ここまで10回ちょっと、コンピュータ将棋に関するエントリを書いてきたので、今日は、私がこのシリーズを書くにあたって読んだ本など、“インプットしたことの一覧”をまとめておきます。
コンピュータVSプロ棋士―名人に勝つ日はいつか (PHP新書)posted with amazlet at 17.05.28岡嶋 裕史
PHP研究所
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最初に読んだのはこの本です。理由は kindle版があったから。
コンパクトに基本的なことが全部まとまってるので、電子書籍が好みの方にはこれがオススメ。
われ敗れたり―コンピュータ棋戦のすべてを語るposted with amazlet at 17.05.28米長 邦雄
中央公論新社
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この本は(ここで挙げた)他の本とは全く違います。
日本将棋連盟の会長として、どういう方針でコンピュータ将棋との対局を考えてきたかについてや、盤外の諸条件をどう考えていたかなどのエピソードを知ることができ、とても新鮮でした。
コンピュータ将棋の仕組みについて書いてある他の本と組み合わせると、電王戦の意味が立体的に理解できると思います。
ちなみにこの本を読んで私は、「人と違うことをする」って超大事よねと再確認しました。
そうじゃないと「自分である価値」がない。米長氏の人としての個性が伝わる一冊でもあります。
ボナンザVS勝負脳―最強将棋ソフトは人間を超えるか (角川oneテーマ21)posted with amazlet at 17.05.28保木 邦仁 渡辺 明
角川書店
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内容的には一冊目とも重なるのですが、保木さん(ソフト開発者)と渡辺竜王というトッププロの生の声で構成されているので、両方の視点が対比できる興味深い内容(構成)となっています。
渡辺竜王と Bonanza の対局は 2007年ですが、当時はこんなトッププロがテレビで生中継されながらソフトと対局できる時代だったんだと思うと感慨深いです。
人間に勝つコンピュータ将棋の作り方posted with amazlet at 17.05.28瀧澤 武信 松原 仁 古作 登 橋本 剛 小谷 善行 鶴岡 慶雅 山下 宏 金子 知適 保木 邦仁 伊藤 毅志 竹内 章 篠田 正人
技術評論社
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激指、YSS,GPS将棋、Bonanza、習甦などの開発者が、それぞれのソフトの誕生の経緯やプロセス、工夫などについて書いている本です。
コンピュータ将棋協会の会長・副会長なども、将棋ソフトの基本と歴史を説明されてます。
プログラム側の進化の経緯を学ぶには、大変参考になりました。
相当やさしく解説してあるし(それでも私には“だいたい”しかわかりませんけど)、開発者の方のソフト開発への姿勢や思いが垣間見れるのが何よりです。
頭脳対決!棋士vs.コンピュータ (新潮文庫)posted with amazlet at 17.05.28田中 徹 難波 美帆
新潮社 (2013-04-27)
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一冊目、三冊目などと重なりますが、人工知能研究からさらに進めて、ヒューマノイド研究について述べているのは、この本だけでした。
特に「コンピュータは、教え込んだ特定目的では人間に勝てるけど、目的自体を自分で設定しながら様々なことに対応できる人間の能力は、それとはまったく異なるものだ」とし、
人間がそういう能力=知能をもっている理由として、「人間には、常に死ぬ可能性のある“身体”があり、これを守るためという大目的があるから、そのために何をすべきか、自分で考え、学ぶのだ」というロジックがとても興味深かった。
たしかに私たちは「死なないため」という大目的のために、食べたい! 眠りたい! 危険を避けたい! 仲間を作りたい! など、様々なサブ目的を自分で設定して自律的に動きます。
以下、この本からの引用
知性の源となるのが「生きたい」という要求であるとすれば、知性は身体と切り離せない関係にあることになる。
なぜなら「生きたい」と思うことは、身体を持つことで生じる自己認識と、それが有限であることの認識とセットだからだ。
(中略)
すべてを教えてやらなくても、環境から自分で学習し、複雑に知性を進化させるには、「生き延びたい」という欲求と有限の身体が必要なのだ
だとすると、目指すべきはやっぱりアトムだってこと?
電源が切れそうになると、自分で「やばっ!」と思ってコンセントを探す、そんな“生存本能”をもったプログラムがでてくる日はやってくるんでしょうか?、
第二回電王戦の第四局で引き分け(持将棋)となった塚田泰明九段の手記が掲載されていたので買ってみました。
とても正直な感想が載っていて、かつ文章もユーモアに溢れていてとても素敵でした。やっぱり人間はめちゃくちゃおもしろい。
上記の本を読んだうえ、第二回将棋電王戦の第二局で、初めて現役のプロ棋士に勝利した ponanzaの開発者 山本一成氏のレクチャーを 8時間も受けました。(うち半分は片上六段も同席)・・・超贅沢なインプットですよね。
加えて、数多くのネット記事と関連動画も視聴しました。
以上が、私が今回のシリーズを書くにあたって摂取した(?)インプットのすべてです。だいたい全体で、25時間くらいかな。
・書籍を読んでた時間 11時間
・焼肉食べながらのレクチャー 8時間
・ネット上の情報をあれこれみていた時間 6時間
そして、それらのインプットによって生成されたのが、下記のアウトプットです。
<コンピュータ将棋 関連エントリの一覧>
1) 『われ敗れたり』 米長邦雄
2) 盤上の勝負 盤外の勝負
3) お互い、大衝撃!
4) 人間ドラマを惹き出したプログラム
5) お互いがお手本? 人間とコンピュータの思考について
6) 暗記なんかで勝てたりしません
7) 4段階の思考スキルレベル
8) なにで(機械に)負けたら悔しい?
9) 「ありえないと思える未来」は何年後?
10) 大局観のある人ってほんとスゴイ
11) 日本将棋連盟の“大局観”が楽しみ
12) インプット & アウトプット ←当エントリはこれです
情報収集にかかった 25時間に加え、アウトプットの文章を書くにも一エントリ平均 1時間はかかっているので、合計で 40時間弱が「リソース投入時間合計」です。
当初の予想よりたくさんの時間を投資しましたが、アウトプットのクオリティに関しては、必ずしも満足のいくものではありません。
生産性は悪くない気がしてるけど、絶対レベルがもうちょっと高ければよかったなとは思います。
なんせ将棋もコンピュータも全くわからないという二重苦だったので、なにか大事なことがわかってない気もしています。(が、それが何かはわかってないという状態です)
あと 40時間くらい勉強したら、もうちょっと違うことが書けるかもしれません。
でも今回は、新しいことを学べてとても楽しかったです。
長い時間をかけてご協力くださった山本一成さんには心より感謝しています。これからも ponanza の益々のご活躍に期待しています!
お勧めいただいた下記の本も、そのうち頑張って読んでみたいと思います。(20年以内くらいには・・)
ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるときposted with amazlet at 17.05.28レイ・カーツワイル 井上 健 小野木 明恵 野中香方子 福田 実
NHK出版
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あと、これは皆さんからいただいた回答のセンスがすばらしく、予想外に笑えました→番外編)将棋とコンピュータ将棋の違いをツイッターで聞いてみたら?