旧満州エリア、一緒に旅行する?

当ツアーは満席となりました。キャンセル待ち人数も多数となったため、現在お申し込みを停止しております。


今年の 9月に中国の東北部、いわゆる「旧満州エリア」を訪ねる予定です。

「私も行きたい!」と思われる方は旅行内容など詳細確認の上、旅行会社サイトからお申し込みください。申し込みは 7月 4日(火)12時(正午)から可能になります。

当初は昨年のラオス旅行と同様、ひとりで行くつもりでユーラシア旅行社にルートや日程を相談していたのですが、途中でふと思いつき、その旅行を一般販売してもらうことになりました。

昭和史に関心のある方はよくご存じの通り、満州は日本があの戦争に突っ込んでいった(突っ込まざるを得なくなった)原点と言える場所です。

大日本帝国が、いわゆる“ラストエンペラー”愛新覚羅溥儀を満州国の皇帝に据えて傀儡政権を樹立。

実質的には日本の植民地としたため、当時は多くの日本人が新生活への希望を抱いて大陸へと渡っていきました。

たまに亡くなられる方の経歴で「生まれは満州」と聞くこともありますよね。また、「満鉄」や「満映」といった国策会社名についても、耳にされたことがあるでしょう。


このエリア、今はまだギリギリ日本統治時代の建物や町並みが残っていますが、既に戦後も 70年余。今見ておかないと、いつ無くなってしまうかもしれません。

しかも北朝鮮と隣接する地域なので、万が一の時にはすぐに外国人・立ち入り禁止となるでしょう。

なので私も「早めに行ってしっかり見てこなくちゃ」と思っていました。

キメラ―満洲国の肖像 (中公新書)
山室 信一
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※「満州について知りたければこの本を」と出口治明さんに勧められ、今読んでる最中です。


旅程など詳細は、ユーラシア旅行社の説明ページにてご確認ください(当エントリの一番下にリンクがあります)。

ざっくり説明すると、9月10日(日)に成田発で、帰国は9月18日(月)。最後の月曜日は祝日ですが、11日(月)から15日(金)までの一週間は平日です。


ルートは・・・まずハルビンに飛び、その後、長春、瀋陽、丹東と旧満州エリアを南下しながら、最後は大連&旅順から成田に戻ります。

黒竜江省のハルビンはシベリア鉄道でモスクワともつながる北部の街。清朝時代に帝政ロシアが築いた異国情緒溢れる町並みが残っています。

ロシアの後は日本が支配。

市内や郊外には、恐怖の人体実験を繰り返していた(とされる)七三一部隊の跡地や、抗日運動について伝える博物館が存在しており、

今回のツアーでは、そういった「一般的な日本の観光ツアーでは省略されがちな場所」を数多く訪ねます。

ちなみにハルビン駅は、伊藤博文が韓国(朝鮮)の独立運動家、安重根に暗殺された場所でもあります。


ハルビンの次は吉林省の長春。ここは満州国の首都だったため、多くの歴史的遺構が残っています。

関東軍司令部など日本の統治機関であった建物の多くは入場できず、外部からの見学となりますが、溥儀の仮宮殿であった建物が歴史博物館になっており、じっくり見学できます。

流転の王妃の昭和史 (中公文庫)
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※ 満州国と日本の関係を強固にするため政略結婚させられたラストエンペラーの弟、溥傑と日本の侯爵令嬢 嵯峨浩さんの物語。時代に翻弄されつつも決して諦めない、ふたりの愛と絆がすごいです。


