なんであたしは選挙に行くのか

次の日曜日は参議院選挙、東京都は 7月末に都知事選もあります。

10日は旅行から戻ってくる日だし、都知事選の日もイベントがあるのでスケジュール的にはドタバタしてるのだけど、それでも選挙には行く予定。


てか、今回に限らず私は選挙にはできるだけ行くようにしてる。

最近は「選挙なんていかなくていいよ、行っても何も変わらないから意味無いよ」的な意見も多く、それはそれでいいと思うけど、

そんな中「なんであたしは選挙に行くんだろう?」ってのを考えてみました。

すると、もし私が男に生まれてたら、ここまで「選挙? もちろん行くよ!」って感じにはなってなかったかもと思った次第。


みんな知ってると思うけど、日本で女性が選挙権を得られたのは、1945年、つまり戦後なんです。

しかもこれって、当時、日本を占領していた GHQ =アメリカ様が「女性にも一票を与えなあかんよ」と言ってくれたから実現しただけで、

もし日本が戦争に勝ってたら、もっとずっと最近まで、女性に選挙権が与えられることはなかったかもしれない。


今は「保育園が足りない!」とお母さんたちが騒ぐと、政治家は右往左往するし国会でも議論が行われる。

これだって女性も選挙権を持ってるからであって、

もし男性にしか選挙権がなかったら「子供は女が家で育てればよろしい。以上」みたいな一言で終わりにされかねない。

もしもあの戦争に日本が勝ってて、日本のオヤジが挫折することなく自信満々に好き勝手やれる社会が続いていたら、「日本で女性に投票権が与えられたのは 1980年代になってから」だった可能性さえある。


実際、「就職時に男女差別をしてはいけません」という法律は、1986年までできてない。

それまではほぼ全ての企業が合法的に「男子のみ」の募集をしてました。

しかも、この法律ができたのだって女子差別撤廃条約に批准するためで、「この条約を批准できないなんて、先進国としてさすがに恥ずかしすぎるよね?」という状況に追い込まれたからなんだよね。

つまり 1980年代になってでえ、日本のオヤジが「男と女を平等に扱おう」と考え、自主的に法律を変えたわけじゃないんです。


そう思うと、「ようやくもらえた選挙権なんだから、ちゃんと使っとかなくちゃ」と思います。

だって女性の投票率が低くなり、「ほら、やっぱ女性に選挙権なんて与える必要は無かっただろ?」なんて言われたくない。


★★★


そして実はこれ、男性も同じなんです。

サムライの時代が終わり、明治維新が起こって日本で初めて選挙制度が作られた時、選挙権があるのは、「 25才以上の日本男子・ただし金持ちだけ」だった。

男性かつ納税額が一定額以上の人にのみ選挙権を与えるという制度だったから、投票する権利をもってるのは人口の数パーセントに過ぎなかった。

つまり、貧乏人には選挙権はなかったわけ。


でもね、

当時だって日清戦争だ日露戦争だといって、男子はみんな戦争に行かされてた。

納税額が低い人も含め、日本男子であればみんな兵隊として戦地に送り出された。

それなのに、そういう戦争をすると決めた政府に対して「ノー!」というための一票を、大半の「稼ぎの少ない男子」は持ってなかった。

「おまえなんかたいした額の税金も納めてないんだから、選挙権なんてなくて当たり前だよ。さっさと戦争に行ってこい!」って言われてたわけです・・・それって、


ありえなくない?


★★★


女に教育なんて要らんと公言され、
今よりずっと女性の生き方が制限されていた時代に、
「嫁の腹は借り腹」(=嫁は、我が家の跡継ぎを生ませるための道具に過ぎない)とか言われ、男児が産めないと問答無用に離縁された時代に、

女性参政権のために人生を捧げて活動をしてくれた先輩達のおかげで、先週、私にも投票券が送られてきた。


あたしが選挙に行く理由?

どんな時代に生まれても、あたしには社会運動なんてできない。活動家なんかには絶対なれない。

でも、次の世代の女性が日本のオヤジから「ほらな。女性に投票権なんて渡しても、誰も選挙にいかないだろ。ネコに小判なんだよ」って言われる原因のひとりにだけはなりたくない。

そんなことしたら次の世代の女性に申し訳ない。
そんなことしたら前の世代の女性に申し訳ない。

だから、あたしは選挙に行く。


そんじゃーね。