大前研一氏の本といえば、20年以上前に『トライアドパワー』を読み、「こんなモノの見方ができるなんてスゴすぎっ!」と感動してからよく読んでいたのですが、いつの間にかすっかり遠ざかっていました。
既に絶版。電子書籍もありません。中古本のみ。
追記の注)このエントリをアップする前は“一円中古本”がたくさんあったのに、一気に売り切れてしまいました。とはいえ、こんな古い本をプレミアム価格で購入する必要は全くありません。この本のスゴさのひとつは、「1985年段階で、こんなことを言えていたのか!!」ってところにあるからです。今読むなら下記の 3冊をどうぞ
でも最近はキンドルで安く読めるようになったので、ここ一週間ほど、新らしめの本を中心に 10冊弱、集中して読んでみました。
そしたら、「やっぱスゴイなこの人。ホントに70歳なの??」って感じだったので、中でも良かったモノを 3冊ほどご紹介しておきましょう。
まずはこちら。
景気対策からTPP農業問題、医療費増大問題、日本の製造業への在り方、観光業についてから、社会福祉制度、道州制に関してまで、よく言われるところの「日本の問題。ここを変えないとあかんよね」という論点がコンパクトにまとまってます。
しかも、どの提言もオリジナルで、ユニークな視点に溢れてる。その辺の新聞や雑誌記者とは目の付け所が違います。これが「おーまえクオリティ」って感じ。あたしは読んでる途中であれこれ考え始めちゃって、なかなか読み進めませんでした。
とても簡明な文章なので(このエントリで紹介する 3冊の中で、一番平易)、難解なビジネス書が苦手な人にもさらさら読めます。紙の本は 1700円だけど、キンドルなら 600円とコンビニ弁当みたいな値段なので、若い人にもお勧め。
★★★
次がこちら。
今度は国ではなく、企業がなぜ苦しんでいるのか、これからどーなるのか、という企業経営に関する視点と、「では、個人はどーすればいいのか?」という、個人向けの視点を合わせた一冊。
章立ては、
第一章 日本企業は今、何に苦しんでいるのか
第二章 これからの日本企業に必要な人材とは
第三章 世代別「稼ぐ力」をどう鍛えるか
第四章 産業“突然死”に備えるケース・スタディ
第五章 求む! 日本と日本企業を強くする新世代人
紙が 1500円で、キンドルは 900円
一冊目のは国や公共の在り方に関する本だけど、こちらは企業や個人に関する本で、それぞれが「稼ぐ力を取り戻すためには?」という視点で書かれています。
★★★
最後がこちら。大前研一氏が提唱する今後の日本の国の形。
紙は 1600円、キンドルは 1000円
私たちが今の政治家に失望するのは、日本がどういう国になっていこうとしてるのか、目指すべき姿を示してくれないこと。もしくは、示されたその姿が、「なにその神道国家??」みたいな強面な姿であること、ですよね。
そうじゃなくて、もっと合理的で、希望の持てる国家像はないの?
という問いに、キレイに答えてくれます。
クオリティ国家というのは、アメリカやロシア、中国のような「大国」とは異なり、「小さくてピカリと光るところのある国家」ってイメージなんですが、
そういえば最近、一人当たりGDPの上位国や、ユニークな制度をいち早く導入しちゃう国って、どこも(氏の指摘するように)
・小さく
・大国のそばにあり
・開放経済
なんだよね。
細かいところでも、スイスのボーディングスクールでの教育の話はちょっと衝撃的だったし、「国際バカロレアを日本で“日本語で”とれるようにしたい」という文部科学省のアホさ加減の指摘など、教育制度についての指摘についてもイチイチ考えさせられます。
また、「日本がダメなのは、大きすぎて危機感が持てないから」という洞察から、道州制の話にもつながり、最後のほうに載っている、GDPと人口を軸にとった表も説得力に溢れてる。地方行政の運営に携わる人にもぜひ読んで欲しいかな。
★★★
この 3つを読めば、
1.日本が抱える社会&公共政策の問題点に関する考え方
2.日本企業の問題と、その中で、個人がサバイバルするための方法、そして、
3.日本&地方が目指すべき姿
の 3つがセットで理解でき、
かつ、電子書籍なら合計たった 2500円でこれだけの知識と知恵が手に入る。あり得ないくらいお得です。就活前の学生さんに役立つことはもちろん、「国の在り方とか、今まであんまり考えたこともないよ!」って人への入門書としてもグッドなんじゃないかな。
てか、本ってほんとーにスゴイ。印刷技術の発明が世界三大発明と言われる意味がよくわかる。こういう人の知恵と洞察を、誰でも格安に手に入れられるようになったからこそ、世の中はここまで進歩できた。
今日から 11月。少し早いけど、自分へのクリスマスプレゼントとしてもいい買い物だと思います。
そんじゃーね!
注)電子書籍の販売価格は日々変動します。上記価格は、このエントリが書かれた 2014年 11月 1日のものです