エコで餓死

バイオ燃料だかバイオマス・エナジーだかが流行りそうな感じだね。テレビでやっていた。「食料からエネルギーができる」って。エコに敏感な人が好きそうな話だ。んだけど・・・なんだか、ちょっと、わけがわからないと感じるちきりんです。


日本は少子化とか言っているが、世界的には人口問題と言えば「人口過多」。人が多すぎで困る、というのが地球規模で起こっていることで、少子化とか言っているのは、贅沢な先進国だけ。

人が増えすぎることにより、ふたつのものが足りなくなるだろうと言われてる。それは「食べ物とエネルギー」。”グローバルには”「人口問題と言えば、食糧問題、エネルギー問題」のはず。

なんで、ふたつのものが足りないのに、そのうちのひとつ(=食料)から、もうひとつの足りないもの(=エネルギー)を補おうなどという話になるのか?

普通は有り余っているもの、たとえば太陽光とか、空気=風とか、そういうものからエネルギーを生み出そうって話になるはず。そうでなくて、足りないもの2つの中で「変換しよう」みたいな話になるのはなぜ?


理由は簡単。

地球規模ではエネルギーと食料のいずれも足りないのだが、先進国でたりないのはエネルギーだけだから。先進国では食料は「文字通り」「捨てるほどある」。日本始め多くの先進国は半分近い食料を廃棄してるんだから。

でも、中東と戦争するアメリカはもちろん、エネルギーの方は、捨てるどころか、どこも「備蓄」が必要だと考えるくらい「入手への不安感」がある。OPECもあるし、最近は価格も高騰しているし。

だから、「食料でエネルギーを!」みたいな発想になるんだろうと思う。

バイオ燃料の原材料として、トウモロコシとか砂糖とか言われているのだが、既に、このトウモロコシが値上がりを始めていて、その粉を主食としている南米で、貧困層の食糧入手に悪影響がでてる。

日本で置き換えればこういう感じ。戦争中の、銀シャリなんて全然手に入らない時代に、日本人が芋の蔓くってる時代に、アメリカだか欧州だかで「石油がたりんから、お米でクーラーを回そう!」ってな話になっていると、そういう感じ。

勘弁してくれよ!

って思う人がいると思うんだけどね。

貧乏人の食料をとりあげて、食器洗い機だの空気清浄機だのを動かすエネルギーを得る必要がどこにある?


って思います。



エコで飢餓なんて洒落にもならない。

★★★

同じような、変な話。

介護ヘルパーにフィリピン人が入り始める。そのうちフィリピン人ばかりになると思う。インドの病院は欧米の患者を集め始めている。入院費を始め治療費が4分の1ですむと。欧米の多くの会社が、電話でのセールスや請求業務をインドやフィリピンに任せ始めている。コールセンターを自国につくるより10分のいちくらいのコストで運営できる。事務処理部門をこういう国に移す企業も多い。


これらのおかげで、先進国の企業は利益が出るし、先進国の老人は、お金持ち以外でも介護がしてもらえる。


こういうのって、「常に貧乏な国が存在する」ということを前提とした経済システムなんだよね・・。比較優位とはちょっと違うでしょ、って思う。

これらの国が一生豊かにならないわけではない。



しかし大丈夫!!!

だって、貧しい国は他にもたくさんあるんだから!



これらの国が豊かになったら、そっちに下働きさせればいいのさ、ってこと。日本がそうなり、韓国がそうなり、中国がそうなったように、下働きをしていた国がいつしか人を使うようになる。

だけど大丈夫。貧しい国は無限にあり、絶対なくならないのだから!!

という考え方なんだよね、これ。



どうですかね。


★★★

なんだかね。って思うだす。

バイオ燃料でエコなんて、ちきりん的には、すんごい“のーてんき”なことに聞こえます。自分が食べないからって、他人の主食を油にしちゃうようなことしてていーんだろうか。


ねえ。