今に始まったことではないけれど、才能にしろ財産にしろ容姿にしろ、圧倒的に恵まれている人のところには、“いいコトと悪いこと”が、両面セットでやってきます。
華原朋美さんが(また)復帰したと芸能ニュースになっていたけど、絶頂であった1996年の紅白で I'm proud を熱唱してから17年、最初の“休養”からでも既に14年です。
その間、バラエティ番組でいじられたり、事務所を転々として復帰と休養を繰り返すなど、いろんな人が彼女に関わり続けました。
もしも彼女が何も持っていなければ、すなわち“利用価値”が無ければ、最初の挫折の後、普通に誰かと結婚して、穏やかに暮らしていたかもと思います。
でもそうは問屋が卸さない。世の中は、“利用価値“のある人を放っておきません。
集まってくる人の全員が心無い人たちだと言う気はありません。でも往々にして、そういう人の方が心地よい話をしてくれます。
ろくすっぽ社会経験もないまま、才能と運に恵まれて頂点に立つ快感を経験し、一気に突き落とされた若い女性に、それを見極めろと言う方が無理でしょう。
★★★
オセロの中島知子さんだって、テレビで人気がでてお金を持っていたからこそ、女性(自称)霊能者に目を付けられました。売れない芸人のままだったら、多額の貯金がなかったら、ああいう目には遭っていないはず。
今日、このエントリを書こうと思ったきっかけは、中森明菜さんが重い鬱病に苦しんでいるという記事を読んだことなのですが、彼女もデビュー当時から、ほんとにかわいくて声がきれいで、歌もうまかった。
あれだけの才能に恵まれて、こんなことになってしまうなんて、めちゃくちゃもったいない。
と思うけど、実際は「才能に恵まれたからこそ、こんなことになってしまった」のでしょう。
前に、「狙う側の視点」でも書いたように、金持ちと貧乏人ではヤバい世界に引き込まれる確率が全く違います。
振り込め詐欺だって、被害に遭っているのはお金持ちばかりです。
狙う方も馬鹿じゃない。リスクと時間をかけて、5万円の貯金を奪おうとは考えません。
何百万、何千万円もの不急不要のお金をもっているからこそ、被害に遭うのです。
被害に遭うのは女性と高齢者だけではありません。
男性のスポーツ選手など若くして大金を手にした人のところにも、様々な輩が押し寄せます。
不動産投資からビジネスの儲け話など数多の話が降り注ぎ、超がつくほどの一流のアスリートが、「投げる不動産王」などという汚名を着せられてしまうのです。
古今東西、美人局(つつもたせ)に狙われるのも、各界の著名人に、医者や地主などお金持ちばかりです。
才能や財産に恵まれ、その一方で、まともな判断基準も経験もないだろうと思われた人に群がるのは、犯罪者や宗教団体だけではありません。
メディアや芸能団体など、一見すれば普通のビジネスをやっている人たちもまた、利用価値のある“飯の種”に群がります。
感心したのは浅田真央さんが、印刷も始まっていると言われた土壇場のタイミングで、書籍の発売を中止した一件です。
帯や販促プロモーションに、浅田さん本人が容認できない文言が含まれていたから(亡くなられたお母様を商売に利用するかのような文言だった)ということですが、
土壇場だろうとなんだろうと、「やばい」「これはダメ」と思ったら、断固とした対応をとるのはすごい大切なことです。
でも、そうした断固とした態度を取るのは、若い女性にとって簡単なことではありません。
彼女はアスリートとして一流なだけでなく、ひとりの人間としても、極めて成熟した判断のできる大人として成長されていたということです。
出版社&テレビ局にとっても、広告主や広告業界にとっても、そしてもちろんスポーツ界にとっても、浅田真央さんは、お宝中のお宝です。
彼女にちょっとかすってもらえるだけで、何人もの大人が食べていけます。
どんだけたくさんの人が押し寄せてきているのか、私の想像など遙かに超えているのでしょう。
そんな中でも、自分できちんとした判断ができる。
すごいことだと思います。
多くの人が、才能や財産や立場に恵まれた人のことを羨みます。
でも、それら恵まれた人達もまた、私たち凡人には想像もできないほど多量のトラップが仕掛けられた人生を歩んでいます。
彼らの人生もまた、何ももたない私たちの人生と同様、そうそう簡単なものではないのです。