そして遼寧省の瀋陽に移動。

ここでも故宮など定番の観光スポットに加え、満州事変の引き金となった柳条湖事件についての博物館や、当時の重工業を支えた工場跡などを訪ねます。

日本はいったい満州で何をしようとしていたのか。その空気を肌で感じられる旅になればいいなと。


その後は撫順、そして丹東ですね。既製の観光ツアーでは撫順・丹東まで足を伸ばすことはほとんどないんじゃないかな。

撫順では戦後に溥儀が収監され、思想教育を受けた刑務所や、日本軍による大量虐殺が行われた(という)場所にたつ博物館を訪れます。


なお、こういった場所はあくまで中国政府の視点で整備されており、日本人が見学して気分の良いことばかりではありません。

私は過去に南京虐殺博物館、盧溝橋博物館、そして韓国での日帝時代の様子を再現した歴史博物館を訪ねていますが、史実の正確さ、視点の偏りなどについては疑問を感じることもあります。

それでも、少なくとも「中国では今、こういう展示がされている」と知ることも、私たちには大事なこと。

思想的に極端な主張に飲み込まれることなく、中立的かつ冷静な気持ちで観光できると思う方のみご参加ください。


次が丹東。鴨緑江を挟んで北朝鮮の対岸に位置する街です。

ここでは鴨緑江で観光船に乗り、北朝鮮側も観察できます。北朝鮮と中国の共同経済開発地区にもバスで乗り入れる予定。

普通、こんなことまでする日本のツアーは無いと思うのですが、今回は、中国と北朝鮮との関係(近さ)をリアルに感じるため特別に含めて頂きました。


その後、大連&旅順では、10年程前から見学が可能になった旧満鉄本社や大連現代博物館、旅順では日露戦争の激戦地 203高地などを訪れます。

食事も満州時代の社交場かつシンボルであった旧大和ホテルのレストランと、日本企業も多く進出する大連経済技術開発区のレストランを 1日ずつ予約しており、「満州と中国東北部の今」の両方を体感できるよう工夫しています。

とめられなかった戦争 (文春文庫)
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※ あの戦争はなぜ未然に防げなかったのか、なぜもっと早く終わらせられなかったのか、平易に書かれた読みやすい解説本。今回の旅行に行く方には必読かも


移動には鉄道と貸し切りバスを使います。ホテルは四つ星クラスで(日本と同じとはいいませんが)快適に滞在できるはずです。

最少催行人数は 10名。私以外に 9名が申し込めば催行が決まります。最大は 15名。加えて日本から添乗員さんも同行されます。

料金は、ひとり参加で 248,000円 + 45,000円(一人部屋追加料金)、ふたり参加で 248,000円。

お申し込み順に受け付けますが、申し込み開始日の 7月 4日からの 1週間については、ひとり参加の方に優先してお席を割り当てます。


詳細は下記ページをご覧ください。(内容が当ブログと異なる場合、下記ページのほうを信じてください)

→ A) ツアー紹介と申し込み手続き、質問方法などについて

→ B) 詳細日程表と旅行代金について


質問のある方は申し込み前に旅行会社にお問い合わせください(上記 A ページに連絡先あり)。

私は旅行の販売者ではないので、私にツイッターで質問してくださっても回答できません。


できれば「どこでもいいから“ちきりん”と旅行したい!」ではなく、旅行内容に関心のある方にご参加いただけるといいな。

極端な話、私が出発日の前日に死んじゃってもツアーは催行されます。それでも行きたい旅行か?と考えて申し込んでね。

ラストエンペラー ディレクターズ・カット  [DVD]
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※ ラストエンペラーについては本もたくさんでており、どれもおもしろいのですが、長い(分厚い)ものが多いので、手っ取り早く理解したい人には映画が向いてるかも


ひとり旅も好きだけど、今回は食事や移動の際に、その日に観たものについて感想を交換をしたり、

これからの日中関係や、二度と戦争なんてしないタメには何が必要なのかなど、同行の皆様といろんなお話ができるのを楽しみにしています。

事前に「こういう本を皆で読んでくといいかもね」といった関連図書も紹介します。ちょっとした「スタディツアー」とも言えるかな。

それでは皆様、よろしくご検討くださいませ。



そんじゃーね。


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