小泉さん、お疲れ様です!

一足早いですが、ちきりん的「小泉さん政治時代の総括」など。超独断ですよ。超個人的意見ね。


<総合>
佐藤栄作氏、吉田茂氏につぐ「戦後3番目に権力の座に長くいた首相」の時代を、自分が身をもって体験できたことを、大変に嬉しく思います。「在任期間」って、「ただの日数」ではなくて意味があると思う。「長い」ということは「それだけの期間、国民の支持が続いた」ということだから。それに、余りに短いとどんなすばらしい人でも何もできないし。

彼が成し遂げたことの大きさは(言い悪いではなく、大きさ)が、「戦後3番目」であったかどうかは、それこそ「後世の歴史家の判断」だと思うけど、ちきりん的には、それなりのことが成し遂げられたと思います。



<ビジョン>
これが彼の勝因だと思う。対内的には「官から民へ」、対外的には「アメリカの同盟国」というビジョンをクリアに提示した。具体的な施策はこのビジョンにそって決定し、抵抗勢力が頑張ってもぶれなかった。やっぱリーダーはビジョンが大事です。


<運営&投資>
運営は「今をどううまく回すか」、投資は「将来を回す仕組みを、どう作っておくか」ですね。

運営側は、かなり成功でしょ。だから支持率が落ちなかった。景気はよくなった。銀行が立ち直ったのが大きいでしょう。それなりに新しい産業もでてきたし、昔からの日本企業も息を吹き返した。カネボウにダイエーにゼネコンに・・・と7,8年前には日本の多くの企業が痛みに痛んでいた。失業問題ももっと深刻だったと思う。かなりよくなりましたよね。

格差問題はよくわからない。ちきりんは、欧米などの西側先進国、元共産主義国、そして発展途上国から最貧指定国までいろんな国にいくけど、「日本ほど豊かな国」も「日本ほど平等な国」も見たことない。


投資側は、彼のビジョンからみて優先順位が低かったということでしょうか。あんまし何も手がついてないと思う。投資としては、教育、移民問題、科学技術政策等々があると思いますが、どれも大きな進展はなかった。次の首相の課題かしらん。教育は手を付けると言っているよね。あと、移民問題をなんとかしないとだめだと思う。産業政策側も必要になるよねえ、新たな成長のためには。ここは課題満載。


<外交&防衛>
北朝鮮に自ら行って、拉致問題の存在を公的に認めさせた、のはすごいでしょ。これは大きな功績です。そもそも日本の外交の相手側は、

・西側諸国と
・アジア諸国(中韓を除く)と
・ソビエトと
・中国と
・朝鮮半島と
・中東と
にわかれます。


このうち最初の「西側」と「アジア諸国」に関してはサンフランシスコ条約で吉田茂氏が一気に片づけた。ソビエトに関しては日ソ共同宣言の鳩山氏、中国に関しては毛沢東と握手した田中角栄氏、朝鮮半島のうち半分の韓国が日韓基本条約を佐藤栄作氏が結んできた。残りは、「共同宣言に過ぎない対ソ関係」=北方領土問題と、「北朝鮮」問題、くらいしか残ってない。

このうちのひとつに「画期的な一歩」があった、と思う。靖国問題のせいで小泉さんが中国や韓国のトップと会えないことをことさらに強調する人もいますが、ちきりん的にはあまりピンときません。中国も韓国も「トップが会えない」以外の問題は特にない、と思うから。


防衛は?ちきりんはよくわかりません。


以上です。

★★★

というわけで、ちきりん的には、小泉さんのこと好きだし、「さんきゅー」と言いたいし、「お疲れ様」と言いたいです。本当に、こういうトップの手法や存在を、直接見られたことにとても感謝しています。

彼のことを批判する勢力もあるようですが、それでもこれだけの高い支持率を5年間も維持してきた。そのことには、それなりの意味があると思う。


以上です。ほんとこの5年間、政治がおもしろかった。日本という国に希望がもてた。この国の進むべき路に、きちんと意思表明をしていこう、という気にさせてくれた。


お疲れ様でございます。


ではね。