休暇の目的限定や日数制限を廃止しよう!

育児休暇とか、産休(産前産後休暇)に加え、最近は介護休暇やボランティア休暇など、「目的を限定した休暇制度」があれこれあるんだけど、

こういうのって全部、目的を限定しない休暇に置き換えたほうがよくない?


たとえば産休や育児休暇はあるのに、不妊治療休暇はないでしょ。

でもフルタイムで働きながら何年もの不妊治療を続けるって、大変なことだと思うんだよね。排卵日に合わせて通院したり、不正出血や痛みを伴う検査や治療もあったり。

少子化が問題だというなら、そういう人にも休暇をあげたり、時短適用をしてあげるべきでは?


必要なら、そういう目的の休暇制度も作ればいいって? 

そーでもないのよ。だって「不妊治療休暇」という目的限定休暇が制度化されても、すごく取りにくいもん。

妊娠したことを職場の仲間に知られるのはいいけど、不妊治療をしてることは誰にも言ってない(言いたくない)って人はたくさんいるんだから。


他にも、親の介護なら介護休暇もとりやすいけど、配偶者が若年性認知症になったらどう? 

たとえ制度的に認められていても、上司にそれを話して介護休暇とるの、勇気いるでしょ?


普通の有給休暇を取るときも理由を書かせる会社が多いけど、「子どもが大けがをしたので」なら簡単に言えても、

どうやら息子が猫を殺しているらしいから精神科につれていかなくちゃ、って時には、「子どもが問題を起こして」とさえ言いたくないはず。

しかもそういう時に必要な休暇は 2日や 3日じゃ済まない。


本来、休暇の目的なんて、限定する必要も公にする必要も無いと思うんだよね。


育児のためだろうと、旅行のためだろうと、新発売されたゲームをやりこみたいからだろうと、理由を問わず「一定期間前に申請すれば、何日でも何週間でも休みをとれる」ようにしたらいい。

休暇だけじゃなく、3ヶ月休みたいなら 3ヶ月前に申請すること、1年休みたいなら 1年前までに、みたいな申請タイミングのルールだけ作って、数ヶ月とか 1年という単位でも休業できるようにすればいいし、


時短勤務だって希望者全員に認めればいい。その理由も、子育てでも介護でも絵を描くでも婚活するでも習いごとをするでも、なんでもいい。

時短勤務を「子どもが小さいうちしか認めてはいけない」正当な理由、なんて誰も思いつけないでしょ。


ただし休暇取得や時短勤務など、社員が働いていない時間については、会社など所属組織は給与も手当も払わなくていいと思う。

これなら休む人が増えても、その分のお金で他の人を雇えばいいだけだから、企業の人件費は増えない。そうじゃないと申請通りに休みを与えるなんて無理だからね。


かわりに、“公共の利益につながる”特定の目的のときだけ国が失業手当と同じ方式で休業手当を支払えばいいんです。

たとえば、「不妊治療と出産と育児が理由の場合は、少子化対策予算から一日○千円 支払う」みたいに。


★★★


そもそも、

1)「この目的なら休んでいい」と、休暇を取れる「正しい理由」を企業が限定列挙するなんて大きなお世話

だし、

2)産休とってる人の仕事を肩代わりするため、不妊治療をしてる人が残業させられるとか、不公平すぎ

それに、

3)今の方式だと、大企業の人や公務員組織の人、しかも正社員しか手当を受け取りながらの休暇制度を使えない。もしくは、組織が大きいほど手厚い福利厚生制度があって、取れる休暇が増えたり貰える手当が大きくなるけど、


「会社に申請して休みをとった後、特定の理由の場合は、誰でも国に申請して手当が受け取れる」って形にしたら、零細企業の社員や非正規雇用の人でも、育児休暇や産休がとれるようになるし、


申請書類には休暇の目的を書く必要があっても、職場の仲間や上司にはそれを知られなくて済む。


★★★


そんなことしたら、みんな休みをとりまくるだろうって?


だったら、休みをとる人が多い時間帯やシーズンの時給を上げればいーじゃん?


