皇位継承問題より公務負担問題

第一回 日本人としての必読書
第二回 皇位継承に男女平等を持ち込むのは変でしょ

先日、「皇位継承に男女平等なんて持ち込まないで!」と書きましたが、その前に、基本的なことから。たとえば女性天皇と女系天皇の違いについて。

前者は文字通り、女性が天皇になることで、こちらは歴史上、事例があります。詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
→ 歴代の女性天皇について

人数は少なくありませんが、みな男系の女性天皇で、かつ、みな寡婦か独身です。


男系というのは、父親をたどれば必ず天皇に行き着くってことです。

反対に女系天皇というのは、一度は母親をさかのぼらないと天皇の血筋にたどり着けない。

なお、男系でもあり女系でもあるという天皇は OK。女系だからダメという話ではなく、男系であれば OKなので。


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女系天皇と女性天皇の違いをさらにわかりやすく言えば、愛子様が天皇になられたら、男系(女性)天皇、愛子様の息子が天皇になられたら、それは女系(男性)天皇です。

上記の資料にあるように、歴史上存在する女性天皇は全員、寡婦か独身でした。それが(天皇になる)条件だったのか、単なる偶然かはわかりませんが、

女性天皇が子供を産み、その子が天皇になると(たとえ息子であったとしても)その子は「女系」天皇となってしまうので、それを避けるためだったのかもしれません。


ここで!

小泉首相時代に女性・女系天皇容認論が高まった時、秋篠宮家が 12年ぶりのご懐妊を発表された、って話を思い出しましょう。

このご懐妊には、女性・女系天皇が安易に容認されてしまう危機を避けたいという秋篠宮様のご意思があったのでは?と私は推測してます。

同様に、もし国民が皇室典範を変えて女性を天皇にしてしまうと、天皇となったその女性は「自分は結婚しない」もしくは「子供を作らない」というご決断をされる可能性があります。

だって自分が息子を産んでしまったら、その子が次の天皇になるかもしれない。

自分の息子が「歴史上、初めての女系天皇」となる=自分の結婚・出産が原因で 1500年も続いた天皇家の男系血筋が途絶えてしまう。

そんなこと、絶対にしてはならない。そのためには、自分は子供を生むべきではない。結婚すべきじゃない。

そう考えられても不思議じゃなくない?


世の中には「愛子様も眞子様、佳子様もかわいいし、しっかりしてる。誰が天皇になってもいいわ」とか思ってる人がいるかもしれませんが、

女性が天皇になったら、その人は家庭を持つこと、子供をもつことを( 1500年の伝統を守るために)諦めるという判断をされるかもしれないのです。

それとも女性皇族の方が、「1500年の伝統が私の代で途絶えてもぜんぜん問題ないわー」って思われると・・・思います?


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もうひとつは、女性天皇・女系天皇を認めないと、天皇制が途絶えてしまうのでは? という理由で「それを避けるために女性・女系天皇も認めるべき」という意見について。

こういう意見の人が心配していることはふたつあります。

ひとつは文字通り、皇位継承者たる男系男子が途絶えてしまうこと
もうひとつは、皇族の数が減ると、公務が忙しすぎて回らなくなること。


まずは最初の点。皇位継承者がいなくなって天皇制度が途絶えてしまうことがありうるのか、という話。

皇太子様は来年、即位され、天皇となられます。その時点以降の皇位継承者は、秋篠宮文仁親王と悠仁親王。あとは、現在 82歳の常陸宮正仁親王のみです。

秋篠宮文仁親王と悠仁親王の年齢差は 41歳ですから、悠仁親王が(お父様の文仁親王が結婚された) 25歳になられた時、文仁親王は 66歳。まだまだお元気なご年齢です。

なので悠仁親王がお父様同様、20代半ばで結婚されれば、男系男子の皇位継承はなんとかなりそう。


しかもここからは想像に過ぎませんが、秋篠宮様は(ご自身同様)お子様方の早めの結婚にとても積極的に思えます。

紀子様も 40歳での出産に踏み切られたことからわかるように、皇位継承のために皇族たるもの何をなすべきか、相当のご覚悟をお持ちです。

だとすると秋篠宮家では今後、悠仁様へのご教育の中で、皇位継承の現状や 1500年続いてきた天皇制度を未来に引き継いでいくことの重要性について、それなりのお話がなされていくのではないでしょうか。

結果として今 11歳の悠仁親王は、あと15年後にはお父様になられているのでは?

