このエントリは昨年から続く連載シリーズの第六回です。
第一回 浅草から考える多文化共生
第二回 インバウンド観光にみるムスリムの可能性
第三回 B級グルメから神戸ビーフまで
第四回 産業政策としてのハラール認証
第五回 dietary requirements ?
昨年、取材に訪れた HALAL EXPO JAPAN 2016 の会場では 、これまで紹介してきた食品やグッズの展示に加え、講演やファッションショーも行われていました。
残念ながら講演を聴く時間はなかったのですが、ファッションショーは最前列で鑑賞させていただき大感動! 今日はその写真も交えながら、ムスリムファッションについて書いてみます。
こちらがエキスポ会場に作られた本格的なファッションショーの舞台
モスリムファッションは「髪を隠す」「手足も隠す」など露出が少なめで「体の線も見せない」のが原則。
なので「モデスト(=謙虚、控えめ、隠す)ファッション」とも呼ばれてるんですけど、
体はすっぽり隠してるのに、けっこうセクシーな感じだったりしますよね。
さて、こちらのファッションショー。メディアもたくさん来てました。
しかも NHKなど日本のメディアだけではなく、ほぼ全世界のアラブ人に視聴されている国際放送アルアラビヤも取材に来ていたし、
→ Tokyo holds its first fashion show for Muslim women
ショーの様子を伝えたアルジャジーラの動画はなんと再生数が 465万回!! シェアも 9万件近くになっています。まじ?
→ Japan's first fashion show for Muslim women lit up Tokyo
主催のハラールメディアジャパン株式会社が「日本でムスリムのファッションショーをやる!」と発表した時には、問い合わせの国際電話が止まらくなるほどの反響があったらしいです。
というのも・・・世界全体のファッション市場は 100兆円程度の規模なんですが、そのうちなんと 27兆円がムスリムファッションなんです。
これは、日本のアパレル総小売り市場の 10兆円弱はもちろん、アメリカのファッション市場、23兆円より大きい。
しかもモスリム人口の増加やイスラム諸国の経済発展で、2019年には 48兆円に拡大するとも言われています。
(資料: Inside the booming Muslim fashion industry, アルジャジーラ
巨大なムスリム・ファッションの市場には、ダナキャラン・ニューヨーク、ドルチェ&ガッバーナなどの人気ブランドも既に参入、
世界でトップを目指すユニクロも、もちろんガッツリ取り組みを始めています。
→ ユニクロのイスラム教徒向けファッション
→ ユニクロが日本でムスリムファッションを展開する理由
ちなみにユニクロの銀座店でも売られてるそうだから、興味のある方は一度、見に行ってみたら? もちろんモスリムじゃない人でも着られるし、実際、日本人にも人気のようです。
それにね、もし日本が本気でこの市場に乗り出せば、その競争力はかなり高いのでは? とも言われてるんです。
だって今でもムスリムの女の子の中には、日本のロリータファッションに夢中になってる人もいるし、
京都で作られてる着物生地で作られたヒジャブ(ムスリムの伝統衣装)も人気らしい。
そういえば和柄の生地が素敵だと、わざわざ日暮里の問屋街まで布地を買いに行くムスリム観光客までいるほどだとテレビで言ってました。
さらに和柄やデザインだけでなく、生地や縫製も日本製は大人気。
この記事にもあるように、中東で男性が着る白いワンピース型の伝統服、トーブの生地では、高級品市場における東洋紡の生地シェアが 70%!なんだって。
他国製の倍の値段でも「圧倒的に着心地がよく機能性に優れている」と、富裕層にとっては東洋紡のトーブを着るのが当然らしい。
ショーではモデルさんと一緒にデザイナーの方も挨拶されてましたが、
文化服飾学院出身の方らしいですけど、マーケット感覚がすばらしいですねー!
→ 日本人デザイナー 井上里英香さんのインタビュー記事はこちら
というわけで、「食」のハラールに並んで「衣」のモデストファッションについても、めっちゃ可能性がありそうでしょ?
その可能性をもう一度、確認したい方、最後にこちらの動画をどうぞ。完全なダメ押しになると思います!
→ モスリムファッションの可能性について
ショーの後、記念撮影される関係者の皆様。みんなとっても嬉しそうですねー。
ホントに素晴らしかったです!