たとえば、夕方がかき入れ時のビジネスなのに、5時になったらスグに帰りたい人が多い企業なら、5時以降だけ時給をどーんと上げればいい。

かわりに 5時までの「ヒマで、かつ、多くの人が働きたいと考える日中の時給」を下げ、全体の人件費は今と同じにすればいい。

正社員だって年収を実質的な労働時間で割ってそれぞれの標準時給を計算し、そこから「多忙な時間は○割増し、ヒマな時間は○割減」という調整をかければいいだけでしょ。


どんな企業でも、忙しい時とヒマな時があるはず。

夏にバカ売れする商品なら、夏の時給は高く、冬の時給は安く、

週末に忙しい小売店なら、週末の時給は高く、平日の時給は低く、

昼休みだけメチャ混みする店なら、昼休みだけ高く、


人手が足りない時間帯は、人手が足りるようになるまで(=「そんなに時給が高いなら、なんとかやりくりして、その時間帯に働こう!」と思う人が増えてくるまで)時給を上げればいい。

シンガポールの高速道路とかで、混んでくるほど値段が高くなったりするのと同じで、んなもんシステムを作ってリアルタイムに自動計算&自動管理をすればいいんだよね。


いつでもネットで「明日以降、数ヶ月先までのカレンダー」が閲覧できて、そのカレンダーには、全時間スロットに「この時間に働いたら時給いくら」と

・その時間に働くと申請した人の数と、
・会社側が設定した需要数との関係から

自動計算された時給の増減率が表示されてる。

みたいになれば、その増減率に自分の標準時給を掛け、「月に 20万円稼ぐためには、自分は来月ならどの時間帯にどれだけ働けばいいか」を各人が計算できる。


今はタクシーも、同一地域で同一時間ならいつでも同じ料金だけど、Uber なら雨の日や年末の週末で終電の後など、需要の多い時は高めの料金に、反対に客が少ない時間帯は安めの料金で乗れるようになる。

テクノロジーが進めば「 23時から一律 2割増し」みたいな画一的なプライシングではなく、需給に併せた柔軟な料金設定ができるようになるんだから、そーゆーシステムを働く人の時給にも適用すればいいんだよね。

なんの工夫もせず「繁忙期の夕方に働く人が少ない」とか言っててもしゃーないやん。


需給に応じて時給が変わるシステムにしたら、たとえ育児中でも
「時給は安いけど、やっぱり日中に(子どもは保育所に預けて)働き、5時に帰宅して子どもとご飯を食べたい」という人と、

「子どもとは日中の時間を一緒にすごし、週に 3日だけ子どもを夜間保育に預けて時給の高い夕方以降に集中的に働いて稼ごう」っていう、両方の人が現れるはず。


そもそも「申請さえすれば、いくらでも休みがとれる」といっても、多くの人は、

・稼ぐ必要がある
・仕事以外に特にやりたいこともない
・仕事を通してこそ、やりがいや成長感が感じられる

みたいな理由で、けっこうちゃんと働くんだと思うよ。休んで手当がもらえるのは、国が定めた一定の理由の時だけなんだから。


★★★


そんな簡単に休みがとれたら、同じ部署で働く人が大変だって?


休みを取る人は一定期間前に申請するんだから、それにあわせて業務予定をたてればいいだけでしょ。それこそ“管理職”様のお仕事じゃん。

それに、休みたい人が多くて人手の足りない時間の時給はとめどなく上がるんだから、かならず「俺、その時間に働きます!」って人がでてくるって。


★★★


特定の人がいないと回らない仕事もあるって?


そーね。

あなたがソフトバンクにおける孫正義氏と同じような立場なのだとしたら、「自分がいないと仕事が回らず、周りに迷惑をかける」と心配になるのもわかります。


でもね、大半の人はそんなことを心配する必要はありません。

ヒマな時期にあなたが休めば、会社はあなたに払う人件費が節約できて嬉しいだろうし、

反対に忙しい時期にあなたが休めば、その時間に働く他の人の時給はぐーんとアップするんだから、下手したら「休んだことを感謝される」みたいな人のほうが多いのが現実では?

大半の人には「自分がいないと回らない仕事」なんて無いんです。


それに、これなら「仕事にやる気が見いだせないから」という理由で休むのさえ、会社からも同僚からも感謝されます。

だってそんな奴が嫌々会社にでてきて“やる気なさげー”にチンタラ仕事してるより、いっそ休んでくれて自分の時給が上がったほうが(周りの人から見ても)嬉しいじゃん。


・・・なんかこれ、めっちゃいい制度じゃない?


これが実現すれば、繁忙期にも遠慮せず休みや時短を申請できるし、自分が休んだり早退することで同じ部署の人の時給を上げてあげられるから、周囲にも感謝されつつ大手を振って休みがとれます。

こんな名案を思いつくなんて、あたしってもしかして天才?



 そんじゃーね

<合わせて読みたい名(迷)解決法>
就活市場を一発で適正化できるミラクル解決法
通勤手当なんて廃止すべき


http://d.hatena.ne.jp/Chikirin+personal/  http://d.hatena.ne.jp/Chikirin+shop/