補足)自殺率国際比較

先日「自殺の男女格差」というエントリ(こちら)を書きました。そこでわかったのは、日本において、


(1)男性の自殺率は、女性の2.5倍以上である。
(2)男性の自殺は1998年以降急増しているが、女性の自殺は過去30年大きくは増えていない。
(3)経済的な問題と仕事に関する理由で自殺する人は男性10人にたいして女性ひとりと男女差が極めて大きい。
という3点でした。


“縦と横”というエントリに書いたように、分析の基本は時系列変化と他者比較なので、自然な流れとして次のような疑問がでてきます。

・男性が女性より多く自殺するのは日本だけ? 経済的理由での自殺の男女比がこんなに大きいのは日本だけ?

・1998年に男性の自殺率が急増して、その後高止まり(もしくは“頭打ち”)なのはなぜ?1998年より前も、経済的理由での自殺にはこんなに男女差があったの?

このうち、海外の男女の自殺率についてはネット上のあちこちにデータがあったので今日はそれを載せておきます。


下記は、こちらのページのデータから、調査時期が2000年以降(10年以内)の国だけを選び、その中からちきりんが国のイメージがわかるところだけをリストにしてます。(自殺率は人口10万人あたりの人数、男女比は、男性の自殺率が女性の率の何倍か、という倍数です)

中国はデータが1999年のものしかなく(10年以上前の中国なんて余りに今と違うし、統計も信じられるやら不明なので)入っていません。

なお、
・日本を含みアジアの国は青系
・西側欧米国はオレンジ系
・ロシア、元共産国系はグレー
・南米ラテン国は緑系
に色分けしてます。


まずは「自殺率の高い順」に並べたのが下記の表です。
ご存じのようにロシア(&ここでは省略されている元共産国の小国)に続き日本の自殺率は国際的にも非常に高い水準にあります。西側先進国ではぶっちぎりの一位です。


自殺率が高いのは、
・元共産国
・アジアの先進国


自殺率が低いのは、
・南米ラテン国(西側欧米国に分類されてるイタリア、スペインも低い)


欧米の中では北欧諸国の自殺率が高く、南欧の国は概して低いです。シンガポールが自殺率が低いのがアジアの先進国としては例外値なんですが、もしかして「罰金」があるのかな?(冗談です・・)イギリスも低いですね。



なんやかんやおもしろいですね。

★★★

さて、次に「男女比率の格差が大きい順」に並べ替えてみました。すると、日本の自殺の男女比(2.6倍)は実はそんなに高くない、ということがわかります。しかも男性の方が多く女性より自殺するのは、他国もほぼ全部同じです。(男女比の数字は全部の国で1を超えています。)

というか、女性が男性より多く自殺する国は(統計の信憑性がイマイチな11年前の中国のデータ以外には)見つかりませんでした。ほー、そーなんだ。



この二つ目の表を作ってみて驚いたのは、「アジアの国って自殺の男女比がみんな低いんだ!」ってことです。表の上の方には青い色がないでしょ。自殺率の高い日本や韓国も自殺率の低いインドやシンガポールもいずれも、男女の自殺比率格差は大きくありません。アジアよりも欧米、共産国、南米などの方がもっともっと「男性が女性より多く自殺する」のです。


しかも、自殺率自体は低かった南米ラテン国の多くで男女の自殺率格差がすごく大きい!(上の方にグレーの元共産国と並んで、南米、緑系の色が多くなってるでしょ。例外はペルーのみ)
なんでーーー?


おもしろーい!!!


けど、たかがブログのためにこれ以上時間使う気もないので、今日はここまで。後は学者の方にでも頑張ってもらいましょう。


そんじゃーねーー!