先日、2週間かけて韓国を旅行してきたので、その日程をご紹介。
韓国旅行といえば、グルメ、エステ、ショッピング、推しスポットやドラマのロケ地巡りなどが人気ですよね。でも今回の旅の目的は、「韓国の近現代史に関する資料館や歴史博物館を巡ること」でした。
私はコロナ前、中国の東北部=日本が満州国を設立したエリアを同じ趣旨で旅行しています。
→ 【共同企画事例】社会派ブロガー「ちきりん」企画 中国東北部、旧満州の旅 | ユーラシア旅行社
それがすごく楽しく、かつ勉強になったので、今回は、その韓国版を企画、体験してきました。
「中国や韓国では、自分たちの国を侵略したり植民地にしてきた日本について、どう国民に伝えているのか?」を自分の目で見てみたかったんです。
★★★
まずは行き。飛行機ではなく、博多から国際フェリーで釜山に向かうルートを選びました。
これも、「そもそも九州と韓国ってどれくらいの距離なの? 秀吉は動力もない時代に朝鮮に出兵してるけど、その距離ってどんくらいなの?」ってのを体感してみたかったから。
前日に博多入りし、9月8日の午前中、福岡から国際フェリーで釜山へ向かいます。
3時間くらいかな。下記は入港直前の釜山の街。
着後ランチ(食事の写真はツイッターに載せたので、このブログの文末をご覧ください)
その後まずは釜山の日本総領事館前にある「慰安婦像」を観に行きました。
「ほんまにこんなもん置いてるんだな」という感じ・・・
さらにその近くには「徴用工像」も据えられています。
★★★
翌9月9日は、朝、2日後に乗る予定のソウル行き新幹線の切符を釜山駅で購入したあと、「日帝強制動員歴史館」 を訪ねました。
こちらが「日帝強制動員歴史館」、めっちゃ立派ですが入場無料。。。展示もかなりエグいものでしたが、(ブログに書くと右の方からヘイトの皆さんを集めてしまい炎上しかねないので) 詳しくは Voicy で・・・
内部には慰安婦ハウスの実物大模型も・・・
午後は「国連平和記念館」&「平和記念公園」に行きました。こちらは日本との戦争ではなく、朝鮮戦争(北朝鮮との戦争)に関する施設なので、ちょっとは気が楽。
ちなみに下記は「国連平和記念館」にあった写真。
どーんと映ってる洋風の巨大な建物が、日本が作った朝鮮総督府のビルです。
※30年前にソウルを訪れたときは現存してましたが、現在は破壊され除去されてます。
↓
ゆっくり見る時間がなく早足でみて回りましたが、この朝鮮総督府の残骸の展示はわざわざ穴掘って埋めてあったり太陽が沈む方向に置いて日帝の没落を演出?したりとなかなか衝撃的でした。そして案内板のこの文言→「粗末に扱う形で展示した」 pic.twitter.com/6vvw67O3kd
— まさかな@転職したよ👨💻 (@mskn0712) 2023年11月8日
この日の夕食は韓国焼き肉。とってもおいしかったです! (食事の写真は文末ツイッターでご覧ください)
★★★
3日目、9月10日、まずは 「釜山光復記念館」へ。ちなみに韓国で「光復」とは、日本からの独立を意味します。
日本人としては「むむむ」な感じの展示もあったのだと思いますが、あまり日本語表記がなかったので昨日よりは気楽です。
そのあと、「臨時首都記念館」へ。
釜山は朝鮮戦争中、ソウルが共産軍に支配されたとき臨時首都がおかれていました。そのときの建物が保存されています。
こちらは李承晩大統領の模型。韓国ドラマ「ソウル1945」を思い出します。
そのあと、「釜山現代美術館」へ。
基本、午前中は歴史系の博物館を訪ね、午後からはそれ以外の観光をするというパターンで過ごしています。
夜は釜山漁港の刺身屋で食べました。写真は文末のURLからツイッターで。
★★★
4日目、9月11日の午前中、新幹線KTXでソウルへ移動。
見かけも内部も日本の新幹線のほうがいいと思うけど、韓国は日本からではなく、フランスからTGVの技術を導入しています。
ホテルに荷物を置いたあと、まずは「景福宮」へ。
韓服をレンタルして写真を撮る観光客がいっぱいいました。
が、昔、日本がここの一部をぶっこわして自分たちの建物を建てたりしてたので、そのあたりの説明もしっかり・・・
その北にあるのは、少し前まで韓国の大統領府だった青瓦台。
大統領府が別の場所に移転したため、今は内部見学も可能です。
このあたり、毎日 2万歩近く歩いてて、めっちゃ疲れました・・・
★★★
5日目、9月12日は「植民地歴史博物館」の見学からスタート
ここも(日本人としては)かなり・・・でした。
こんなん売ってたので買っちゃいました・・・
「どよーん」とした気持ちのまま、さらに龍山駅前の「徴用工像」を見にいくという自虐ルート!
