先日、八王子を中心に北原国際病院、北原リハビリテーション病院などを運営する医療法人社団 KNI の理事長である、北原茂実先生と対談しました。スカーフやポケットチーフがおしゃれです!
<ダイヤモンドオンラインの対談記事>
・北原茂実先生との対談 前半
・北原茂実先生との対談 後半
対談のきっかけは、以前に私が北原先生の講演を聴き&ご著書を読んで、感想ブログを書いたこと。読んだのはこの本で↓
「病院」がトヨタを超える日 医療は日本を救う輸出産業になる! (講談社プラスアルファ新書)posted with amazlet at 14.10.24北原 茂実
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そのときに書いたブログはこちらですね → 医療を基幹産業にするという発想
先生は、医師でありながら、
・国民皆保険が諸悪の根源
・病院の株式会社化を認めるべき
・政治は社会を変えられない。社会を変えるのはビジネス
などの、(一見)過激な主張を繰り返されているわけですが、お話を伺えば伺うほど、「ほーんと、その通りだわ」と思えます。
特にすばらしいと思うのは、「いい病院を作る」「患者さんを救う」を超えて、医療を、社会システムの変革を可能にする巨大で有望な産業として捉える視点です。
今の日本の社会システムに対して、「おかしいだろう?」と思っている人はたくさんいます。
でも、どこをどう押せば、社会の仕組みを変えていけるのか。それがわからない。その焦れったさを、私も何度もブログに書いています↓
北原先生は、それを医療という基幹産業の変革を通して実現しようとされてるわけですが、何よりすごいのは、それを理論だけでなく八王子で、さらには、より規制も少なく、ゼロからの試みが可能になるカンボジアなど東南アジアで実行に移し、そちらで成果を挙げて、日本に逆輸入しようとされてるってことです。
世の中を動かすには、どこから始めれば良いのか、この勘所(あたしの言葉ではマーケット感覚)がすばらしい。
今回、あらためて認識しましたが、世の中を変える人が持っているのは、この3つに尽きます。
1.めちゃくちゃ高いエネルギーレベル
2.めちゃくちゃ目線の高いビジョン
3.めちゃくちゃ鋭いマーケット感覚
医療というと、自分にはあんまり関係ないと思う人もいるかもしれませんが、若い起業家の方は、なんらか機会を見つけて、北原先生の講演を聴いてみればいいと思います。
もしくは、本の一冊くらいは読んだほうがいいでしょう。視点が大きく変わるし、社会を変えるとは、どういうことなのか、よーくわかると思います。
先生の主張については、今回の対談やご著書などを読んでもらえればわかるので、最後にひとつだけ。
自分や家族が大病や難病にかかり、病院で治療を受けるとなった時、びっくりすることがあります。それは、私たちはものすごく高度な情報化時代に生きているはずなのに、病気の治療にあたっては、そのメリットが全く受けられないということです。
同じ病気になった人が全国にどれくらいいて、それぞれどんな治療を受けていて、その経過や副作用の状態はどうなのか。
病気になればごく当たり前に知りたいと思えることが、その分野の専門医でさえデータとして把握できていません。
当然ですよね。ひとりひとりの患者の治療記録は、病院を超えて共有されることがないのだから、誰も「全体像」を把握できないし、ましてやどんな薬や治療方法が、どんなタイプの患者に有効なのか、統計的に分析することなど不可能です。
今の時点で共有されているのは、論文になって学会や専門誌で発表されたものと、厚生労働省などが不定期に調査する局地的なデータ、あとは、医局つながりの個人的なネットワーク内において、医師の間で非公式に口頭で伝わる知見だけ。
つまり、未だに、コンピュータが存在しなかった時代に築かれた、伝統的な(?)情報ネットワークだけしか存在しないんです。
もし、すべてのカルテがオンラインでリアルタイムに共有されれば、他の病院で昨日起こった副作用の情報を、翌日に別の病院の医師も知ることができるし、
ビッグデータのAI分析を活用すれば、多忙な医師に変わり、「このタイプの人に、この治療法の効果が高い可能性あり」などと、コンピュータがサジェストできるかもしれません。
それなのに未だに、カルテの共有さえ進まない。
なんで、そんな状況が続いてるんだって?
ひとつは
「個人情報を共有するとプライバシーが侵害される!」とか「なにがあっても個人情報が漏洩しない、完全完璧な制度が確立されるまで、いっさい個人情報をデータベース化すべきではなーい!」と言い張る、変な人達のせい。
もうひとつは、
「病院がIT化に投資しても、一円も収入を増やさない」という現在の医療保険制度(皆保険制度)と、「病院が(大規模なIT投資の原資とできるほどの、大きな)利益など出す必要は無い。儲け主義を医療に持ち込むのは絶対ダメ!」という(株式会社化を認めない)病院制度のせい
そして最後が、
「治療記録を共有化したら、自分の誤診率の高さや過剰な検査&投薬、さらには古くさい治療方針がバレてしまう!」「そんなコトしたら、医療過誤訴訟で大変だ!」と恐れる、勉強不足な医師の反対のせい。
・・・ほんと、何とかした方が良いです。
(二人揃って) そんじゃーね!
キンドルもあるので、すぐに読めます↓
あなたの仕事は「誰を」幸せにするか?posted with amazlet at 14.10.24ダイヤモンド社 (2014-09-08)
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<過去の医療関連エントリ>
「すれ違う前提(医療編)」
医療を基幹産業にするという発想
医療って何なのか、ちょっとは理解しておきましょう