保有端末のまとめ

ちょっと前に iPad pro 12.9 というドデカいタブレットを買いました。

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値段も 10万円を超えるので、「まじかー」「ほんとに買うのか−」「いいのかー」などと悶絶しつつ、清水の舞台から飛び降りる覚悟でポチりました。

そこまで「高いー」と感じる理由は、私がこの商品を、デジタル情報の「消費端末」だと考えているからです。同じ値段でも「生産のための端末」であるパソコンなら、10万円で悩んだりはしません。


デジタル情報端末には、大きく分けて「生産のための端末」と「消費のための端末」があります。

生産端末とは、仕事や調査や勉強をし、コンテンツを生みだすための端末で、「稼ぐための端末」です。

消費端末とは、情報を見たり遊んだり、ショッピングをしたり友達とつながったりするための端末で、「稼いだお金と時間を使うための端末」です。


今ではスマホでレポートを書いたり、フリマに商品出品をする人もいますが、
これはユーザーが「スマホしか持っていないから」「スマホしか使いたくないから or 使えないから」であって、
スマホ自体は「生産端末」ではなく「消費端末」です。


同じように、パソコンで動画を見たりゲームをしたりブログや本を読む人もいますが、
それは「家にいる時間が長いから」「パソコンが目の前にあるから」そうしてるだけであって、
パソコン自体は消費ではなく「生産」のために最適化された端末です。


アップルは iPad proを「パソコンが要らなくなる生産側の端末」だと言いたいようですが、実際使ってみても「んなわけないじゃん」って感じです。

生産と消費の端末は、キーボードの有無や処理能力の差だけではなく、マルチタスク・マルチウィンドウが設計前提となっているか否かという根本的な違いから、フォルダシステムの違い、URLがデフォルトで表示されるか否かといった細かい違いまで含め、(今の時点ではまだ)まったくの別物です。


だからタブレットの教育アプリを使って勉強することは可能でも、

・動画で公開されてる大学講義を聴きながら、
・気になる点はその場でメモに残し、
・必要に応じてスプレッドシートで計算もするし、
・分からない概念が出てきたら別のウィンドウでググって調べ
・ググって見つけた資料を SNSで他の受講生にシェア、同時に自分も他の人から回ってきたリンクを使って(講義を聴きながら)別の資料を開く
みたいな「生産型の勉強」をするには、まだまだパソコンが必要なはず。


「アプリで勉強します」なんてのは、学習でも勉強でもなく、「教育サービスの消費」にすぎません。

でも消費側端末しか使わない人には、その違い=「生産活動としての学びと、教育サービスの消費活動としての学び」の違いが理解できないんです。

そして、子供の頃からタブレットでしか勉強したことがないと、上に書いたような「生産型の学び」とは縁の無い大人になってしまいます。


また最近はスマホに最適化されたサイトが増え、消費端末では自動的にそちらのサイトに誘導されてしまうため、消費端末しか使わない人は、

「シナリオ分岐のまったく無い、一本道スタイルのロールプレイングゲーム」みたいなクソゲー的な世界に閉じ込められてしまっています。

でも本人達は、自分がシナリオに誘導された世界にいるとは気付いていません。パソコンを一度も使わないままスマホの世界に入った世代の人には、もはやそういう世界しか見たことがないという人も多いんです。

だからあたかも自分で選んだものをタップし、見たい情報を選んでみていると思い込める。


★★★


生産端末、消費端末いずれの分野にも、高いパワーや機能を備えた(携帯性には劣る)商品と、携帯性(モバイル性)を重視した商品があります。 こんな感じですね。


ピンクのところは、2016年 5月現在、私が持っている端末です。

生産側でいえば、プログラマーやデザイナー、youtuber やイラストレーター、投資専門家や設計者などはデスクトップ型が必要でしょうが、私くらいの=テキストを書くだけの仕事であれば、ラップトップで十分です。

ただし私の場合、よく東京を離れて仕事をするのと、たとえ一日でもパソコンが死んだら大変なので、バックアップ機として、携帯性に優れたウルトラブックも保有しています。


消費側端末側では、外出時の使用に最適化されたスマホと、
ゲームや読書に最適な 7インチタブレットを持っていたのですが、今回はそれに加え、
雑誌や新聞、ストーリー性のある長時間動画(映画やドラマ)の視聴など、エンタメ消費に最適な 12.9インチタブレットを買いました。

