テレビのニュースで引きこもりの人の特集やってて、5分くらいだけ見た。映像は自然だったので“やらせ”ではないと思うのだけど、
60才を超えたお母さんと 30才を超えた息子の二人暮らしで、
息子は私立大学の理工学部を出てて
氷河期で就職に失敗して、
その後、派遣とかアルバイトとかしてたけど続かず今はなんもやってなくて
お母さんが保険の外交かなにかで月 20万円くらい稼いでてそれで食べてると。(お父さんはいないみたいだった)
お母さんは「も〜とにかくなんでもいいから社会に出て働いてほしい」と至極当然のことをおっしゃってまして、
で、テレビクルーがその男性にインタビューするんだけど、その会話がおもしろかった。
★★★
最初に、テレビクルーが大学の卒業証書を見せて、っていうんだけど、男性はすごい嬉しそうに卒業証書をカメラの前にどどんと差し出して見せていた。
ニコニコして「ほれほれ」って感じで。大学名はボカしてあったけど。
そーか、嬉しいんだ、それ!
と思った。
でも、本人が自慢げ&嬉しそうに卒業証書を掲げてる一方で、テレビ局が大学名の部分に“ぼかし”を入れる意図は「大学に迷惑をかけるといかんから」ってことなわけで。
その辺のギャップがそこはかとなく哀れではある。
“俺の人生で唯一自慢できる卒業大学”と、
“できればなかったことにしたい卒業生”・・・
★★★
テレビクルーが、「お母さんは働いてほしいとおっしゃってますけど」と聞いたら本人は
「働け、働けってうるさく言うだけで何もしてくれない」
って。
驚愕よね。
60の母親に一人で働かせて、それで食べてて、「何もしてくれない」って。
「親の顔が見たい」感じだが、それって自分だよ、みたいな。
★★★
その後のインタビューが、本人はパソコンに向かってて、ときどき目線だけテレビクルーの方をみるって感じで行われるのだけど、
“(本人に言わせると)パソコンでいくらか稼げるらしい”というナレーション。
「いくら稼げるんですか?」
「うーん、月に 400円くらい。」「あっ、でも多いときは千円くらいにもなる。」
・・・・・
「コンビニでバイトした方がよくないですか?」とテレビクルー。
「いや。あんな仕事しても将来性がないでしょ?」と本人。
正しい!
局所的にテレビクルーより本人が正しい。
「じゃあ、どんな仕事をやりたいのですか?」とテレビクルー。
「やるなら、軍師とか。」
「軍師??」
「軍師ってほら、他人にいろいろ指示したりアドバイスする仕事。そーゆーんじゃないと将来性がないと思うんですよ」
★★★
おもしろかったのは、“軍師”という言葉にたいしてテレビクルーが一瞬わからない顔をして、そしたら本人がはっとして、「ああそうか、説明しないとわからない言葉なんだな」と感じ取って自分から説明したところ。
なんだよ、こいつ、結構社会性あるじゃん! と思いました。
ちきりんも、軍師やりたいぞ。
正直「氷河期だったから就職できなくて」っていうストーリーにはまったく合っておらず、「氷河期じゃなくても、こんな奴雇う会社あるかね」って感じではあった。
「で、うちに入ったらやりたい仕事は?」
「軍師、ですかね」
言ってみたいぞ、そんなこと。