「7年後」より「来年」

2020年の東京オリンピックの開催が決まり、いろんな人が「次の 7年の間に○○を成し遂げよう!」的な意見を発表。さっそく株価も上昇したりと、久しぶりに日本が明るい雰囲気につつまれています。

私も、オリンピックまでに是非にと思うことはいろいろあります。たとえば、


1)停滞の時代にピリオドを打ち、原発問題も解決を

デフレ時代を終わらせ、「稼いだお金をとりあえず貯金する」ではなく、「次の給与であれを買おう!」という社会に戻れることを祈ります。前者は不安につきまとわれる社会であり、後者はワクワクのつながる社会です。

また、安倍総理はあれだけ力強く国際的に公約をされたのだから、原発問題を収束させるため、お題目を超えた本気の取り組みをしてほしい。


2)東京を世界で競争できる都市に!

世界は都市間競争の時代で、東京は極めて有望な可能性のある都市です。これを機にさらに魅力的な都市になってほしい。

ハード面では国際資本に呑み込まれないローカル色をより強化しながら(参考エントリ:「やっぱり街はローカルが勝ち」)、もっともっとバリアフリーを進め、外国語表記を増やし、公衆ネット網を整備し、新幹線にスーツケース置き場を新設し(!)、公共交通機関の夜間営業を増やしてほしいです。

ソフト面では、商売に関わる人以外も含め、全員が各国からのお客様に「おもてなし」を提供できればいいなと思います。

今から 7年間、本気で英会話を勉強したら、今はひとことも話せない子供や大人も、ボランティアガイドができるレベルまで上達するはず。英語である必要もありません。タイ語やインドネシア語など、いろんな国の人をその国の言葉で迎えることができたら、どんなに素敵でしょう。


3)地方はこの機会を逃すな!

東京オリンピックを「東京だけ」に終わらせる必要はありません。日本全国、いろんな都市が、海外から来られた方にちょっとでも知ってもらえるよう、いろんな工夫をすべきでしょう。

他の先進国においても、地方に旅するのは(外国人にとって)かなり不便です。日本の地方都市はその多くが新幹線を始めとした鉄道網で到達できるし、空港も多すぎるくらいあります。

オリンピック期間とその前後の1ヶ月だけ各駅からのいろんなバスを走らせるだけで、温泉や名所、地方の美しい日本を見てもらえます。次の 7年の間にぜひ作戦を練ってください。


4)世界に開かれた国になりたい
これは放っておいても進むだろうとも思いますが、より世界に開かれた、多様性を受け入れられる国になるといいなと思います。留学してきた人たちが、この国に住みたい、働きたいと思ってくれるなら、是非にといえる国になってほしい。

もちろんオリンピックで日本のすばらしさを発見した人がそう思ってくれるのも歓迎したい。違う宗教の国の人たちでも、食事場所やお祈り場所に困らないようになってほしいし、特定の人たちをターゲットにしたデモやら誹謗中傷の少ない社会を目指したい。

旅行にしろ留学にしろ働くためにしろ、いろんな人に来てほしい。



5)今からでも開催理念を!
招致活動において日本は、「オリンピック開催の理念がイマイチ明確でない」と言われてきました。そんな中でもせっかく選ばれたのだから、ぜひ何らか「東京オリンピックは、この点で今までのオリンピックと大きく変わった」と言われるものを見つけられたらと思います。

たとえば世界のあらゆる国で、(高額なテレビ放映権が払えない国でも!)いろんな分野の一流選手のプレーが見られるようにしてあげられたらすばらしい。

その他にも、技術が世の中をどう変えていくのか、そういうのがわかるオリンピックになったらいいなとも思います。・・あたしなんかよりよっぽどいいアイデアを持ってる人はたくさんいるはず。ぜひ何か、世界が「それいいね!」って思えるものを(コンパクトな開催のオリンピック以外にも)掲げてほしい。



そして最後に。

今はやたらと盛り上がっているけれど、7年とは長い期間です。自分の年齢、子どもの年齢、親の年齢を考えれば、それはすぐにわかるはず。

これから 7年間、株価や不動産が上がり続けるなんてありえないし、現実的にはその間に、大きな地震がまたどこかで起こる可能性だって十分にあります。


だから個人としては、 7年後に大きな目標をおいて、それに向けて突っ走るのではなく、そこまでの一年一年を楽しんで生きることのほうが、よほど大事だと思います。

日本や東京やオリンピックは、これからも延々と続いていくけれど、個人の人生は有限です。7年て人生全体の10分の1ですからね。残りの人生の中でみたら、もっとウエイトが大きいでしょ。


私には「素敵な 7年後」より、「来年が今年より楽しい」ことのほうがよほど大事です。大きな目標が掲げられるとついつい、「その目標を達成するまでは、つらくても文句を言わずに頑張るべき」「それまでは努力を続けろ」的な発想になりがちですが、



人生は結果ではなくプロセスを楽しむもの



=「何を成し遂げたか」ではなく、「楽しかったか?」のほうが圧倒的に大事


だということを、忘れずに。


そんじゃーね