いつだって2割の人は生きていけない

前々から思ってることなのですが、いつの時代でも、どこの国でも、だいたい 2割くらいの人は自力では生きていけないんだよね。

あきらかな障害があるという人だけでなく、一見なんの問題もないように見える人でも、自分で稼いで自分で自分の生活を管理して、自力で生きていけない人は、必ず 2割くらいいる。


この 2割の人を「能力の低い人」と考えるのは、正しくもあり、間違いでもあります。

なぜなら「能力」と言っても、実際には「その時代が必要とする能力」なだけだから。

つまり、「時代が求めるものと、自分が持ってるものが合ってない人」が生きていけないんだよね。


たとえば、「血、見るの怖い」とか「生きてる動物を殺すとかありえない」みたいな人、今の時代ならなーんも問題ないけど、

狩猟時代に生まれてたら食べていけませんからね。


そんなんじゃ狩りに参加できず、「戦わざるもの食べるべからず」的に仲間はずれにされ、

かといってひとりで生きていこうにも手段もなく、あちこち彷徨してる間に野生動物に襲われて死んじゃう、

みたいな人も存在したんじゃないかと。


農耕時代に入っても、朝から晩まで田んぼで腰曲げて田植え、みたいなことがどうしても堪えられなくて、さぼりまくってたら村八分になり、

みなに小言ばっか言われるのがウザくなって突発的に村を出てしまい、物乞いしながら食べていくことになったり、

お腹がすいて食料を盗んで捕まってむち打ちにされて死んじゃったりとか、

そんな人だって、いたはずでは?


そういう時代に生まれてれば、あたしも「生きていく能力のない 2割」に入ってた可能性が非常に高いので、マジで他人事だとは思えない。

てかあたしの場合、「女は専業主婦になって、どんな理不尽なことを強いられても夫と夫の家族に従って一生を終えなければならない」時代に生まれただけで、(たかだか数十年前だよ)

我慢して生きていくことができず、逃げ出して食べてくために道端で売春でも始め、病気になったり殴られて死んじゃったりしてたんじゃないの?って思う。

そう考えると、今の時代に生まれ、時代が求めてる能力をたまたま持ってたってのは、僥倖以外のなんでもない。

運良く(今は)食べていけてるけど、生まれる国や時代がちょっと違ってたら、「ひとりではやっていけない」人に容易になり得てた。


だからあたしは「誰でもやればできる」みたいな考え方がすごくキライ。

そういう 2割の人にたいして、「とにかく頑張れ」「やればできるはずだ」みたいなのってどうなのかと。

たとえばずっと引きこもってる人にたいして「社会復帰」を促すとか。


もちろん中には助けてもらえれば社会復帰できる人もいるんだろうけど、「いや、もはやそんなレベルの話ではなく、僕には私には今のこの世の中の仕組みそのものがまったく合わないんです」とか、

「もう十分に頑張ったので、これ以上我慢しろといわれたら病気になってしまう」って人もいるんじゃないかしら。

それなのに皆でよってたかって社会復帰を目指させ、挨拶する時は大きな声で相手の目を見ろとか、毎朝ちゃんと起きて通勤しろとか、少々嫌なことがあっても我慢して働き続けろとか、

そんなこと延々と言い続けるの、虐待では?とさえ思ってしまうレベルです。


あたしたち=たまたま、かつ幸運にも「今の時代」が求めるものを持って生まれた側の人に必要なのは、その 2割の人達をむりやり合わない社会に適合させることではなく、

そういう人が何もしなくても最低限、食べていけるようにしてあげること(生活保護でもベーシックインカムも何でもいいんだけど)なんじゃないの?

てか、あたしがもし「おしん」の時代に生まれたら、いくら支援してもらっても「おしん」みたいには生きられない。

あたしには根性もないし体力もないし素直さもないから。

いくら周りから励まされても、「頼むからもうアタシのことは諦めて!!!」

って(内心では)強く願いそう。


ほっといてくれ。

オレは私はひとりではいきていけない。

だから社会復帰とか手助けしてくれなくていい。

ただただほっといてくれ。

飯だけ食わしてくれ。


みたいな考え方も受け入れられる社会になってほしいな。

つまり必要なのは、矯正ではなく受容なんじゃないかと。

てか「そういう人、2割くらいはいるよね」ってことを前提として社会制度を組み立てたほうが、世の中うまく回るんじゃないかな。


なんだなんだ!? なんか変だぞって? いつものちきりんじゃないぞって?

そうね。

だとしたらそれはきっと猛暑のせいです。

毎日暑すぎて、あたま、湯立ってるもの。



そんじゃーね

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