飲酒運転ファシズム

最近の「飲酒運転ファシズム」的報道について、うーむ、のちきりんです。


飲酒運転自体に関して、ちきりんは厳しく考えています。

半年前にも書きましたが(http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20060326)、現行の業務上過失致死罪&危険運転致死剤だけでなく、「殺人罪」「殺人罪幇助」の適用可能例だってあるんでないの?と思ってます。

が、最近の報道ぶりは「飲酒運転ファシズム」って感じです。なんなんだ、これ。

★★★

だいたい地方には「車以外で飲みに来るのは不可能でしょ?」っていう居酒屋だのパブだのたくさんありますよね。ああいう店の前で警察が張っていたら飲酒運転なんていくらでも検挙できる。特定の飲食店を「つぶす」のも簡単だよね。客の大半が「長距離トラック運転手」っていうラーメン店なんて売上の2−3割はビール代だと思う。


自動車会社が「酒気」を感知するとエンジンがかからない自動車の開発を云々といってるけど、これ、企業として一番やばいのは、あきらかに「お酒のメーカー」でしょ。ちきりん的な感覚では、ああいう会社(○○ビール株式会社等)の今の売上の2割くらいは、「飲酒運転が見過ごされていることを前提とした売上高」ではないかと思う。本当にこれ、取り締まる気なら、これらの会社の売上、利益、そして、株価も相当さがっていくことになるでしょう。

でもさ、自動車の方は相当難しそうだが、もう発泡酒まで来てるんだから、もっとビール味に近いノンアルコール飲料をまじめにつくればいいじゃん、と思う。「酔う」という効果自体がどうしても必要、というなら、「人工的に加味」すれば、「効用時間」(酔っている時間)もコントロールできそうだ。飲んで1時間たつとアルコールが輩出されちゃう、とかさ。強制排出剤の方を作る研究とかさ。

なんにせよ、お酒メーカーはマジで取り組まないと、このファシズムが続いたら、会社の存続に関わる危機だと思います。


もうひとつは、地方の首長さんが、それなりに考えるべきだと思う。今は「飲酒運転をした公務員クビ」とかやってるけど、これもね、ほんとすごい沢山の人をクビにしないといけないかもよ。地方だと。

だいたい地方ってのは、仕事もなくて不景気なんだから、かわりに道もすいてて人件費も安いんだから「代行サービス」を興すには、非常に条件がいいはず。でも、一つの店とかがそんなこと導入できない。市とか村全体で取り組むべきだ。なんらか手をうつべきだよね。

もうひとつは前にも書きましたが、長距離運転手系の話。ここが圧倒的にこの犯罪の温床になっている。こっちは、配送を委託しているメーカー側の責任を問うようにするべき、というのが前回のブログで書いた主旨。

★★★

というわけで、ちきりん的には、アクションとるべきは、

(1)お酒会社
(2)地方の自治体首長
(3)家電、食品等々のメーカーへの(法)規制導入(経産省と国土交通省)


だと思います。


ちなみに、ちきりんの周りには、イマドキ飲酒運転する人なんていません。実家は地方にあり、ちょっとレストランに行くのに車を使う時も多いけど、そういう場合、「でかける前に」兄弟の中でじゃんけんして「今日は誰が飲まないか」ってのを決めてから出かけます。

これね、「出かける前」「飲む前」の判断が必要。「飲んでからの判断」というのは、もうアテにできない。「自分で」「自分が酔っているか」「大丈夫か」さえ適正に判断できなくなる。ここが難しい。


東京は車で通勤している人自体が少ないけど、そういう人は「かなりの金持ち」=都心に駐車場を借りている人、ということだから、飲みに行く日は車を置いて飲みに行く。(翌日、タクシーでくる余裕があるということ、です。)


飲酒運転って、普通の人が「殺人者」になる可能性のある唯一のパターンだと思う。自分の愛する人の姿を思い浮かべて、その人が、誰かの飲酒運転のために命を落とすとしたら・・・と想像したら・・・そんなことできなくなるよね、と思います。飲酒運転する人って、愛している人がいないのかもね、とも思う。



いずれにせよ、ちょっとやりすぎな報道です。マスコミもいい加減にした方がいいです。年金未納問題の時と非常に似てきている、と思います。誰が払ってないか、誰が、誰が・・・って。報道すべきは、もうちっと本質的な内容のはず。どこで誰が飲酒運転で捕まったみたいなニュースではなくてさ。ちきりんは上に「適当に」書いたけど、ロードサイド店の比率とか、そこでのお酒の売上の比率とか、取材をきちんとやれば、ことの本質も浮かび上がるはず。記者って何のためにいるのさ。って感じ。



ではね。