古い客・新しい客、古い会社・新しい会社

最近よく見るタイプの海外旅行のパンフレット。わざわざ“50歳からの”とうたい、ターゲットが定年退職者を始めとする高齢者だと明確にしています。(妻が夫より年下なので“50歳から”なのでしょう)

全体にゆとりのある日程を組み、歩く距離を短くし、いいホテルに連泊する。そのかわりお値段はかなり高い。夫婦2人参加で100万円以上というのが多いです。今年くらいから本格的に団塊世代が引退し始めているので、旅行会社としても本番&本気モードです。



上記はJTBのパンフレットですが、この業界、若い人はもうあまりJTBなど使わないですよね。HISのような新興旅行会社かネットの予約サイトを使う人が多いでしょ。

一方、高齢者は旅行のような高額商品をネットで購入するのはまだ慣れていないし、やっぱり安心できる“大企業”のツアーがいいと思っています。

というわけで、“古い会社は古い人をメインの顧客”とし、“新しい会社が新しい人(若い人)をメインの顧客”とする市場の棲み分けができてます。こんな感じ↓





もちろんJTBを始めとする大手旅行会社も若い人を取り込もうと努力してるし、格安旅行社だって「団塊世代」を取り込みたいと切に願っていると思うけど、なかなか難しいことも多い。



★★★


さて、先日来パナソニックがあれこれ大胆な事業撤退やリストラを打ち出しています。特にテレビ事業の不振が大きい様子。

パナソニックも古い会社の代表ですが、これはテレビが“古い人”にも“新しい人”にも売れなくなってしまったのでアウト!というわかりやすい構図です。



「いったい誰向けに商品作ってんの?」という点が明確じゃないと、こうなりまっせという悪いお手本みたいな話ですね。(円高という言い訳があってほっとしてると思います。)



そして最近話題の、モバゲーを運営するDeNAが野球チームを買収するというニュース。DeNAは新しい会社ですよね。そして、新しい人である10代から20代の顧客にがっちり食い込んでる。


でも、中高年以上にはどうか?というと・・・50才以上で“モバゲー”を知ってる人は一気に少なくなる。娘、息子がやってる場合、親としては知ってるけど、その場合は超イメージがよくない。「子供がモバゲーに夢中で勉強もしないし、お金もかかる!」と、思われてる。

そんな中、中高年以上に広く支持されているプロ野球の球団が売りに出された。これはなんとしても手に入れたい。

野球チームを買えば、これまた中高年以上に広く支持されている新聞に一年を通して「モバゲー」の文字が載り、プライムタイムのテレビニュースも毎日毎日「モバゲーモバゲー」言ってくれる。これらに毎日広告を出すのだと考えれば、年に20億円の負担は安いモンだという判断でしょう。



彼らとしては、別に中高年がモバゲーにはまってくれなくてもいいんです。親として教師として為政者として、モバゲーに少しでもいいイメージを持ってほしい。子供がモバゲーやってるのを許してくれればそれでいい。そして、(壊滅的な打撃となりかねない)変な規制だけ導入したりしないで欲しい。というあたりでしょう。

そうなれば、新聞&テレビに連呼してほしい言葉はまさに「モバゲー」なわけで、「会社名を変えてでも!」みたいなイキリ立った話になってるわけです。


・・・


(1)棲み分けか
(2)中途半端なことして全滅か、
(3)それでも敢えてどっちも狙いに行くか


それが問題だ。


そんじゃーね!