紙版とデジタル版を比較してみた

大型タブレットの iPad pro 12.9 と、月400円(税別)で多数の雑誌が読める dマガジンサービスの相性がすばらしいよーという話を 前に書きました。

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なんだけど、紙の雑誌が電子書籍として dマガジンにアップロードされる際、一部、カットされてしまう記事もあるんです。

私には気になるレベルでもないのですが、2016年段階の状況について記録を残すという意味もあり、ちょっと調べてみました。サンプルは先週の週刊文春。7月14日号です。



その結果を、記事のタイプ毎にまとめてみました。最初は記事ではなく企業広告から。

<企業広告ページ>

掲載状況 場所など ページ数
× 巻頭カラー 3
× カラー 3
× 白黒 1
× 後半カラー 3

→ 計 10ページ 掲載率 0%


紙の文春に載ってる広告は、デジタル版には掲載されてません。ページ全体がこんな感じで、差し替えられてます。


記事ページに埋め込まれた広告も、下記のようにグレー表示に。


ただし例外があって、週刊文春を発行している文藝春秋の本の広告だけはそのまま載ってます。


次。文春と言えばスキャンダル系のスクープ記事ですよね。

<告発・スキャンダル系の記事>

掲載状況 ターゲット 見出し ページ数
三菱東京UFJ銀行 不適切融資 銀座クラブたかり接待 6
小池百合子 政治資金が怪しい 3
高島礼子 リアル極妻 半世紀 3
マークス(AV タレント派遣会社) 人気AV女優 実名告発 4
荻上チキ 一夫二妻 生活 2
政治&経済界の人(THIS WEEK) 3面記事的な複数短記事 3
芸能人(ワイド特集) 短い芸能ゴシップ記事の集まり 5

→ 計 26ページ 掲載率 100%

さすが文春。ひとつの号だけでもこんなに多いんですね。

三菱 UFJ 銀行のスキャンダルから高島礼子さんの夫の不倫(浮気?)& 覚醒剤逮捕や 元 AV女優の方の告発記事まで、これ系統の記事はすべてデジタルにも載ってました。写真もそのまま。


<特集記事>

掲載状況 記事名 ページ数
イスラム国は日本人を狙っている 3
がん名医が警鐘 こんな手術は断りなさい 4

→ 計 7ページ 掲載率 100%

特集記事もすべて掲載


<連載>

掲載状況 連載名 ページ数
新 家の履歴書 4
トイレ探検隊がゆく 4
× この人に会いたい(阿川佐和子) 5

→ 計 13ページ 掲載率 61%

すべて長く続く文春の定番連載なんですが、なーんと、阿川さんのインタビュー連載が載ってませんでした。


この連載から出来た下記の本、ミリオンセラーらしいですから、簡単には読ませたくないってことでしょうか?

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<コラムやエッセイ>

掲載状況 著者 コラム名 ページ数
夜更けのなわとび 林真理子 2
鷲田康 野球の言葉額 1
辻野晃一郎 ビジネス進化論 1
飯島勲 激辛インテリジェンス 1
いまなんつった? 宮藤官九郎 1
近田春男 考えるヒット 1
みうらじゅん 人生エロエロ 1
町田智浩 言霊 USA 2
土田賢二 ツチヤの口車 1
尾木ママ 言わせていただくわ 1
辛酸なめこ ヨコモレ通信 1
宮崎哲弥 時々砲弾 1
× 池上彰 そこからですか!? 2
× 小林信彦 本音を申せば 2
× 伊集院静 悩むが花 2
× 池澤夏樹 私の読書日記 2
× 福岡伸一 パンタレイ パングロス 1
× 平松洋子 この味 1
× 山藤章二 手脳階段 1

→ 計 19本 掲載率 71%
→ 計 25ページ 掲載率 56%


ここが一番、非掲載が多いカテゴリーです。本数では 7割載ってますが、ページ数だと半分強。

著者の意向で決まってるんだとしたら、誰が「デジタル嫌い」なのかよくわかりますね。

有名コラムだから載ってないというわけではなく、林真理子さんのエッセイは掲載されてます。

でも池上彰さんのは非掲載。これも後で本にしたいから? 誰か次の特番の時、池上さんに突っ込んでみてください。


<写真記事>

掲載状況 企画名 ページ数
原色美女図鑑(巻頭グラビア) 5
CATCH UP(巻頭の写真記事 政治経済系) 7
CATCH UP(巻末の写真記事 カルチャー系) 8
食堂見聞録(カラー) 2
私の取り寄せ便(カラー) 1
企画名不明 今回は「アラスカのレインフォレスト」 4

