2019年 日本のキャッシュレス決済事情

最近、スマホ決済システムのシェア争いが過激すぎて笑えるレベル。

PayPay は早くも 100億円還元セールの 2回目を告知してるし、メルペイはメルカリユーザーを、ラインペイは LINE ユーザーを、楽天ペイは楽天ポイントユーザーを囲い込もうとあの手この手。

他にもメガバンク系やら独立系やら中国系やら、いったい何社あるんですかね。

もちろんすべての会社が「おれんちが生き残る! ブヒー!」と思ってるわけではなく、

「ある程度のユーザー数を集めたところで大手に買収してもらい、小金持ちになるのが目的でやんす。ブヒー!」みたいなところも多そうではありますが、

それにしても多い。

イオン(waon)やセブンイレブン(nanaco)といった小売り系電子マネーも、「○○日はポイント2倍!」とか「○○を登録したら○○ポイントプレゼント!」みたいなキャンペーンをやたらやってますが、

もはやまったく「めんどくさくてやる気になれない」私です。


さて、

こうなってくると、あまりに「余裕コキすぎ」で笑えるのが、我らが(いやなんの関係もないけど)Suica 様。

Suica とか icoca とか、sugoca とか言われてる交通系(JR系?)の電子マネーですね。


みなさん知ってます?

Suica っていくら使ってもポイントも付かないどころか、

最初にカード作るときに 500円のデポジットが必要なんですよ。

最近は日本に旅行にきた外国人向けに空港で Suica が売られてるんですけど、短期滞在の旅行者からまでデポジットを取ってるらしい。

さらにカードではなくスマホアプリで使う場合はもっとエグくて、「モバイルスイカ年会費」とやらを 1080円(かな?)毎年とられるんです。

たしかにアプリを開く必要もなくかざすだけで決済できる Suica の便利さは群を抜いてる(QR決済なんかより遙かに便利)とはいえ、

PayPay が 200億円配ってる隣で、ユーザーから会費を徴収してる Suica 様。

どんだけ殿様やねん!?

★★★

今日、美容院に行ったら、美容師さんが「Paypay の営業の人が来て、導入してくれって言ってきたけど、面倒だから断った」と言ってました。

まあそうだよね。

それにしても PayPay の営業担当者の方、こんな地味な店まで営業に回るなんてほんとーにご苦労様。


でもね。
Suica 様にはそんな苦労も無縁です。

だって Suica 決済を導入しないと、駅やら駅ビルには店が出せないんだもん。

日本の都市部で圧倒的な集客力を誇る「駅」、「駅ビル」、そして「駅ナカ」に店を出したければ、Suica 決済の導入は「ほぼ出店条件」です。

だから Suica の営業担当者には「お店開拓」の苦労もありません。

駅に、駅ビルに、駅ナカに店を出したい会社が列をなして待っているのだから。


しかも最近は(東京では)電車やバスだけでなくタクシーでも Suica 払いができるし、キオスクだけでなく自販機の飲料も Suica で買える。さらに駅のコインロッカーの「支払い兼カギ」まで Suica に変わって益々便利。

これで Suica が個人間送金の機能( Suica アプリ同士でお金をやりとりできる機能)を実装したら、もはや誰も勝てなくね?


Suica 恐るべし。

ライバル会社が 200億円バラまいてる市場で、年会費やデポジットを払わないと使えない電子マネーシステムを提供してる会社が併存する。

これが 2019年、日本のキャッシュレス決済市場の現実なわけですが、

はてさて最後に市場を握るのは、いったいどっちの会社なの?

てか PayPay が金をバラまけばバラまくほど Suica の地位の盤石さが際立つように思えるのは私だけ??

(高齢者なんて「ペイペイ」のことを「新しく生まれたパンダの名前」くらいに思ってそうだし・・)

★★★

さて、キャッシュレス決済についてはもうひとつ「ものすごーく摩訶不思議なこと」が 2019年の日本で起きつつあることも記しておきたい。

最近、郊外のスーパーマーケットでは、「現金決済専用マシーン」がどんどん増えてるんです。

「このご時世に現金専用?」「それなに?」って思う人、世の中のトレンドに疎すぎますよ!


商品の入った買いものカゴをレジに置くと、店員さんが商品のバーコードを読み、「○○円です」って教えてくれるでしょ。

カード払いや電子マネー払いの場合は、この店員さんにカードを渡したり、スマホをかざしたりして終了なんですが、

「現金で払いたい」という客は、

レジの先にある「現金決済専用マシーン」に(客だけが)行って、お金を払うというシステムが最近増えてるんです。


マシーンのスクリーンには決済額が表示され、お金を入れるとお釣りがでてくる。
ただそれだけのシンプルな機械。

もちろん 1080円の決済に 10080円を入れると、9000円を返してくれる賢いマシーン様。


ご丁寧に「レジひとつに現金決済専用マシンは2台」の割り当てとなっている店が多く、ふたり続けて「現金を取り出すのにモタモタする客」がいても困らない。

レジはさっさとそういう客を(現金決済専用マシーンに)追い出し、次の客の対応を始められる。


これ、
・店:レジがスムーズになり、レジ人員が少なくて済む=人手不足対策
・現金で払う人:モタモタしてても後ろの人から厳しい視点を向けられなくてすむのでハッピー
・キャッシュレス決済で払う人:前の人が現金を取り出すのにモタモタして待たされることがなくなりハッピー

という、三方良しの「ものすごくよく考えられた仕組み」ではあるのですが、

その一方で、「2019年段階で、まだ「現金しか使わない人」のために多大な設備投資をするのが日本という国なのだ」ってことについては、

「ちゃんと記録しておかねば!」と思わされるほどのインパクトがありました。

だって去年から今年にかけて、このマシン、どんどん導入店が増えてるんだよ!?

いいですか。「2019年現在、現金専用決済マシーンがある」のではなく「2019年現在、現金専用決済マシーンが増えてる」んです。この国では。


あの機械が一台いくらするのか、知りません。
でも 10万円以下ではないでしょう。数十万円から100万円くらいかな?

もちろん初期投資だけでなく、いろんな維持・保守コストも毎年かかります。

それでも今!

オリンピック前年の 2019年!

政府がキャッシュレス促進のために、何千億円もの税金を使おうとしている 2019年に!


民間企業の多くが「現金支払い客のために、多額の設備投資をしよう!」と考える国。

それが我らのにっぽん!

すげー!


設備投資っていうのは「将来、大きな利益を生むと期待して、先行してお金を投じること」をそう呼びます。

つまり小売店の経営者の多くは今(2019年に!) 現金で代金を払う客を(なんらかのインセンティブをつけてキャッシュレス決済に誘導するよりも)

彼らがそのまま現金払いを続けられるよう環境整備することが、我が社の今後の利益につながる!と信じてるんだよね。


キャッシュレス・アプリを使ってもらうため、200億円くばってる会社の横で、
知らん顔して年会費を取る会社もあれば、
多額の投資をして「現金支払い専用マシーン」を導入する店が増え続けてる。

今日はこの「 2019年の日本のキャッシュレス決済事情」というものを、(ぜひブログに)記録しておきたいと思った次第です。



そんじゃーね


追記)情報提供をいただきました。
来年には Suica も年会費が無料になるそうです。
今すぐじゃなくて来年?? …ほんと余裕あるよね。



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