」

Tさん 「youtube はよく見られてますが、テレビには及びません。家ではみんなよくテレビを見ます」

ちきりん 「テレビとスマホは、どっちが高いですか?」

Tさん 「テレビです」

ちきりん 「Tさんもスマホを 2台持ってるみたいですけど、私用と仕事用ですか?」

Tさん 「いえ、ひとつの通信会社だけでは、ラオス全土をカバーできておらず、ある地域ではこっちの電波だけが入る、別の地域だとこっちだけつながる、みたいなことが多いから、ビジネスパーソンはスマホを 2台持つ人が多いです」



ちきりん 「ラオスは、自然災害はなにかある?」

Tさん 「ラオスには地震も台風も無いです。台風と呼ばれることもあるけど、ちょっとした強風と大雨に過ぎません。

地震に至っては、ラオス人の多くは「あれは嘘だ。あんなことが起こるはずが無い」と思っています。地面が揺れるなんて、にわかには信じがたいです」

ちきりん 「Tさんも信じてないの?」

Tさん 「あたまでは信じています」



ちきりん 「テレビでタイの放送が流れてますけど、タイからの文化的な影響はある?」

Tさん 「おカマ文化が入ってきました」



<ラオスとタイを結ぶ橋。メコン河にかかる>


ちきりん 「一般の人でも、タイに行くのは簡単?」

Tさん 「簡単です。個人の車でも行けるし、バスや電車もあります。メコン河の橋を渡るのは 10分ほどです」

ちきりん 「タイには何しにいくの?」

Tさん 「買いものに行きます。ラオスでは大半の商品がタイから輸入されているので、タイのほうが種類も豊富だし、ちょっとだけ安いです。

あとは病院に行きます。ラオスにはいい病院も医師もいないので、大きな病気をするとタイの病院にいきます。

お金持ちの場合は週末に飛行機でバンコクまでいって、日本料理を食べたり、アメリカの新しい映画を見て帰ってくるというような遊びもします」



<タイとラオスを結ぶ橋の上は電車も走ります。最初は 5両編成でしたが、10分で橋を渡り終える電車なのに出発が 2時間遅れたりするため誰も乗らなくなり、1両ずつ減って今は 2両編成になってしまった>


ちきりん 「ラオスにも中国からの観光客はたくさんきますか?」

Tさん 「先週は中国の旧正月だったので、ものすごい数の人がきました。ラオスだけでなく、ラオス、カンボジア、ベトナムなどを1週間くらいかけて回ります。

この期間はラオスでもホテルが足りなくなり、予約せずに旅行するバックパッカーはゲストハウスにも泊まれず、道ばたで寝たりしてました」

ちきりん 「日本でも同じことが起こってます・・・」

Tさん 「中国人観光客に関しては、北京オリンピックの前後で劇的にマナーが良くなりました。

以前は、ところかまわず喉を鳴らして道にツバを吐く人がいましたが、オリンピックの後はほとんどいなくなった。これから中国人観光客のマナーも、どんどんよくなると思います」



ちきりん 「ラオスでの結婚年齢と子供の数は?」

Tさん 「僕の父の世代だと 10人兄弟だけど、大人になるまで生きてるのは 2人とか 3人でした。今でも田舎だと 20歳までに結婚し、6,7人の子供を産みます。

都会の人は家も狭いので、子供は 2,3人でいいと思ってます。学校に進む人が増えたので晩婚化も起こっていて、今は 25歳くらいで結婚するのが平均的です」



<ラオスのカフェラテアート!>


滞在6日目、ラオスのことが少しずつ分かってきましたね。


「ブログ」が知られてなくてショックでしたけど・・・考えられる理由は、
1)パソコンの普及率が極めて低いままスマホが普及した地域では、ブログは使われない
2)多くの人が日常的に本や新聞、雑誌を読む(長い文章を読む)という文化的な習慣が未発達な国では、ブログを書く人も読む人も少ない、
ということなのでしょう。


今まで考えたこともなかったけど、「ブログ」って先進国でしか流行らないプラットフォームなのかも。



そんじゃーね。


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