こちらは釜山以上に人通りの多い商業施設前にどーんと置いてあって・・像そのものより、ロケーションに驚愕します。
その後は電気街を散策、さらに「旧京城行政府」(今は図書館として使用)の内部を見学しました。
ソウルは、日帝時代「京城」と呼ばれており、そのときの市庁舎の建物です。
このあたりには他にも日本が建てたと思われる建物がまだいくつか残っています。が、老朽化が進めば遠からず無くなってしまうので、ぜひ観ておきたかった建物です。
★★★
6日目、9月13日は「西大門刑務所歴史館」の見学からスタート。
また Voicy で話しますが、ここは本当にすごい場所でした。ソウルに行く人、ちょっと寄ってみたらいいんじゃないかな。
その後は「キムチ博物館」を見学したり、
韓国伝統茶のカフェでまったりしたり。
午前中に強烈な歴史系博物館を巡ると、午後はもう脱力系の観光しかできなくなります・・・
★★★
7日目、9月14日は「戦争記念館」の見学
巨大な戦争博物館。ここは私、今回行ったなかでもっとも勉強になった場所かも。
展示の他、行われていたアート展示もたいへん示唆深くおもしろかった。
下記は、韓国軍が戦争に行くときにもっていった「キムチの缶詰!」
ここ、現在の大統領府の真正面にあるんです。で、大統領府の写真も撮ろうとしたら、私服警官に怒られたアホな日本人が私です。
その後は梨泰院のハロウィン群集事故現場へ。
これはかなり危ない場所ですね・・
下記は(私は観てないのですが)ドラマ「梨泰院クラス」のロケ地。
これはちょっと・・・
★★★
8日目、9月15日は「安重根記念館」を見学。
韓国語では「アンジュングン」、日本語だと「あくね」とか習った記憶があります。伊藤博文を暗殺した犯人=韓国では民族の英雄です。
伊藤博文を暗殺した安重根氏の記念館。
殺害時の等身大模型まであります。
伊藤博文の暗殺を伝える新聞
ランチは(なんちゃって)はなまるうどん
そのあと、ロッテデパートの家電売り場をプラプラ。韓国と欧州のメーカーの商品が中心で日本メーカーで販売されていたのは、バルミューダなどごく一部。
炊飯器売り場にはパナソニック商品もないし、テレビ売り場にソニー製品もありません・・・
夕方からザハ設計の新しいカルチャー&アートセンター「ddp=dream design play」へ。すごい迫力!
夕食は明洞夜市で食べ歩きでした。(写真は文末ツイッターで)
★★★
9日目、9月16日は「ソウル歴史博物館」の見学からスタート
おもしろい博物館でしたが、日帝時代のセクションは閉鎖中でした。残念。
こちらは日帝時代に走っていた路面電車の実物。中にも入れます。
このあと、「旧京城駅」に向かいましたが、こちらも工事中で入れず。外観のみの見学。東京駅とも似てるし、満州に作った駅ともよく似てます。
巨大スーパーマーケットの食品売り場をプラプラ。キムチ売り場がでかい!
最後は映画パラサイトのロケ地だった階段を観に行きました。近くには半地下のお部屋も多数ありました。
★★★
10日目、9月17日は30年前にも訪れた「ロッテ民族博物館」の見学からスタート。ここ、朝鮮王朝時代のジオラマがすばらしいので、チャングムなど韓国の時代劇が好きな人には楽しいと思います。
ただ私が確認したかったのは、30年前にここを訪れたときにあった「日帝時代」の実物大のジオラマ展示。
下記2枚は 30年前に私がここで撮った写真。韓国の国旗で靴を磨かせる日本の官憲などが人形で作られ、展示されていました。
でも今回、同じ場所を確認したら・・・なんと、予約制の脱出ゲームになっていて、予約なしだと入れず。
残念でしたが、今回あちこちで「日帝時代」の展示が閉鎖されていたので、もしかして政治的な配慮のおかげかも?
そのあと近くの「ロッテワールドタワー」のソウルスカイ展望台に登りました。入場料がかなりお高めですが、それだけの価値があります。
なぜなら!
