最初に教えられたこと

人の性格がどのように形成されるのかは、いろいろ研究されてると思いますが、基本は「遺伝子」と「環境要因」&「きっかけ」かな。環境要因の半分は「親の選択」で、残りは自分で選んできた環境ですね。

振り返るに、自分の性格も「親の育て方」の影響を強く受けています。


小さい頃言われたこと、教えられたことなどで、影響が大きかったと思うことをあげてみると・・・


(1)「自由が得たいなら稼げ」

よく言われました。ちきりんが両親と同居していたのは高校卒業の 18才までです。高校時代には、友達がやっていることで、うちは許してもらえないことがたくさんありました。

バイトをするとか泊まりがけで旅行に行くとか、交換留学で海外に行くとか。ことごとく父に反対され、できませんでした。

で、「どの家でも許されてる」とか、いろいろ駄々をこねるわけですが、そうすると最後に言われるのがコレ。

「好きなことやりたいなら、自分で稼ぐようになってからやれ」


ホント何回も言われたので身にしみました。

とにかく「自分で稼がなくては自由に生きられない」「一刻も早く自分で稼ぎたい」と思いました。

ニートになるなんてあり得ない。受験浪人や進学もあり得ない。「あと○年で、自分で稼げるようになる!!!」と鼻息荒くしていました。

すごく独立心が養われたと思います。これは、他の兄弟も同じでしょう。ちきりん家はやたらと働く子ばっかりが育ちました。


(2)「うまくやれ」

リビング教育と勝手に名付けていますが、これも影響が大きい。実家は一戸建てで二階もあわせればそれなりの部屋数があるのですが、父は「リビング以外はいっさい便利にしない」という方針でした。

テレビや電話がリビングにあるのはもちろん、暖房も冷房もリビングしかおかない。なので他の部屋には居られないのです、暑かったり寒かったり退屈だったりで。・・・で、家族全員がリビングで過ごす。寝るとき以外は全部。

でかい机で、父は晩酌しながら巨人戦やら演歌の花道やらを見ていて、私はお絵かき、弟はゲーム、妹は宿題をやっている。母は傍らでアイロンかけてて、おばーちゃんがいて・・・です。

そこに電話がなる。父がでる。そして、「あっ、すんません。まだ帰ってきてないんですわ」と言って切る。

???

全員ここにいるじゃん???


不思議なことですが、日常茶飯事です。「誰から?」と聞かれて「しらん」と答える父。昔の家長ってほんと偉いよね。


ちきりんは高校には自転車通学ですが、入学の時に「家から高校までの距離」を申告するんです。それが 2キロ以上だと自転車通学が認められ、1.9キロだと徒歩で通学する必要があります。ちきりんが入学書類のその紙を父に見せると、父は迷わず「 2.5キロ」と書き込みました。

「そんな遠い?」と尋ねる母。「自転車で通うんやったら 2キロ以上で書けばええんやろ?」と父。

実測ではそんなないと思います。2キロないと思う。でも・・・なんの迷いもない父。


ちきりん家では、「正直は必ずしも美徳ではない」と教わりました。

むしろ「正直者は馬鹿をみる」と教えられたと思う。「世の中を生きる術」と言ってもいいかもしれない。大人のやり方を子供の前で平気で見せる家だったと思います。

だから、こんな性格に育っちゃったのよ!!と言いたいですが、とにかく「てきとーにうまくやる」ということに「価値観」をおいた教育だったと思う。


たとえば、子供に「嘘をつくな」と教育する親って多いと思う。ちきりんはあまりそういう記憶がない。反対にくだらない話にだまされると、「こんな嘘にだまされるなんて、おまえホンマにあほやな」となじられます。嘘をつくなと教える代わりに、「嘘にだまされるな」と教えられた。


努力も同じ。ちきりんと弟は余り勉強しない子だった。一番下の妹は小さい頃からすごくよく勉強する。妹はよく父に「おまえだけ、そんな勉強せな、わからへんのか?」と心配されてました。

今から考えれば「勉強しない上の二人」の方を心配するのが普通な気がするし、思い起こしてみても「まじめにやれ」とか言われたことって、ほぼないです。

努力も勤勉さも規律も求めない親だった。(だから全くこれらが身に付いていない?) 大事なことは「巧くやること」なのだ、と・・・


(3)他人に迷惑をかけるな

これは割とまとも。友達との約束を忘れててすごい待たせちゃったりすると、殴られますからね。「人に迷惑かけんな〜」って。ホント怖かったよ。

でも反対に言うとそれ以外のことでは「ほとんど怒られない」家でもあった。怒られるのは、誰かに迷惑をかけた時だけです。他人に迷惑をかけないなら、人生には全幅の自由があるのだ、と教えられた。

ちきりんが「生き方論」みたいな話がすごく嫌いなのはここから来ていると思う。

説教くさい人、本、映画等々、大嫌いだ。「こうやったら人にすかれる」とか勘弁してほしい。この前、映画を見に行ったらその中で「人生の価値は、他人に何を与えたかで決まるのだ」とか言ってて・・・頭痛くなった。

こーゆーの大嫌い。「あんたに何の迷惑もかけてないでしょ。だったら放っといてくれ」と思う。


「家庭で親に教えられた」のは、上記の 3つ。他にもいろいろあるんでしょうが、上の 3つのインパクトが非常に大きい。そしてその通り育ったちきりんです。


(1)自分の稼ぎで食べてない人とは友達になれないってくらい、「稼いで一人前」と思ってる。ホームレスは一人前だが、親の金で生きているニートは変だと思ってる。


(2)うまーく乗り切ることが大事、と信じてる。


(3)他人に迷惑をかけない範囲なら、自由に生きればいいと思ってる。世間の目とか常識とか、どうでもいい。自分が楽しいことがとても大事。


ネクラでもヲタクでも、定職についてなくても、超てきとーに人生過ごしていても、友達が一人もいなくても、どーでもいいではないか、と思う。


というわけで、大学から後は自分の環境は自分で選んできたわけだし、いろんな影響を受けた人はたくさんいる。でもやっぱり「最初に教えられたこと」の影響はとても大きいなあ、と痛感します。