変わる家族形態

“家族の形”について考えてみた。時代や社会情勢、経済状態によって、家族の形ってすごく大きく変わるよね。過去50年ほどをみてもそれがよくわかる。


高度成長期前には、日本の家族の形といえば、
・3世帯同居=両親、長男夫婦、その子供
という形が一般的だった。


それが高度成長期に核家族という概念が普及し、結婚したら親とは住まない家が増えた。女性は専業主婦として企業戦士の夫を家庭で支えるというパターンだ。
・核家族=夫婦、子供


その裏返しとして、子供が独立した後の親だけの世帯が生まれる。
・高齢夫婦のみ家庭


また、高度成長時代のあだ花的な家族形態として“単身赴任”がある。男性は転勤を拒否できず、転職の道もない。家を買ってしまっているし、子供の教育のためにも家族は動けない。
・単身赴任家族=夫  +  妻と子


そして近年は単身家庭が急増している。ひとつは結婚しない人や、バツイチ系(離婚した人)、もうひとつは高齢になった夫婦のいずれかが欠ける場合。

・単身家庭(独身・・未婚&離婚)
・単身家庭(高齢者)


ちょっと概念は違うけど、学生の一人暮らしも単身家庭ですね。
・単身家庭(学生、留学生)


他には・・子供がいる夫婦の離婚も珍しくなくなり、片親世帯も増えている。
・母子家庭、父子家庭


あと、籍を入れずに一緒に住んでる男女も多そう。関係性のレベルによって
・事実婚家庭(内縁の妻、夫の関係)
・同棲(つきあってる間だけ一緒に住んでる感じ)


それと、法的には夫婦だけど別居してるという人も最近は少なくない。双方がプロフェッショナルとして中断したくない仕事を持っており、子供がいなくて(時にはいても)別の場所に住んでいる、というパターン。いずれかが海外という場合もあるし、1,2年ではなく10年近く別居という夫婦もいる。
・別居夫婦


ちなみに、最近の不況で、専業主婦は“昭和妻”とも呼ばれ、一種の贅沢品化が進んでいる。相当の覚悟と経済力がなければ維持できないポルシェ的存在になりつつあるのだ。そこで増えているのが、
・共働き家族
子供がいない場合を特に
・ディンクス(ダブルインカム、夫婦のみ世帯)
と呼んだりもする。


不況と少子化で増えてきたもうひとつの家族形態が、パラサイトシングルだ。
・大人の親子世帯=両親+成人した子供


同じ形態で、単身の子供が親を養ってる(世話している)場合もありそうなので、それも分けておこう。
・介護世帯=高齢の親+中高年の単身の子供


また、家族・家庭とは呼べないのかもしれないけど、友人と一緒に住む人も増えている
・単身者の共同居住(単なるルームシェアの場合も多いでしょう)


これくらいかな。だいたい皆さん、上記のどれかに当てはまりますか?

こうやって書いてみるといろんな家族の形態があるね。国や時代が違えば他にも、昔の“通い婚”や、中華系の家族で、叔父叔母の家族も同居してる“親戚一同大家族”もある。

西欧人を見ていると、女性の転勤に併せて男性が仕事をやめて一緒に転居し、一時的に専業主夫をする人も多い。彼らは“単身赴任”てのをしないんだよね。そんなことしたらほぼ確実に離婚になるので意味がないんでしょう。


で、これからの日本を考えると、
・不況はずうっと続き、夫婦両方が働くのは必然になるだろう。
・日本に仕事はなくなるんだから、海外赴任が多くなりそう。
・しかも、先進国の仕事じゃなくて、中国、インド、アラブ、アフリカ、南米などでの仕事が増えそうだよ。
という感じなのだけど、そうなると、今の10歳以下くらいの子供達が将来もつことになる“家庭の形”はどんな感じになるんだろう?って思います。


たとえば、23歳で就職したら3年後にはインドに行けと言われた。26歳で赴任して5年後の31歳までムンバイ勤務だった、と。26歳の時に既に結婚を約束している人がいたとしましょう。その人は、結婚してインドに来てくれるのかな。その人も仕事をもっている場合、どうするんだろ。

もしくは、26歳の時にそういう関係の人はいませんでした。いたけどムンバイにいる間に別れちゃいました。となると、31歳で日本に帰ってきて、さあ婚活だ!ってなるのかな。でも、日本には仕事はありませんからね、また3年後にケニアに赴任とかになるかもよ。

条件のいい人なら、日本にいられる3年の間に相手も見つかるって?まあそうなんでしょう。でもね、結婚して1年後に二人でケニアに行くのかな。そこで子供を産んで育てるんだろうか。2,3年で帰ってこられるならともかく、これからの海外赴任は長くなるよね。

そうなると“専業主婦”モデル以外では成り立ち得ないような気もするし、さらにその次の39歳からの赴任地が今度は南アフリカだ!とかいう話になったら・・・


「僕と僕の家族は、26歳までは日本人でした」


みたいな家族になるのかな・・・それとも転勤を拒否して転職する?


加えてこれからは、女性の方も海外赴任を任されるケースが増えるから余計に複雑だよね。企業側も今みたいに「お前あの国に行ってくれ」みたいな辞令はもう出せなくなるのかもしれないし・・・よくわかりませんが、相当いろんな影響がありそうに思う。

これって反対からみると、つまり親から見ると、自分の子供はもう日本にはずっといない、という状態になる。そうなると日本側の家族形態もどうなるんだろうなーと思います。今は単身赴任夫婦や、両親とも仕事があって子供がある場合、妻側の母親が子育てを手伝っているケースが多い。そのために妻の実家近くに家を買ったという人の話もよく聞く。

これも・・将来は「娘の子育てを手伝うために上海に1年ほど住むことになった」とかいう母親がでてくるかもしれない。さすがにアフリカだと想像しにくいけど、上海くらいだったらありそうだ。夫の方はどうするんだろ。日本に残る?それとも「妻が娘の子育てを手伝いに上海に行くことになったんで、私もついていくことになりました」みたいになるのかな。

それとも共働き夫婦の夫が中国、妻はインドで働いているので、その子供は日本にいる祖父母の家で育つ、みたいなことになるかも?そういう夫婦が多くなると、両親がどちらも海外に赴任している子供のための“寄宿学校”が増えたりして?


・・・これから「日本に仕事がなくなる」というのは、いろんな意味で社会の在り方を変えていくだろう。その中でも一番おもしろいのは、家族形態が大きく変わる、ってことなんじゃないかなー、とか思いました。


そんじゃーね。