座れる街

最近、街中の道端に座ってる人が多いなあと感じます。ホームレスではなく、ごく普通の人が、椅子でもベンチでもないところに座っているのです。

特に多いのは渋谷のように若者の多い街。屋外にベンチがあるわけではなく、歩道脇の花壇のブロックや、お店の前の階段、ビルとビルの細い隙間にしゃがんでいる人もいます。

若い、その周辺のお店で働いている人や、街に遊びにきた人、スーツ姿のビジネスパーソンなど、人の種類もいろいろです。

スマホとタバコで休憩中という人が多いですが、バーガーやサンドイッチを食べている人、パソコンを開いて作業している人もいます。メモをとりながら、明らかに商用と思える電話をしている人も。


彼らがなぜ道端の、本来は座る場所でもないところに座っているのか、というと、

(1)屋内でタバコが吸えないため、道端に座っている
(2)カフェに入るのは面倒だし、お金もかかるため、道端に座っている
(3)歩行中に電話がかかってきたりメールが来たので、対応している。立ったままだと疲れるので、座っている
(4)コンビニやテイクアウト専用のファストフード店で食べ物を買ったが、食べる場所がないので、その辺に座って食べている

といったところでしょうか。


反対に、高齢者の多い街もみんなよく座っています。こちらはデパート内の椅子や公園のベンチが多いですが、やはり花壇のブロックに座ってる人も。彼らは体力的に長く歩くのが大変で、定期的に座りたくなるのでしょう。かといってイチイチ喫茶店に入るわけにもいかないしね。


こういう風景を見ていると、「もっと街中に無料で座れる場所があればいいのに」と思うのですが、都心だとそういう場所を提供するのもコストに直結するし、民間企業が公道の上に勝手にベンチを置くことはできません。

また、「ベンチがあちこちにある場所」として有名になると、そこで寝る人が(こちらはホームレス)現われます。街の関係者はどこでも、そういう人を集めたくないので、「座れる街」を作りたくありません。


渋谷などでは、「座り込む若者」も風物詩かなと思うと同時に、もっとあちこちに自由に座れる場所があればいいのにと思います。

今のところ街で無料で座れる場所としては、下記のようなタイプの場所があります。


(1)銀座や秋葉原などが休日に行う歩行者天国では、車を封鎖した車道の中央に、パラソルとベンチ、テーブルがでます。食事をしている人も多いですね。ただ、あれだと休日だけだし、「いかにも」という感じです。


(2)丸ノ内の一部の通りは、NYを真似してビルの一階にフリーの座れるスペースを設けています。他の繁華街や目抜き通りでも、こういうのが増えるといいと思います。


(3)コンビニにイートインのカウンターと椅子を設置するところが増えています。これ、韓国ドラマではずっと前から登場していて、「これ便利。日本でも始めて欲しい!」と思っていたら、最近でてきました。なお、韓国ドラマでは店の前に椅子とテーブルを出しているコンビニもよくでてきます。


(4)商用施設の一階ロビーなどに、みんなが座りやすい場所が設計してある。これはとてもありがたいです。ミニイベントが行われることも多く、集客にも一役買っていると思います。


上記のような場所もどんどん増えて欲しいし、それに加え、歩道のあちこちにベンチがあり、休んでるお年寄り、バーガー食べてる親子連れ、一休みしてるリクルートスーツの学生や、電話がかかってきた時にちょっと座って話してる会社員がいる、みたいな、

「座れる街」って、けっこういい感じだと思います。


そんじゃーね。