この上から見ると、東京とソウルの違いが一目でわかるんです!
(何がどう違うのかは Voicy にて)
あと、このあたりはベンツやらポルシェやら高級車が多くてびっくり!
こちらはサムソンの新型スマホの 3D広告!
この折りたたみスマホ、縦に折りたたむのと、横に折りたたむのと 2種類が新発売されてるのですが、地下鉄やバスでも実際に使っている人が多く、高額にも関わらずかなり売れてるみたいでした。
その後、ピョルマダン図書館を見学し、
LGのショールームへ。
昔は安物のイメージがあった韓国家電ですが、今は完全に高級化路線ですね。
冷蔵庫
洗濯機
スニーカーの乾燥機!
★★★
11日目、9月18日は、まだ再開発が行われていないクリョンマウル地区を散策
ここ、貧困街とか言われることもありますが、どっちかいうと「まるごと現代アートの街」みたいでした。
そのあと、泣く子も黙る「国家情報院」の外観を観つつ、韓国オタクの聖地ビル?とかいう「国際電子センター」へ。日本のフィギュアをたくさん売ってました。
さらにこちらは財閥トップや元大統領が逮捕されるとき、ニュースや韓国ドラマによく出てくるソウルの中央検察庁。
すごい威容!
最後は狎鴎亭の整形外科通りを散策。近くのホテルには、鼻を大きな絆創膏とガーゼで被った女性も。
夜は漢江に浮かぶセビッソムという施設で食事。おいしかった!
(食事の写真は文末ツイッターで)
★★★
12日目、9月19日 鷺梁津の水産市場を見学。街ではあまり魚のレストランを観ないのですが、市場ではかなり豊富な品揃えでした。
近くのカップ麺通りも散策。鷺梁津には公務員を目指す学生が多く通う学校、小さなアパート、勉強用カフェ、カップ麺の屋台などが並んでます。
その後はいよいよ仁川へ移動!
行きは釜山へフェリーで渡りましたが、帰国時は仁川空港からの空路を選択。
これは仁川空港に併設して作られた「カジノ複合施設」であるパラダイスシティに宿泊、見学したかったから。
実はいま、日本でも大阪府が同じような構想を持っているのですが、韓国が先駆けて作った施設をまずは見てみないと、(日本でのカジノシティの開設に)賛成か反対か、自分の意見が持ちにくいなと思っていたのでね。
で、この日は仁川のパラダイスシティホテルにチェックイン。
ここ、館内にはやまほどアート作品がちりばめられています。
そして併設のスパシメルへ。プールと韓国伝統のサウナ施設をモダンにした複合施設です。
ここねえ・・・もうテキストでは言い表せないので、そのうち Voicy でお話します。いや、マジですごいよ。。。
仁川から帰国する人は、帰りにここに一泊して見学してから帰国する、という選択肢をぜひ検討してみてくださいな。
★★★
13日目、9月20日は仁川の街に戻って「仁川上陸作戦記念館」を見学
仁川上陸作戦って、日本にも大きな関係があったのだと、行ってみて初めて理解できました。
仁川には、昔の日本租界の街並みがよく保存されています。
(下記は過去の風景を描いたモノ)
内部見学できる施設もいくつかあり、数時間の散策にはもってこい。
訳してみると耳の痛い説明も多いですけど・・・
疲れたら日本家屋を利用したカフェでひとやすみ。
ランチは名物の渡りカニ!
夜はパラダイスシティのカジノを見学。”旅とも”は 5分で1万円をすってました・・・
★★★
14日目、9月21日、いよいよ最終日!
パラダイスシティ内の美術館で「キースヘリング&バンクシー展」を鑑賞。
キースへリングの作品も素晴しいのですが、
個人的にはバンクシーのこの作品(実物!)が観られたのが超ラッキーでした。これ、実物を見ると、とあるトリックがよくわかるんです。
てか、今ならこれを観るためだけでも韓国に行く価値があるかもですよ。
パラダイスシティのホテルに宿泊したので、スパシメルもバンクシー展も無料でした。
ちなみに、一番気に入ったコピーはこれ。
ほんとにそうだ。
そして夜、仁川空港から羽田へ帰国。
『マーケット感覚を身につけよう』を読んでくださった方はご存じのとおり、昔は国内線専用だった羽田から国際線が飛ぶようになったのは、「アジアのハブ」の地位を仁川空港にとられたからです。
でも、観た感じ、ごく普通の空港なんですよね。
やっぱ「各国の地方空港との連携」という戦略がすばらしかったんだな。
トイレの一部(3つにひとつくらい)はウォッシュレット付きで、扉にマークが!
