イグアスの滝

さて南米観光の定番、イグアスの滝について。巨大な滝です。北米にナイアガラ、南米にイグアスがある。日本の滝とちがって“壮大系”です。たいして「壮大系自然」に関心のないちきりんでも、“すげええええ”とか思う規模なので、確かにはずせない観光スポットだと思います。


写真? ちきりんのではないけど、こちらをどうぞ。
http://commons.wikimedia.org/wiki/Cataratas_del_Iguaz%C3%BA?uselang=ja
それぞれクリックすると大きくなります。

すごいでしょ?


ちきりんはどちらかというと「趣系自然」が好きです。滝だって奥入瀬や赤目四十八滝。あと、華厳の滝とか、見ていて霊的なものを感じるよね。そういうのに比べて、やっぱりアメリカ大陸だなあ・・・という感じです。わかりやすい“すごさ”だと思う。

★★★

おもしろいのは、その位置関係。この滝は3ヵ国の国境隣接点に存在しています。ブラジル、アルゼンチン、そしてパラグアイ。ただし、パラグアイから滝は見られません。ツアーはアルゼンチン側のツアーが最も人気。次がブラジル側です。この2ヵ国が滝の観光を独占しています。

地図上のイグアスの滝の場所を見てください。(他の下線をひいたところは、今回訪れたマナウス、ベレン、サンパウロです。)

 

クリーム色の小さい国がパラグアイなんですが、なんか国境線がいびつだと思いませんか?下から、薄緑のアルゼンチンが不自然に“むにゅっ“とつきだしてきてるでしょ?

自然な国境線なら、滝はパラグアイとブラジルの接点だったと思います。しかし、一番いいところをアルゼンチンが無理矢理に取りに来ています。


なんでやねん?

いつからやねん?


というのが気になって調べてみると・・・

(パラグアイの)フランシスコ・ソラーノ・ロペス大統領は、1864年、ブラジルがウルグアイの領土を侵攻したことをきっかけに、ブラジル・ウルグアイ・アルゼンチンの三国同盟を相手取ったいわゆる三国戦争に突入しました。当初はブラジルを圧倒したパラグアイ軍も物量に勝る同盟軍に苦戦を強いられ、1870年ソラーノ・ロペス大統領の戦死により終戦に至るまでに国民は134万人から22万人へと激減し、ブラジル・アルゼンチンにイグアスの滝を含む肥沃な国土を割譲することになり、国土も半減してしまいました。
出典:http://federacion.hp.infoseek.co.jp/paraguay/paraguay.html


なるほどね。それにしても、国民の数が134万人から22万人に減少するような戦争するって・・・ひどすぎないか??

というわけで、パラグアイはイグアスの滝をとられてしまったのでありました。


もうひとつ、イグアスの滝は世界遺産。そしてその周りは国立公園です。大半のホテルは、国立公園の外、つまり近隣の街にあります。滝観光にはそこから車で行く。

しかしひとつだけホテルが国立公園の中にあり、そのホテルからだと徒歩でも滝が見にいけるし、部屋によっては窓から滝が見える。

こういう「ひとつだけ」というのは、どうも不自然なんですよね。実はマチュピチュも同じなんです。マチュピチュの遺跡のまんまえに「ひとつだけ」ホテルがある。他のホテルはすべてバスで移動した近隣の街にあるのに。

南米を代表する観光地の敷地内に「ひとつだけ」「圧倒的に有利な立地のホテル」があるというのは・・そう、利権系ホテルです。価格が割高、ピーク時は予約にコネが必要で、サービスがひどい。

ちなみにイグアスの前のホテルは調べてみると「ヴァリグブラジル航空系列」で、日本で言えば、「JALホテル」みたいなもんでしょうか。

なるほどね。


ブラジルの航空業界はまだ自由化されてないので、ヴァリグは“昔のJAL”みたいな特権を維持しています。そしてご飯が・・・(滝の前にホテルがポツンという立地だから、他で食べる場所がないのに)ものすごいまずいんです、このホテル。

利権とは?、とか、独占とは?ということを勉強するのに最適なサンプルみたいなホテルでした。


以上。

またね!