小学生だった梅原大吾さんが友達の家でゲームをやって遊んでいた頃、「ゲームは一日一時間」というルールのある家が多く、時には「一日15分」と言われることもあったとか。
ちなみにプレイしていたのは、当時の大ヒット RPG、ドラゴンクエスト
ソレ、ちょっとおもしろいなと思いました。
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たとえば私は小学生の頃、本を読むのが大好きだったけど、「読書は一日一時間」なんてルールはうちにもないし、友達からも聞いたことがない。ましてや「読書は一日15分」とか、そんな家があったとは思えない。
ゲームの場合は、放っておくと子どもがいつまでもやってるから?
でも、あたしだって放っておくと一日中、本を読んでた。時にはごはん食べるのも面倒なくらい本に熱中してて、何度も呼ばれないと食卓につかず怒られた記憶がある。それでも、一日の読書時間に上限を決められたりはしない。
想像してみてください。
自分の子供が学校から戻った後、毎日 4時間くらい本を読んでる。
→ 一日の読書時間の上限を決めたほうがいいかな?って思いますか?
想像してみてください。
自分の子供が学校から戻った後、毎日 4時間くらいゲームしてる。
→ 一日のゲーム時間の上限を決めたほうがいいかな?って思いますか?
答えが違うとしたら、その理由は何?
マンガやテレビアニメはどうだっただろ?
マンガに関しては、毎日 5時間読むには物理的に 5時間もつ分量のマンガを日々手に入れる必要があるから、時間制限が必要なほどは毎日読み続けられない。
テレビアニメも、昔はリビングにしかテレビがなかったので、アニメの時間が終わると、親にチャンネルをとられちゃう。だから視聴上限のルールは不要だった。(ただ、多くはないけど「テレビは一日○時間」というルールがある家は存在してた気もする)
それと私は、「そんな暗いとこで本読んでたら、目が悪くなるわよ!」とか
寝転んで本を読んでる時に、「そんな恰好で本読んでたら、目が悪くなるわよ!」と言われたことはあるけど、
「そんなに本ばっかり読んでたら、目が悪くなるわよ!」と言われた記憶もないです。
否定されるのは「読む環境や姿勢が悪いこと」であって、決して「読むこと」じゃなかった。でもゲームなら、「そんなゲームばっかりしてたら、目が悪くなるわよ!」って言われるでしょ。
微妙な差だけど大きく違う。こう言われて育つと、無意識のうちに「読書は長くやっててもいいこと」で、「ゲームは余り長くやってはいけないもの」と刷り込まれる。
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それにしても「ゲームは一日15分」って、ちょっと極端じゃないですかね。
対談の時、梅原さんは「そんなルールじゃ一生クリアできない」って笑ってました。
当時のドラクエはセーブポイントが少なく、ダンジョンクリアしないとセーブできないので、一日15分とか30分のルールだと、永久にゲームを終えられない。
そりゃそうだ。
少なくとも、この「一日15分ルール」を決めた大人は、ドラクエの仕組みを知らない、よね? 自分はそれをやってない可能性が高そうでしょ。
なのに、「一日15分以上やったら、子どもに悪影響があるものだ」と判断してる。それって、何からそう判断するんだろ?
てか、15分以上やったらダメだと言われるものって、相当に悪玉扱いされてるよねと思って調べてみた。
そしたら、こんなサイトが見つかった → 文部科学省のページ
これ読んであたしは初めて、その時代背景を理解しました。ゲーム害悪論は任天堂がファミコンを発売した1983年から5年ごとに大ブームになってるんです。
・昭和58年=1983年 (ファミコン発売)
・昭和60年=1985年 (ドラクエ発売)
・昭和63年=1988年 ゲーム悪影響論のピーク (梅原少年 7歳)
・平成5年=1993年 ゲーム悪影響論の再ピーク (同 12歳)
・平成9−10年=1997−1998年 三回目の悪影響論ブーム勃発 (同 17歳)
そもそも文部科学省が税金使ってこんな調査してるくらいなので、相当の社会問題になってたんでしょう。そしてこの時期はゲーム自体が大ブームとなり、梅原さんがそれに集中していった時期とも完全に一致しています。
完全アゲンストの風の中でゲームにのめり込んでいくって、ほんと大変だったんだろうな。しかもこのページがまたすごい内容で、「ここまで言われたら、そりゃあ子供への悪影響が心配になるかもね」って感じです。
前に紹介した下記の本に、「人は急速に流行るモノにたいして、内容の如何に関わらず恐怖を感じ、警戒する。そして、なんらか悪いものに違いないと思い込む」って書いてあったんだけど、まさにそういう感じ。
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一般に人は、自分がよく知らないモノにはいい印象をもちにくいんです。インターネットだって最初はかなり警戒されてた。ケータイも悪者扱いされたよね。
最近は、自分自身ゲームやマンガが好きだった人が親の世代になり始め、認識も大きく変わってきてる。けど、当時の大人は初めてゲームを見た人が大半。
自分の知らないモノが空前の大ブームになり、子どもたちが目の色を変えて没頭してる。これはなんかヤバいに違いない!!! って感じだったんだね、きっと。
というわけで、今やゲーミフィケーションという言葉が生まれたり、アニメやゲームも含めて日本のポップカルチャーを盛り上げようなどと役所が旗を振る時代なのに、ちょっと前まではすごい勢いで悪玉扱いされていて、やったことなくても「一日15分まで!」とか言いたくなるような代物だったんだなと、ようやく理解した次第です。
そんな時代を乗り越えてプロになったのね。
大変すぎ・・
てか、文部科学省のレポートどう??
これが国が税金かけて作るべき報告書なのかな??
視力への影響とか、確かにあるかもしれないけど、ゲームが登場する前の時代だって、読書で目が悪くなってた人はたくさんいたと思うけどね。そっちは調べたのか? とか聞きたくなるよ。
そんじゃーね