旅日記ソビエト2

さて、恐怖のシェレメティエヴォ空港到着!!

印象は・・・

(1) 暗いっ
(2) でかいっ
(3) 誰もいないっ

でしょうか。


まずは、(1)すごい暗い。薄暗〜い。天井が高いのに暗い。よく見てみたら・・・天井の蛍光灯が3分の1くらいしかついてない。飛行機を降りたところから、空港出るまでずうっとです。なんで?

そう、電気代がもったいないから・・・電気自体が“貴重”というか“不足してる”んでしょう。だから全部つけないんだと思う。

のっけから「共産主義国!」

いや、電力が足りないのが、共産主義国の共通点なのどーかは不明ですが・・


(2)でかいっ

なんでもドでかく作るよね。アメリカの空港と同じくらいでかいです。が、


(3)誰もいない!

売店も全部閉まってます。電気の節約?誰も買わないから?そもそも人がいないです。開港前の空港に着いたみたいな気がする。ソビエトに行ったら、帰りに免税店でキャビア買ってみよ〜と思っていたちきりんなのですが、そんなもん買えそうな店は全くなさそう。というか、店なんだろーな〜というところはあるのですが、電気もついてないしシャッターが閉まってる。ほんと寂れてるんです。誰もいない。

飛行機もそんなに到着しないし、ちきりんの飛行機に乗っていた人たちも、いつのまにかあちこちに消えていて・・ちきりんは「入国」っていうサインの方にずんずんずんずん歩いていたら・・・いつのまにか「誰もいない!」

いやこれ、まじなんですよ。だって、乗り継ぎで東欧や北欧に行く人は別の場所に行っちゃうでしょ。ソビエトに入国する人も、現地の人はなんか別の通路で早々と行っちゃって・・・外人であるちきりんは、なんかやたらこっちだあっちだという矢印に沿って歩いているうちに、ほんと数人しか残ってないのだよ。

つのる不安!!

★★★

そしていよいよ入国審査。巨大空港だから入国審査の窓口は30個以上ずらあああっとあるんだけど、あいてる窓口は2個みたいな。

もちろんその2個のカウンターの前以外の電気は消えてます! 
暗っ!


担当は、巨大なおばちゃん。ロシア人。

「ズズズズ・・・ズドラストビィチェ・・・」・・・うわずるちきりん

「ハイ」とおばちゃん。

えっ!? それ、英語??? 


混乱ちきりん・・・


いやしかし、その後はおばちゃん英語は話さず。
半年のロシア語特訓が無駄になったかと思って一瞬あせったよ、ちきりんは。


というか、そのおばちゃんは「何語も話さず」でした。指と“あご”でちきりんに「この鞄あけて」とか「そっちは何?」とか指示されておりました。おいおい、いきなり会話拒否かい?と思ったけど。怖いので逆らわず。ちきりんは、習いたてのロシア語でいろいろ話しかけてみるが・・・・完黙。余計なこと言うのはやめましょうってことか。


入国審査って、荷物検査があるんだけど、これが40分たっても終わらない。

なっなに???

おばちゃんは、もくもくと、ちきりんの持ち物すべてを子細に調べている。一言もしゃべらず・・・こっこわい・・・それにっ・・・トイレ・・・行きたい・・・

あせるよ、全く。


数少なくなっていた一緒に入国審査のカウンターまで来た他の人は、15分もかからず入国審査終わり。で、周りにはだーれもいなくなるし、電気は相変わらず暗いし、おばちゃんは不機嫌そうだし・・・

しかも・・・最後は財布を取り出して、ちきりんのお金を全部カウンターに並べ始めた。日本円、米ドル、トラベラーズチェック(この時点では、ちきりんはまだルーブルを持っていない。)そのお札を、、、、全部並べるのよ、カウンターに。まるで干すみたいに・・・

なんなんだよ〜・・・・・!!


