お、ねだん以上、ニトリ

最近、ダイニングテーブルやスツールなど、「普通、こんなもん壊れないよね?」みたいなものが次々と壊れてしまいました。

でも、よく考えたらどれも 15年以上使ってる。なかには 20年を超えたものも・・・

「そりゃーガタも来るよね」ってことで、久しぶりに ニトリ にいって、いくつか家具を買いました。


そしたら、

・配送料 2000円 (一回)
・配送の時間指定  1000円(一回)
・組み立て料  2000円 (一点)
・不要家具引き取り手数料 3000円(一点)

と言われ、あれこれ考えて、合計で 7000円くらい手数料を払うことに。


こういった手数料について、「高い!」とか「サービス悪い!」と思う人もいるのかもしれませんが、私は、このタイプの分離プライシングをする企業に、極めて好意的です。

だって、「配送料も組み立て料も無料!」とした場合に何が起こるかというと、それらにかかるコストがすべて、商品全体の値段に上乗せされる(不可視化される)だけだからです。


そうなると、

1)自分で車で持って帰る人が、配送してもらう人のコストを負担し、
2)自分で組み立てる人が、組み立ててもらう人のコストを負担、
3)自分で粗大ゴミに古い家具を出す人が、ニトリに不要家具を引き取ってもらう人のコストを負担する

ことになります。


たとえば今回 買ったものの中には、170センチ高のシェルフがあるのですが、これは、本体 7000円、組み立て料が 2000円です。

このシェルフを買う人の半分が組み立てを依頼するとすれば、ニトリはそれを、

8000円のシェルフ。組み立て無料!

と言って売ることもできます。


でもこれじゃあ、自分で組み立てられる人まで、1000円高く払わされてしまう。


今回は“シェルフ 9000円 組み立て料込み!”と考えても、十分に安い(リーズナブルな)値段だと思えたので、私としては消費者に選択肢のある、

本体 7000円、組み立て料が 2000円

という売り方の方が、よほど誠実だと思います。


★★★


特にこれからは人手不足で人件費も高くなるので、こういったサービスを「無料!」にしてると、商品に(こっそり)上乗せされるコストは相当に大きくなります。


そんなのフェアじゃないでしょ?


これに限らず私は、全てのサービスを
・分離し、
・個別プライシングする
ことで、サービスの受益者負担を明確化する方法の方が大好きです。


反対に、

・次々と端末を買い換える人のコストを、長くひとつの端末を使う人に


・何度もキャリアを変更する人のコストを、長年、同じキャリアの契約を続ける人に、


・ヘビーユーザーが利用するサービスのコストを、ライトユーザーに、


・窓口で初期設定まで全部、店員にやってもらう人への接客コストを、なんでも自分でできる人に

長年、負担させ続けてる携帯・スマホ業界のプライシングは、ホントに腹立たしい。

っていうか、それって非合理なだけじゃなく、消費者にたいして不誠実でしょ?


★★★


今回はいろいろ考えた結果、買ったもののうち、大型の家具は組み立てを頼み、(キャスター付けるだけとか)ごく簡単なモノだけ自分で組み立てることにしました。


大型の家具もやろうと思えば自分で組み立てられるけど、一人でやるのは面倒だし、2000円なら、友達に手伝ってもらって御礼に食事を奢るより安くて気も楽です。


でも、これがもし学生時代だったら、当然、自分で組み立てます。学生なら自分も友人もヒマだし、御礼に奢るご飯だって 500円の定食で十分だしね。


このように、ひとりひとりが、「このサービスは自分にとっていくらの価値なのか?」と考えて選択できる。こういう分離プライシングが、もっと拡がるといい。

価値とプライシングについては、こちらの本に書いた通りで、この本を読んでくださった方は、ニトリが売っている“価値”が、“家具”なんかではないことに気が付いているはず。



それに・・・今回の場合、手数料に 7000円を払っても、合計金額と買った家具(複数)の内容を比べると、確かに、


お、ねだん以上 ニトリ!


って思えます。


家具が安いから、相対的にサービス料が高く感じるけど、それはむしろ商品本体の価格が品質に比較して安すぎるからで、

ニトリってほんと、家具界のユニクロだなと思いました。( or ユニクロがアパレル界のニトリなのかもしれませんが)



ところで、“お、ねだん以上 ニトリ!” っていう音(メロディ)の商標は、さっそくに取得したんでしょうか?



 そんじゃーね!


→ ニトリのオンラインショップはこちら

追記)さっき不要になる家具の処分を「粗大ゴミセンター」に申し込んだら、大型の家具でも 700円程度でした。


ニトリに配送のついでに持ち帰ってもらっても 3000円かかるコトを、行政は 700円でやってくれる。当然、税金の補助が入ってるからです。

(行政がこの価格を敢えて安くしてるのは、不法投棄を促進しないためでもあります)


ありがたいことでやんすね。

http://d.hatena.ne.jp/Chikirin+personal/  http://d.hatena.ne.jp/Chikirin+shop/