彼我の差

海の向こうのアメリカとかいう国では“投資銀行業界”という業界が丸ごとひとつ消失しようとしております。そんな中日本では“保守本流、またの名を右翼系”政治家の大放言に関する報道が続いています。

この日米マスコミの報道ギャップに戸惑うちきりんなのでありますが、まあこれは、日本も大国であるってことなのよね。アメリカもそうなのですが大国ってのは大抵あんまり外国に関心がありません。外なんて見なくても食っていけるからね。

オランダなどでは皆3カ国語しゃべれますみたいなことが報道されますが、あれはつまり「オランダ語なんか話せても仕事は見つからない」ということであり、“小国”ってのはやっぱ「外のことにとても敏感」ですよね。スウェーデンなど北欧の国の人もみんな英語話しますよ。だってスウェーデン語なんて話せても日本で言えば「オレは犬と会話できる」くらいの価値しかない。


とか、ちきりんが言っても問題にはならないが、大臣が言えば大問題である。

ってことくらいわかれよ!

って感じです。


まあとにかく、

ロシアは相変わらず戦争真っ最中だわ、アメリカでは主要産業がひとつ消えつつあるわ、中国では16億人全員が神舟7号と宇宙遊泳のことしか頭にないわ、ドバイでは相変わらずにょこにょこ突拍子もない形のビルが建ちつつあるわ、シリアみたいなテロ輩出国でテロが起るだのと、世界はほんと大変なことになっている中で、「民主党が政権とったら日本全国大阪みたいになるぞ!」みたいなナイスな放言でみんなで騒いでいられるのは、本当にいい国に生まれたと思うですよ。


★★★


アメリカの金融業界だけを取り出せば、もう1929年とほぼ同じ状況なのでは?当時との違いはたぶんそれが他の場所に伝播していないこと。これは非常に大きい。

たとえばアメリカの中でさえ、金融が主要セクターであるNYやシカゴは大変だろうが、じゃあシリコンバレーが大変か?というと多分まだそうでもないのだろう。上にも書いたように、ロシアも中東も中国も日本も、またそれぞれ別のことに忙しく、「投資銀行業界が亡くなった!!」とか言ってても「なに?」って感じである。

これはつまり、知らず知らずのうちにやっぱ世界はすごく「多極化」していた、ということだと思う。


「アメリカが世界を牛耳っているように見えた」けど、実はそうじゃなかったということ。これは結構おもしろいことが証明されつつあると思うですよ。


なんですが、とはいえ全然影響がないわけではなく、次の2ヶ月、年末までは非常に重要な時期だと思います。混乱好きのちきりんとしては、なんともワクワクする次の2ヶ月であーる。これまではサブプライム問題とかいっても「アメリカの貧乏人が破産する」ということ“だけ”だったわけですが、投資銀行業界が消えるというのは「アメリカの金持ちが破産するかも」ってことですからね。こっちは結構大きな問題かも、なわけ。貧乏人が破産するのとはわけがちがう。


とか、ちきりんが言っても問題にはならないが、大臣が言えば大問題である。

ってことくらいわかれよ!

って感じです。


★★


もうひとつ。アメリカの金融業界の危機対応のスピードには驚くよね。日本が7,8年かけてやったことを1ヶ月でやってます、って感じだ。すごいっす。

この「早さ」がこの国の強さよね。

アメリカってさ、かなーりバカじゃん。たとえば「イラク戦争が間違っている」ということに、世界中がイラク戦争開戦の1ヶ月後くらいに気がつくのに、アメリカはそれがわかるのに約5年かかってますからね。なんでそんな時間かかるねん?っていうくらい理解力のない国です。

が、しかし、理解力はないが、行動は早い。

ジャイアンみたいな奴なわけだ。(腕力もそっくり)



まあとにかく「早い」。このことには感動する。


「朝令暮改」って日本語では否定的な意味があるでしょ?ころころ意見が変わる奴、みたいな。でもアメリカでは朝令暮改っていい意味だと思う。向こうに言わせると「ええっ、日本って朝と同じ意見なの?まだ?もう夕方なのに?」って感じなんだしょ。

すんごい間違えた道でも、どんどんやり直して、どんどん試して見る、(試しに爆弾落とされる国はたまったもんじゃない)そういうやりかたの国ですね。


というわけで、かの国から主要産業がひとつ消失し、対策が打たれ、もう一回くらい大混乱がおこり、その対策もすぐに打たれた頃、別の国では、「民主党が政権とったら全国は大阪みたいになるっ」とかと同じレベルの放言で、小沢民主党政権の大臣が次々と辞任に追い込まれてる、っていう、それくらいのスピードの差が、ある。


と思う。



(んっ? 結局どっちも進んでないじゃんって?)
(そっか。同じか?)


んじゃ。