挺身隊

相変わらず韓国ドラマにはまってます。「ソウル1945」というドラマ、1935年くらいから1960年くらいまでの朝鮮半島を舞台にしたドラマで、恋愛ドラマでもありますが、それ以上に歴史物語です。“朝鮮の人からみたあの時代”がビビッドにわかっておもしろい。

日本の敗戦が色濃くなったあたりで、親日派だった韓国の人(名前は日本式にして、奥さんにも着物を着せたりしている人)もいろいろ裏で動きはじめたり。


日本の敗戦が濃くなる中、「挺身隊」というのが募集される。工場とか学校とかで「挺身隊にいく愛国心の強い婦女子」を募集する。

男性は兵隊さんにいく。だから、挺身隊は残っている婦女子が募集される。

「挺身隊でお国のために尽くせば、お腹一杯のご飯が食べられる」とか、
「挺身隊で兵隊さんの身の回りの世話をして、愛国心を示そう!そしたら、あなたの家族も街の英雄!」みたいなプロパガンダが行われる。

ちなみに「お国」とは日本のことです。占領も長いから、朝鮮半島の人も「日本」のことを「お国」と呼んだりしている。史実として正確なのかどうかしりませんが、「優秀なら朝鮮人でも東京帝国大学に行ける!」とか言ってます。

というわけで、貧しい家の女工さんや子供の多い家の女の子には「挺身隊に行こうかな、応募しようかな」と考える人がでてくる。

よくわからない親も「そのほうが貧乏なうちにいるより、お腹一杯食べられていいんじゃないか」とか「この子のためなんじゃないか」、「我が家から挺身隊が出れば、肩身も狭くないし」みたいな感じだったりする。


この挺身隊、若い子なら15歳くらいから応募するし、40歳くらいでも応募する。40歳くらいの人は多分予想通りの仕事をする。兵隊さんの身の回りのお世話。洗濯とか掃除、炊飯。ケガの手当とかもするかも。


もし18歳だったら、何をする?


なるほどね。


他にもいろいろ勉強になります。玉音放送の日の様子も、日本のドラマだと、もんぺの人たちが庭に直立してラジオを聞く、すごくワンパターンな映像が多いでしょ。外地で、親日派の人や朝鮮の人が、どうそれを聞いたかとか、ドラマとはいえ映像で見られるのはおもしろい。


日本が負けた直後、朝鮮総督府は最初は朝鮮人に行政権を渡す。んだけど、すぐに東京のマッカーサーから指令がくる。アメリカ軍がそちらに着くまで行政権を(日本軍が)維持しているように、と。つまり、「日本軍が持っている朝鮮半島での権益は朝鮮人ではなくアメリカ人に渡せ」と、そういう指令が終戦後にすぐにくるわけです。

既に北の方ではソ連軍が「解放軍」として入城を始めてる。半島の未来を暗示する場面。街では、まだ朝鮮人が解放された!、日本からの独立だ!と狂喜乱舞している時に、既に“次に何が起こるか”が暗示される。


場面設定など、時代考証がきちんとされてるのかどーかはわからんと思いつつ見てますが、少なくとも日本側ではなくあちら側の視点で作られたドラマなので、その点ではとても貴重。

ちなみにドラマの中で玉音放送が流れ、ハングルの字幕がついてるんだけど、音声は昭和天皇のあの声です。本物を使ってるです。


おもしろい。


じゃね。