→ 計 27ページ 掲載率 100%

写真記事はすべて掲載されており、デジタルで見ても本当にキレイです。

ただし FLASH に載ってたグラビア嬢の Tバックの“おしり”には、グレーのシャドーが乗っけてありました。。。


<漫画>

掲載状況 漫画家名 漫画名 ページ数
東海林さだお タンマ君 2
益田みり 沢村さん家のこんな毎日 2
桜玉吉 日々我人間 0.5

→ 計 4.5ページ 掲載率 100%


<小説>

掲載状況 著者 タイトル ページ数
川村源樹 四月になれば彼女は 4
× 百田尚樹 幻庵 5

→ 計 2本 9ページ 掲載率ほぼ 50%

ここも分かれました。著者の判断なのでしょう。下記は掲載されてない百田さんの小説。当然、これも後から書籍化されるはず。


<文化コラム・投稿コラム>

掲載状況 コラム名 内容 ページ数
新聞不信 新聞紙の社説や記事の批判 1
食味探検隊 飲食店の紹介記事 1
テレビ健康診断 テレビ番組に関するエッセイ 1
Cinema Chart 2本の映画批評 1
木曜邦画劇場 映画の紹介 1
Close up ドラマや俳優の紹介? 1
この人のスケジュール表 有名人の近況 1
ぶらり我が街 大人の散歩 名所や街の紹介 1
川柳のらりくらり 川柳の投稿ページ 1
読者より 読者からのお便り 1
てこずるパズル 週ごとにいろんなパズル 1
文春図書館 書籍の紹介 5
× 文春図書館 書籍の紹介 1
× 淑女の雑誌から 他誌に投稿されたエッチ話 1

→ 計 20ページ 掲載率 80%


ほぼ載ってるんですけど、文春図書館のうち下記ページだけがデジタル版から抜けてるのが、なんとも不思議でした。なんでなんだろ?


あと、これも載ってません。文春名物の「淑女の雑誌から」・・・

他の雑誌からの転載なので許可がとれないのか、青少年への配慮で載せないのか。理由が気になるところです。


★★★


以上、紙の文春は広告を含めて約 150ページですが、dマガジン登録のデジタル版は 125ページほど。記事分だけで 23ページくらい少なめです。

時事系の記事やスクープ記事などはすべて載っているし、おもしろいコラムもかなりの数(読み切れないほど)載ってます。

「阿川佐和子さんや池上彰さんなど、特定の人のエッセイやコラムを読みたい、それを読むためなら、月に 1600円以上 (一冊 400円× 4回)を払ってもいい!」

って人は紙の週刊誌を買う必要がありますが、あたしみたいな適当な読者にとっては、これくらい掲載されてたら十分かな。


ところで、youtube にアップされている音楽には、事務所やアーティストが公式にアップしているモノと、いわゆる“違法アップロード”があります。

一部の事務所は違法動画をしっかり監視しており、かなりこまめに削除しています。

それはアーティストの権利を守るために当然の行為だとも思う一方、 youtube で聴けないと、そのアーティストや曲が初めてのファンに発見される機会を失ってしまいそう、とも思います。



(dマガジンのトップページ ホントにいろいろ読めてお得)


今回、週刊文春のデジタル版と紙版を比べてみて、同じコトを思いました。

非掲載のコラムやエッセイの中には、確かにパワフルなものも多くあります。固有のファンがついていて、「このコラムがあるから文春を買う」という人もいるんでしょう。

でもね、dマガジンのようなサービスの価値は「いつもは読まない雑誌を読んでもらう機会を広く提供する」という点にもあります。


私も dマガジン を利用するようになって、初めて読んだ雑誌がたくさんあるし、それによって初めて知ったタレントさんやコラムニストもいます。

それらがもしデジタル版に載ってなければ、私はその存在を知ることさえありませんでした。


週刊文春は一時期、紙でもよく読んでいた雑誌なので「あー、あのコラムが載ってないのね」ってわかるけど、初めて読む雑誌の場合、dマガジンに載ってない記事やコラムは、私にとって「存在しないコラム」となってしまいます。

こういうの、書籍でも同じことが起こってるんじゃないでしょうか。

既に「電子書籍で発売されていない書籍は、存在しないも同然」みたいに思えている人もいるのでは? 私も今は「キンドル版のない本はブログでは紹介しない」と決めてしまってるしね。

というわけで、こういうご時世、著者の判断もなかなか難しいよねと思った次第。



(dマガジンのトップページ)


なお上記で行ったのは、紙の週刊文春と、dマガジンという雑誌読み放題サービスに登録されているデジタル版の比較です。

下記のように「週刊文春デジタル版」として単独で発売されているデジタル版はまた別物です。

ちなみにこの号は紙で買うと 400円、下記のキンドル版だと 350円、dマガジンだとあれこれ様々な雑誌が読めて432円です。

ただし単独のキンドル版を買えばずっと端末に保存しておけますが、dマガジンで読めるのは直近の 2号のみで、長く保存はできません。

下記も買って比べようかと思ったけど、もはや力尽きたので、それは興味ある人に任せます。

週刊文春 7月14日号[雑誌]
文藝春秋 (2016-07-07)
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経済誌や女性誌、ファッション誌など、他の雑誌でやってみてもおもしろいと思うので、人生の時間が余ってる方は是非。


 そんじゃーね!

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