ちきりんは旅行好きで、今までも多くの国を旅してきました。ただ、海外出張の多い仕事をしていたため、一昨年に会社を辞めた後は「これからはいつでも海外に行けるから、急いであちこちいく必要はないかな」とも考えていました。
ですが最近、考えが変わりました。「海外で行きたい場所は、早めに行っておこう」という気になったのです。
理由は・・・「円が世界で通用するのも、あと10年くらいかも」と感じ始めているからです。
若い人にとっては「日本円が世界で通用しない時代」なんて想像できないかもしれません。けれど1985年のプラザ合意の前は1ドルは240円もしていて、海外旅行に行けるのは芸能人やお金持ちだけでした。普通の人が海外旅行をするのは(円という通貨の力が足りないために)ほとんど不可能だったのです。
その後の27年の間、日本円と日本のパスポートを持っていれば、学生でさえ世界を旅行することができました。でもそんな時代もせいぜいあと10年、合計40年くらいで終了かも、と最近は思っています。
たかだか5年ほど前、1ユーロは170円もしていて、「円で、欧州を旅行する」のは本当に大変でした。パリではビジネスホテルみたいな部屋が2万5千円もするし、ポンドも高くて、ロンドンでも日本人は自分達をものすごく貧乏に感じたはずです。
今はユーロ危機が騒がれ、消去法で選ばれた円に信任が集まっています。しかし日本がこのまま、消費人口・生産人口の減少を頑なに死守し、巨額の財政赤字を放置して増税も拒否し、中央集権ガチガチの40年体制を維持し続けるつもりなら、日本の通貨・円がこれから相当程度チープになっていく、というシナリオも十分にありえます。
なのでちきりんとしては、円の価値がもちそうな間に、世界の行きたい場所には全部、行っておこう!と思いはじめたわけです。
★★★
「何を呑気なことを! 円が信任を失えば石油も買えないし、小麦も、薬も買えない。海外旅行どころじゃないでしょ」という方もあるでしょう。
「円がダメだと思うなら、海外旅行じゃなくて海外移住して働くとか、貯金を海外の銀行口座に移すべきでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
でも、
円が超安くなって石油が買えなくなるからといって、「じゃあ、石油を買いだめしておこう」なんてありえません。小麦も薬もないと困りそうだけど、だからといって今から買っておくのは不可能です。
それにちきりんは「日本が大好き!」で、旅行には行くけど海外に住もうという気は全然ありません。そんなところに資産を移して「今、持ってるものを必死で守る系の姿勢」をしていては、新しい時代を乗り切るのはいずれにせよ無理でしょう。
でも海外旅行に関しては、「10年後に行けなくなる可能性があるなら、今のうちに行っておく」ことが可能です。「いつでも行ける」と思っていたら、円が安くなって高くて行けなくなったらスゴク後悔しそう。
今40代で「定年してから海外旅行を楽しもう」など思ってる人も、その頃には円で貯めたお金で海外旅行するのは難しいかもしれません。
ここ何年も韓国のウォンは安く、日本からも観光客が押し寄せています。誰も彼もが「安い安い」と山ほどのお土産を買い込んでいます。一方の日本は円高に原発事故もあって、海外からの旅行客は大激減。観光業という産業で見れば、韓国のほうが圧倒的に競争力が高くなっています。
それでも個人としてのちきりんは、「自国の通貨がウォンでなくてよかった!」と心から思っています。自国には海外からの旅行客が溢れているのに、自分達はどこにも行けないなんて哀しすぎでしょ。
特別な大金持ちでなくても、世界を見て回れる、強い通貨の国に生まれたことは本当に幸運だし、そういう時代に生きていることにも心から感謝しています。
そして、今は当たり前に思えるこんな状況も、最近は「あと10年かも!?」と思い始めました。だから早めにどんどん旅行しておくことにしたんです。
そんじゃーね

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