15年後なら、来年即位される皇太子様は 72歳。85歳で退位が予定されてる現在の天皇陛下より 13歳もお若い。

なーんだ、ぜんぜん問題ないじゃん!

ってのが、私の考えです。


もちろん「万が一のことがあったらどーするんだ?」と心配する人もいるでしょう。

たしかにすべての人が平均年齢まで生きられるわけではないし、お父様が早婚だからといって息子もそうとは限りません。すぐに男子が生まれるとも限らない。不確定要素はたくさんあります。

とはいえ、「万が一に備えるためだけ」に皇統 1500年の歴史を変えるというのは、難しいんじゃないですかね。少なくとも「皇位継承者が複数、存在してる」時点で変えるべきこととは思えません。


こちらにあるように、日本の皇室は世界でもぶっちぎりに歴史の長い王室なんです。

「万が一」の時には、終戦後に皇籍離脱された旧皇族の中から「男系男子の血をひく赤ちゃんを、生まれた直後に皇室に養子として迎える」という方法のほうが、血統が維持できていいんじゃない?

こういうと「そんな一般人の子を天皇にしていいのか?」って人がいるけど、前回のエントリにも書いたとおり、大事なのは「血」なんです。

ロシアとかだって未だに「私はロマノフ家の末裔である」みたいな人が取りざたされるでしょ。

生まれた直後に引き取られ、ずっと皇族として育てられれば本人も戸惑わないし、大人になってから皇族になるわけじゃないので、自由に生きていた時の言動が問題になることもありません。


生まれたばかりの息子を天皇家の養子にするなんて、そんなことに協力する旧皇族がいるのかって?

いるでしょ。そもそも皇族の使命って「天皇陛下をお守りすること」ですからね。旧皇族の方々も、それこそが自分達の使命だと思われてるのでは? 

てか、秋篠宮、紀子様のご決断を知りながら、知らんフリできる人ばかりではないと思うよ。それこそ「 1500年の伝統」がかかってるんだから。

なお、もし愛子様など女性皇族の方が旧皇族の男系男子の方とご結婚された場合、ふたりの間の息子は「男系かつ女系の天皇陛下」に成るので、これもひとつの選択肢だという人もいます。


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まっ、いずれにせよあたしは「悠仁様はかなりお若いタイミングでご結婚されそう」と思ってるので、皇位継承問題についてはあまり拙速に決めず、15年かけて考えればいーじゃんと思ってます。

ただ、もうひとつの「皇族の数が減ると公務が忙しすぎて回らなくなるのでは?」ってほうは急ぎの問題かも。女性皇族もみなさんお年頃で、いつご結婚されても不思議じゃないしね。


今のままだと悠仁親王が即位された時には(すでにお子様があり、皇位継承者は存在していたとしても)、一緒に公務を担ってくれる大人の皇族がぜんぜんいない! みたいになってそう。。。

それじゃあ悠仁親王が忙しすぎるやろ! ってのもあるし、

全体として担える公務が減ると、国民が皇室の存在を感じる機会が減り、そうなるとまたぞろ「天皇制度なんていらんのでは?」と考える人が増えてしまう。

(また書きますが)外交上、ほんとにこの制度は価値があるのだけど、その辺、知らない人もたくさんいるしね。


いずれにせよ私がいいたいのは、この制度がどうあるべきかについて、私たち主権者はみなそれぞれしっかり意見をもつべきだってことです。

どんな意見でもいいんです。こんな問題に「合ってる」も「間違ってる」もないんだから。

「よくわからない」「興味ない」「知らん」で思考停止せず、自分の意見は何なのか「考えて」みましょう。

基本的なことも何も知らないという人向けに、読みやすい本もでています。そういうの、一冊くらい読んでみたらどうでしょう?

そして「本を読んで自分のアタマで考えたこと」をぜひ、あなたのブログに書いてみてください。

本もブログも「知識を得るため」だけでなく「自分で考えるため」に読むものなのだから。



そんじゃーね!


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