空港内セブンで売られてるセブンオリジナル?のキムチパックはお土産好適品かもです。
以上、長くなりましたが、こうして14日にわたる、韓国社会派旅行は終了しました。
各地で感じたコト、考えたこともたくさんあるので、それらは少しずつ Voicy でお話ししようと思います。
★★★
同じような旅行をしたい方のために今回、訪れた場所を(お勧め度の★付きで)まとめておくと、
<日本の占領時代に関する博物館>
・釜山:日帝強制動員歴史館 ★★★★★
・釜山:慰安婦像と徴用工像 ★★★★
・釜山:釜山光復記念館 ★★
・ソウル:植民地歴史博物館 ★★★★
・ソウル:龍山駅前の徴用工像 ★★★★
・ソウル:西大門刑務所歴史館 ★★★★★
・ソウル:ソウル歴史博物館(日帝時代のセクションは閉鎖)★★★
・ソウル:安重根記念館 ★★★★
・ソウル:「旧京城駅」と「旧京城行政府」★★★★★
・仁川: 日本租界(当時の建物、博物館、資料館など)★★★★
<朝鮮戦争に関する博物館>
・釜山:国連平和記念館 &平和記念公園 ★★★
・釜山:臨時首都記念館 ★★★
・仁川:仁川上陸作戦記念館 ★★★★
<戦争一般に関する博物館>
・ソウル:戦争記念館 ★★★★★
<戦争とは無関係の施設>
・釜山:釜山現代美術館 ★★
以下ソウル
・景福宮 ★★★★
・青瓦台=元大統領府 ★★★★★
・キムチ博物館 ★
・ddp ザハ設計の新しいカルチャー&アートセンター ★★★★
・ロッテ民族博物館 ★★★
・ロッテワールドタワーの展望デッキ ★★★★★
・明洞夜市 ★★★★★
・整形クリニック通り ★★★
・ソウル水産市場とカップ麺通り ★★★
・ロッテ百貨店、ロッテスーパー、LGのショールームなど ★★★
・クリョンマウル地区 ★★★
・中央検察庁 ★★★★
・ピョルマダン図書館 ★★★★
・セビッソム ★★★
・クリョンマウル地区 ★★★
・仁川:「キースヘリング&バンクシー展」★★★★★
・仁川:パラダイスシティのスパシメルや美術館 ★★★★★
<利用した乗り物>
・福岡から釜山へのフェリー
・タクシー、Uber
・バス、地下鉄
・新幹線 KTX & 一般鉄道
・飛行機(仁川→羽田)
あと、ソウルではバスが便利すぎて驚きました。観光客としてこれほど乗りやすいバスは初めて。この点も Voicy で詳しく解説する予定
★★★
それぞれの日に食べた食事は下記のツイートを開いてご覧ください。
(返信を開くと、すべての日の食事の写真をご覧頂けます)
今日の晩御飯。美味しかった! pic.twitter.com/i1vtnECx40
— ちきりん (@InsideCHIKIRIN) 2023年9月17日
以上、それなりに韓国の近現代史を理解してたつもりの私でさえ、今回の「歴史系・博物館、資料館巡りの旅」は本当に勉強になりました。
これから少しずつ音声でも紹介していこうと思うので、詳しく知りたい方は、ぜひ (今後収録予定の)Voicy も併せてお楽しみください。
★★★より詳しい旅行記は音声配信で!★★★
・第1回 韓国社会派旅行に関する配信スタート!
・第2回 釜山に慰安婦像と徴用工像を観に行ってみた!
・第3回 韓国でいちばん反日的だった歴史館はココだ!
・第4回 朝鮮総督府の建物は破壊解体されて瓦礫は地方の空き地に!?
・第5回 日本人より「寝返った朝鮮人」のほうが許せない!?
・第6回 いちばんお勧めの歴史博物館@ソウルはココだ!
・現在無料) 伊藤博文を殺した安重根は韓国のヒーロー!
・現在無料) 韓国での「日本の大衆文化の解禁」はまだ20年
・第9回 日本に総合的な「戦争博物館」が存在しない理由とは?
・現在無料)第10回 日本は「仁川上陸作戦」に救われた!?
・現在無料)第11回 仁川パラダイスシティに大興奮!
・第12回 いよいよ最終回 韓国社会派旅行まとめ