介護保険のからくり

介護保険がほんとーに意味不明な件について書いてみる


介護保険を使って、入浴時に使う、浴室用の介助椅子を買いました。すると、「介護保険適応マーク付き」の椅子は数種類しかありません。しかも値段は 8000円くらいです。

定価は 8000円でも、購入者が負担するのは一割の 800円です。ほとんどの人はコレがホントの値段だと思っているので(=介護保険について知識がないので)、「すごく安い!」と思います。

ですが、実際には安くありません。残りの 7200円は、介護保険から椅子メーカーに支払われます。椅子メーカーの売上げは 8000円です。


椅子の価値としては、というか、ドンキホーテで同じような商品を探せば、多分 1980円程度の椅子です。プラスティックとゴム足の、シンプルな、簡単な椅子です。何の工夫も技術革新もありません。

でもね、介護保険が適用されている人は、ドンキで 1980円で買うより、8000円の椅子を一割負担の 800円で買う方が 1000円以上、お得です。

だから、ドンキで買わずに、わざわざ「介護保険適用商品の取り扱い認可のお店」で、高い方の、8000円の椅子を買います。

椅子メーカーも、8000円の椅子に「介護保険適用!」認可をもらう方が、1980円の椅子をドンキに卸して売るより、何倍も大きな売上げが上がります。


まとめましょう。


<得している人>
(1) 椅子メーカー 原価は1000円未満でしょう。8000円で売れたら、7000円くらい得
(2) 介護椅子買う人 ドンキで買えば 1980円だけど、介護保険なら 800円で買えるので、1000円くらい得してる。
(3) この椅子を審査して、介護保険適応マークを「認可」している公務員・・給与分得してる。


<ソンしている人>
上の(1)、(2)、(3)の得した額の合計額を、「介護保険料」として毎月払っている人です。

今は40才以上の人が払っていますが、既に制度が破綻しそうということで、そのうち「20才以上の人はみんな払え」という制度になるかもしれません。



こんな制度、破綻します。高齢化が進むからでも少子化が進むからでもなく、制度がばかげているという理由で。

介護保険がなければ、介助椅子は 1980円か、もしくは、もっと安く売られるのです。

貧しい人に補助をしたいなら、その 1980円を補助すればいい。そしたら補助金は 1980円で済むんです。

ところが介護保険という制度を通すと、補助に必要な額は 7200円に跳ね上がります。この補助する額って・・・介護保険料を払ってる人の負担額なんだよ。


あんな樹脂椅子が 8000円で売れるなんて、介護保険市場しかありません。信じがたいくらい儲かりそうです。

私が椅子メーカーの社長ならどうするか?


当然、制度を作っている厚生労働省の介護保険課の課長だか、厚生族の政治家にでも“付け届け”をするでしょうね。

あの椅子一つで 7000円のあぶく利益が手に入るです。だったら、そのうち 3000円ぶんくらい(×売れる椅子の数)は、“お礼”としてそういう人に献金しても割に合う。もしかしたら接待漬けにしちゃうかも。

もちろん制度を守ってくれる政党と政治家にも寄付しますよー!


わかると思うけど、お風呂の介助イスなんていう安い商品ならまだマシなんです。

何万円、何十万円もする電動ベッドから特殊な介助用トイレ、電動車イスに至るまで(形態は購入に加え、レンタルの場合もありますが)多くの介助用品でこういうことが起こっています。

たとえば車椅子は、一ヶ月借りてたった 300円。だけど保険からは、追加で 2700円が業者に支払われてます。仕入れ値が 1万円ちょっとの車椅子を、ユーザーは 300円で借りることができ、業者は一ヶ月で 3000円もらえる。5ヶ月目以降は全額利益です。

だから業者は積極的に「車椅子どうですか?」って勧めるし、それらを使う人は「安い安い!」と言って、どんどん購入&レンタルします。そりゃ―安いよね。たった1割の負担で使えるんだもの。


でもね、残りの 9割を払ってるのは誰なのさ?




また明日!


追記)私がこのエントリを書いてから 11年後、ようやく中日新聞がこの件を報じました。
https://twitter.com/kelog21/status/786240000354430976



http://d.hatena.ne.jp/Chikirin+personal/  http://d.hatena.ne.jp/Chikirin+shop/