玉音放送って誰が書いたの?

ずっと前に、「声を出して読みたい日本語」として“日本国憲法”が発売されてすごく売れたと聞いたことがあります。

でも、私が日本語として一番好きなのは憲法より玉音放送です。

「耐え難きを耐え、偲び難きを偲び」ってフレーズはよく聞くけど全文は見たことなかったので、数年前にネットで検索して読んでみました。

追記)玉音放送全文とその現代(ちきりん)語訳についてはこちらをどうぞ → http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20080815


で、こんな格調高く思慮深い文章、誰が書いたのかと思っていたら、知人が調べてくれました。

終戦の詔勅は正式な題を大東亜戦争終結ノ詔書と号し、8月14日付けで詔として発布された。

大まかな内容は内閣書記官長迫水久常が作成し、8月9日以降漢学者川田瑞穂(内閣嘱託)が起草、更に14日に安岡正篤(大東亜省顧問)が加筆して完成し、同日の内に天皇の裁可があった。

大臣副署は当時の首相鈴木貫太郎以下 16名。

・迫水久常氏は、大蔵官僚から政治家となり、閣僚を歴任するなど活躍した政治家で、「知性の迫水」と呼ばれたらしい。希代の切れ者って感じです。

・川田瑞穂氏は学者さん。漢学者です。

・安岡正篤氏は陽明学者、思想家。かなり“うよっきー”な匂いがする人です。

というわけで、当時の先進気鋭の方々が力を併せて書いた文章だということですね。

★★★

ところで「天皇の戦争責任」について意見を問われれば、私は「ある」と思っています。

でも、主犯ではないと思っています。

そして、昭和天皇は、十分以上にその罪を償ったとも思います。

ちきりんが裁判での判決を出すとしたら、「被告人は、被告人の立場と権力を利用することによって軍人としての征服欲を見たそうとする輩に対して、適切かつ十分なコントロールを行おうとしなかった、という点において有罪である。

しかし、被告人は十分反省しており、今後の人生を賭して迷惑をかけた日本国民そしてアジア国民に対して償おうという意思がある。したがって、被告人は執行猶予付きの有罪とする」って感じです。


天皇の立場も苦悩も日本人への意味合いも理解せず、既に国際政治の駆け引きを演じていた戦勝国の裁判なんかに、天皇を差し出さずにすんだのは本当によかった。そんな変なものに巻き込まないでほしい。

そして、これも様々な駆け引きの結果と知りつつも、戦争に負けた日本がそのまま復興の道を進むことができたのに、日本よりちょっとだけソビエトや中国に近かったという理由で朝鮮半島が分断されたことは、とても申し訳なく思います。


また明日

↓ものすごい読み応えのある本です・・・


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