興味が出てきた方、ぜひアクションを!

昨年から続く連載シリーズの最終回です。

第一回 浅草から考える多文化共生
第二回 インバウンド観光にみるムスリムの可能性
第三回 B級グルメから神戸ビーフまで
第四回 産業政策としてのハラール認証
第五回 dietary requirements ?
第六回 モデスト・ファッションって知ってます ?

さて、最終回の今日は、これまでの取材&インタビューで感じたこと、そして、取材元のハラールメディアジャパンからのメッセージをまとめておきます。


まず声を大にして言いたいのが、日本は今まさにムスリム・フレンドリー国家になるべく猛ダッシュを始めるべきタイミングだということ。

慰安婦像を増やし続けるなど政治問題が片付かない韓国、政府の税制や規制強化でいっきに行動様式の変わる中国からの観光客と異なり、

インドネシアやマレーシアと日本の間には大きな政治問題もなく、かつ、これらの国の人はみんな大の日本好き。

もちろん中東アラブの国でも日本食や和の文化の評判はすこぶる良いし、こちらは世界きってのお金持ち。

しかもアメリカでは、イスラム教徒の入国を制限するとまで言ったトランプ氏が大統領になりました。

今後ムスリムの人にとってアメリカは、今までのような「多様な人種を受け入れる寛容な国」とは映らないでしょう。

そんなタイミングで、日本が一気にムスリム・フレンドリーな国になることは、留学生にしろ観光客にしろ世界のムスリムを惹きつける大チャンスなのです。


しかも昨年末にアブダビで行われた World Halal Tourism Awards 2016では、

日本が、ムスリム・フレンドリー対応の充実した(ノン・ムスリムの)国に与えられる賞の 「成長市場部門」で 1位 になりました。

ムスリムツーリズムの世界でも、日本は今、めっちゃ注目されてるんです。


加えて現在の東京都知事の小池氏は、カイロ大学を卒業したイスラム通。

フェイスブックでも「ラマダン月に都庁でのイフタール開催を検討」と言われてます。
※イフタール=ラマダン月、日の出から日の入りまで飲食をしないイスラム教徒が、日没後に行う特別な食事会

今はあれこれお忙しい知事ですが、都議会選が終わったあたりからはアラブ通の強みを活かし、このあたり一気に話が進むかもしれません。


ちなみに ムスリム産業を国の主要産業と位置づけるマレーシアでは、

なんと GNP の 8.7%がムスリム産業。ハラール関連の輸出額だけで年間 400億リンギ(約一兆円)に上るんだって。

兆円単位になってるだなんて、もはや一国の有望産業って感じです。


★★★


それと今回、もうひとつ印象的だったのがファーストリテイリング(ユニクロ)について。

同社は前回の「難民支援のエントリ」でも、支援に積極的な企業として名前が挙がりました。

そして今回も モデスト・ファッションへの対応企業として登場。

ほとんどの日本企業が関心を示さない、でも世界的にみると大きな話題となっている難民支援やムスリム・ファッションに、すでにきっちり向き合ってる。

同社が英語を社内公用語にすると発表したのはもうかなり前だけど、言葉だけでなく本当にグローバルカンパニーになろうとしてるんだなーと、今回よーくわかりました。


★★★


ムスリム対応には「街ぐるみのわかりやすい取り組み」が重要です。

これはハラールメディアジャパンが協力して作った、ムスリム観光客用の浅草を含む台東区マップ。

レストランや施設にハラール対応食があるか、お祈りスペースがあるか、wifi があるかなどが、わかりやすくマーク化されており、日本語のわからない観光客にも安心です。


東京だけではありません。こちらは栃木県の佐野市の取り組み。こんな動画まで作っちゃってて、まじですか。楽しすぎます!


※ 佐野市の取り組みについての記事


取材を受けてくださったハラールメディアジャパンの守護さんは、
「準備なきところに、ムスリムの人達が来ることはありません。街全体でムスリム対応を行うには時間もかかります。今からじっくり取り組みませんか?」とのこと

関心のある自治体(行政担当者)の方々、ぜひ一度、同社に相談してみてはどうでしょう?

もちろん個別の飲食店や宿泊施設の方で、「対応を始めたい!」というご相談も大歓迎。

特別な屠殺処理が必要な肉類と異なり、海鮮系のレストランならその対応も案外簡単なんだそう。


あと、観光案内所はもちろん、商業施設だって「お祈りスペース」があるだけで、ムスリム観光客が立ち寄ってくれるのだから、集客力が期待できるキラースポットになります。

小さな礼拝スペースを作るくらいなら大がかりな工事は不要で、設置も難しくありません。


こちらはハラールメディアジャパン代表の守護彰浩さん。
「今回のシリーズエントリを読み、行動を起こしたくなった方はぜひ当社までご連絡下さい」とのこと。

→ ハラールメディアジャパン問い合わせ先


それと、これでムスリム関係に興味が出てきた人、今年のエキスポを覗いてみるのもいいかもしれません。
大阪と東京では既に日程も決まってます。

・2017年 5月 15日、16日 @大阪
・2017年 11月 21日から 23日 @東京

加えて次はシンガポールでも開催を検討中とのこと。都合が合えばぜひ私も行ってみたいところです。


以上、長い連載をお読みいただきありがとうございました。
この件については今後も継続的にウオッチしていきたいと思います。



そんじゃーね−。


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