これ、ほぼ A4の大きさなので、雑誌の 1ページがそのままの大きさで見られます。

月額 450円で大半の雑誌が読み放題になる dマガジンのサービスを利用したり、(詳しくはこちらをご覧ください


youtube で見る好きなバンドのミュージックビデオやドラマも、このサイズだとスマホのように常に視点をあわせて覗き込んでいる必要がなく、テレビのように、ちょっと離れた場所に置いて“ながら”で視聴できるのでとても快適です。

テレビの全録機を買ってからテレビを見ることが増えたのと同様、iPad pro 12.9を買ってから(数年ぶりに)雑誌をよく読むようになりました。

コンテンツの質としては、テレビも雑誌もまだまだネットなんかとは比べものにならないほど、質が高い。


ちなみに私がもっている情報端末は、
・生産端末が「マイクロソフト+インテル」商品、
・大型タブレットは「アップル」商品、
・中型タブレットが「アマゾンの Kindle Fire 」で、
・スマホが「グーグルのアンドロイド OS」端末なんです。


同じ OS で揃えればクラウド利用も含め便利なのでしょうが、こうして、アマゾンもアップルもグーグルもマイクロソフトも使うことで、それぞれの会社の戦略をイチ消費者として肌で感じることができます。


たとえばマイクロソフトは、ずっと生産端末の世界で王者だったわけです。ところが消費端末の世界に入るのに出遅れた。

そこで慌てて、OS をタッチパネル対応のタイル模様に変更しますが、これが生産側ユーザーから総スカンをくらいます。

生産に特化していた頃の XP や 7 を好む人は未だ多く、「生産にも消費にも使える」ことを目指した 8.1 や Windows10 より評判が高いくらいです。


とはいえ消費端末の市場は生産端末市場より何倍も大きいので、マイクロソフトとしては「あんたは生産端末だけやってれば?」と言われても、黙って引き下がるわけにはいきません。

だからめげずに「モバイルノートだけど、キーボードとスクリーン部分を切り離し、スクリーン部分は消費端末でもあるタブレットとして使えますよ」みたいな商品を出してますが、

これは「iPad pro は生産端末としても使える」と強弁してるアップルと同じ。みんな「生産にも消費にも使えるデバイス」を作ろうとしてるけど、その道のりはまだまだ遠いと思われます。


そういえば前に、ネットブックというカテゴリーもありましたね。あれが「あっ!」という前に消えてしまったのは、

「ネットを見るためだけに使う端末=消費端末」でありながら、スマホやタブレットのような使いやすさがなく、生産端末と同じインターフェースだったからです。

同じように見えても、しっかりと生産に使えるウルトラブックは(スマホやタブレットがでてきても)生き残れるのとは対照的です。


このように、生産も消費もと欲張った端末は、今のところまだひとつも成功していません。

ちなみにアップルは、 iPhone で消費端末市場を大席巻したことが、マックブックなど生産側端末でも市場シェアを拡大する足がかりとなりました。

生産端末しか存在しなかった世界に、消費端末市場を立ち上げたコト自体がスティーブ・ジョブズの功績である、と言うべきなのでしょう。


★★★


そして最近は製品だけでなく、使う側の人についても、「生産端末も使う人」と「消費端末しか使わない人」がキレイに分かれ始めていると強く感じます。

てか、家庭ごとまとめて「消費端末しか使わない家庭」と「消費端末だけでなく、親も子も生産端末を使ってる家庭」に分離しつつあるのでは?

前者の家にある端末は、スマホと 3DS だけ、みたいな。


当然ですが、「稼げる」のは生産端末を使う人です。

タブレットも、保険の営業で見積もりを示すとか、小売店頭やタクシーでの外国人対応、商品説明など「クライアント端末」としてなら仕事にも使えますが、業務用のメインマシンになる商品ではありません。


また、そういった「タブレットでできる仕事」の多くは、近い将来、人間の仕事ではなくなる可能性も高そうなんです。

タブレットを使って外国人買い物客に「お肌に合う化粧品」を勧める仕事は、何年かあとにはペッパー君が胸につけたタブレットを使ってやってそうだし、

スマホ型のバイリンガル・ナビを使って外国語で外国人を案内するタクシー運転手の仕事だって、自動運転車と「しゃべるナビ」に代替されそうでしょ。


生き残りたいなら子供も含め、いかに生産側のマシンが必要な仕事に就くかってことだと思うし、

その中でも、できるだけ上位にあるマシンが必要とされる仕事が残りやすいんじゃないでしょうか。

そういう意味では私の仕事だって、きっとどこかで人工知能様に置き換えられてしまうのだと思います。



 そんじゃーね

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