もう話しかける気力もないちきりん・・・ただただじっと待つ。おばちゃんも、もくもく働く。働く?はい、働く。

1時間経過・・・ようやく「行け」とのお達しが・・示されました。もちろん「あご」で・・・


ちきりん解放!!!

近くのトイレへ駆け込む。

ほっ!!

★★★

で、気を取り直し、出口へ向かう。延々とだだ広い通路を通る。

again,
(1) 暗いっ
(2) でかいっ
(3) 誰もいないっ

まじだよ、誰もいない。


ちっ、ちきりんは、どーなるの?誰か迎えに来てるはずではないの??誰って?いや、誰かしらんけど・・・ソビエトツーリズムの人とかさ・・・

と・・・先方の暗闇に浮かび上がる巨大な影・・・(逆光で、ほんと影だけ見える!!)

その影が手をあげる。

きゃ〜!!!

って言いません。ちょっとびびったけど・・・


そしたら、その巨大男が「ちきん?」と呼びかけた。。

「ちきん??」「あっ!ちきりんのことだ!!」(ちきりんの本名は外人には発音しにくいのだ。)

「ダ〜ダ〜、ちきん!!」(ロシア語にて「そうよ、そうよ、わたしがちきりん!」)


その大男、にっこりわらって、「こっちこい」と言う。いや、またしても「あごで」言う。

この国の人はしゃべらんのかい???んなら、なんのためのロシア語講座やねん!!!

と思ったが、とにかくついて行く。


そんな人についていくの怖くなかった??とよく聞かれますが・・・No choiceでしょう。あんなところに一人取り残されるよりはまし。誰でもいいから、どこでもいいから、つれてって!という心境でした。

あとですね、この人は何の書類も(ちきりんの名前を書いた)看板みたいなのも持っていないし、ちきりんだって「ツアーバッチ」とか、そーゆーの何もつけてないんです。それで入国審査に時間とられて巨大な空港を歩いていたら、いきなり「会うべき人」とあえるんです。これ自体、「いかに誰もいない空港か」ってのが、おわかりいただけると思います。

日本なら地方の小さな空港でさえ、こんな「ほとんど偶然」みたいな待ち合わせ方法では、会うべき人と会えないでしょう・・・

★★★

その人の後ろについて歩きようやく空港の外へ。陽の光だよ!!!なんせ空港が暗いから、救われた思いがしました。と、ちきりんは大男の背中の後を小走りでついていく。雪の中、駐車場まで。

「乗れ」車のそばで大男が言う。もちろん「あご」で・・・・

乗る。出発!!


やった〜!!!モスクワだよ〜!!!ちきりん到着〜!!!

雪の道。でも高速道路は快適。雪が降っているとは思えないスピードで一路、モスクワ市街へ。そして、目の前には巨大なホテル。

「コスモス・ホテル」


入り口の巨大な看板を読み取る。「ここに泊まるのか〜」

ずずずっと車はホテルの車寄せへ。ついたら・・・「降りろ」大男が言う。「あご」でね、もちろん。(ひつこい・・・)

降りる。

★★★

車走り去る。


えっ???チェックインのサポートとかないの?

ほんとにこのホテルでいいの??

予約とかちゃんとはいっているの???

そもそも、どこのホテルに泊まるのかも、なんも聞いてないんだよ、あたしゃ。


はい〜???

ぽつねんちきりん。コスモスホテルの前にて・・・


しかし、そんなところで迷ってはいられない。だって、
寒いっ!!!
凍えるよ、こんなとこにいたら・・・

そしてちきりんは、ボストンバッグひとつ抱えて・・・ホテルの中に消えていくのでありました。

今日はここまで・・・ここまでかい??
はい、ここまでです。

ではまた明日〜!!



追記)コスモス・ホテルは、ソビエト崩壊直後、火事で多くの宿泊客が亡くなりました。合掌。そして・・・ちきりんの幸運に・・・感謝。


続きはこちら → ソビエト旅行記その3