旅のスタイル(後編)

アメリカから
私の環境はふたつの点で変わりました。会社員から学生に。そして居住地が東京からカリフォルニアに。

これにより旅行先は一変します。

アメリカに留学中 2年間の旅行先の大半は“南米”“中南米”となりました。休みごとにメキシコに行ったし、カリブ海にも何度も泳ぎに行きました。

だって南米って日本からやたら遠い。そしてアメリカからやたら近い、わけではないが“安い”ので。


このエリアは、

・ちきりんの大好きな遺跡とビーチの両方がある。
・食べ物が(比較的=アメリカより)おいしく、音楽がナイス。
・安い。

ということで、私向き、学生向きだったと思います。


当時は学生だったので、お金はありませんでしたが時間はたっぷりありました。

スペイン語が母語の友人と一緒に旅するなど、この頃の旅行は一人旅半分、友人と一緒半分、だったと思います。

遊び方も好きな遺跡を見に行くのはあるのですが、それとは別に飲んだり騒いだり泳いだりと、“観光旅行”っぽくない旅行が増えました。

メキシコシティの路上で大騒ぎしながら新年を迎えたのは今でも鮮烈な記憶です。


それ以外には、学生という立場の時にと思って北朝鮮にツアー旅行(その時はツアーでないと参加不可だった)に行きました。

入国に際しいろいろ個人情報を登録しないといけないので、勤務先も決まっていない、立場が流動的(かつ住所も流動的)な間に行きたかったのです。

おもしろかったけど・・旅行の最後に空港で「(禁止エリアで)写真を撮った」といちゃもんをつけられ“カメラ”を没収されました。


変じゃない??

没収すべきはフィルムだろ?と思って、「何か禁止物を撮ったというならフィルムだけ押収すればいいでしょ!!」と主張しましたが、なぜか先方の理不尽な主張が通り「カメラも」没収されました。

それって単なる泥棒じゃん?

でも日本に帰ってきたかったので泣く泣くあげました。てか、あんな国でもめるのはマジ怖いです。


あとは、友人や家族が米国に遊びに来たときに一緒にアメリカ内も旅行しました。

が、アメリカ内の旅行はそんなに好きではなかったです。

ナイアガラの滝もグランドキャニオンも確かに“すごい”のですが、私はこの“壮大な自然系”というのが古代遺跡ほどには響かない。見て、写真撮って、はい終わりって感じです。

遺跡のようにあれこれ思索にふけることができないというか。


まあとにかく全然勉強せず(日本の大学時代よりは勉強したけど・・)2年間の大学院生活を(半分南米で・・)すごしたちきりんなのでした。



再び社会人へ
卒業後、一文無しのちきりんは再びお金を稼ぐべく働き始めます。

ただし今回はある程度、時間の自由がきく仕事。仕事はかなりハードでしたが長い休みもとれるため、中東への1ヶ月旅行、東欧や中欧を巡る旅行、エーゲ海クルーズ、タヒチやイースター島など今まで行ったことのない場所に行き始めました。

この時期の特徴はお金に余裕ができたこと。

結構遠いところにいけるようになったし、昔と違ってきちんとしたホテルに泊まり、おいしいモノを食べるようになりました。

ガイドさんを雇えるので、歴史的背景とか意味とかもよくわかるようになりました。

また、昔は貧乏旅行で放浪したパリやロンドンも再度訪ね、じっくりと1週間以上滞在して美術館やお芝居などと楽しんだりしました。


この頃は家族と旅行したり友達と旅行したりで一人旅はぐっと減り、初めてパッケージツアー(JALパック!)にも参加するなど“旅行の普通化”が進んだ時期だと思います。昔のような冒険旅行ではもうありません。



“行き急ぎ”再び秘境へ
その後、また数年、秘境づいた時期があります。

新疆ウイグル地区の砂漠を訪ねてミイラにおののき、ケニアでサファリに感動、アマゾン川のマナウスからベレンまで日系移民の地を訪ね、マチュピチュの遺跡のすぐそばに泊まり、ナスカで地上絵を見て、キューバではグランマ号とゲバラ廟を訪ねました。そうそうロシアも再訪しました。

まとめれば秘境系と共産国の残り火を訪ねる旅、って感じでしょうか。


実はこの直前にちょっと考えるところがあり、「元気なうちに行きたいところは全部行かなくちゃ」と痛感したからなんです。

ちきりんは(ひつこいですが)長生きする自信がないので、「定年後にマチュピチュ旅行」なんて絶対無理。

なのでちょっと「行き急ぐ」=「生き急ぐ」感じで旅行してたかも、って思います。これが数年前まで、って感じです。仕事も楽なものに変えたので、せっせと旅行していました。



リラックス、そして国内旅行へ

ここ1,2年は、そしてこれから数年もそういう予感がするのですが、「リラックス系」と「国内旅行」というのがキーワードかなあと思っています。

行きたい秘境は行き尽くした感もあるし、もう 疲れたよ!というのもあるし。


今年はモルジブに行きましたが、その前の数年は石垣島に行きました。ビーチでゆっくりするのがリラックス系。

もう一つは国内旅行で、ここ数年は、北海道、京都、奈良、広島や宮島、山口(萩など)など、結構あちこち行ってます。

あと、温泉旅行も増えたかな。もともと好きなのですが最近は“老舗の名旅館”に泊まるのが大好きです。



来年は?

よくわかりませんが、ユーロが安くなってるのでイタリア辺りに美術館巡りに行ってこようかな〜などとは考えてます。後はビーチと温泉かな。当面はリラックス系でいくのではないかしらん。

でもそのうち元気がでたら、アジアももう一度回ってみたいですよね。

会社辞めたらブログで旅の同行者を募ります。“ちきりんと行くおちゃらけ社会派のベトナムグルメ旅”とかね。(やや支離滅裂なタイトルだな・・)


まあ、そんな感じで。“ちきりん的 旅のスタイルの歴史”終わり。

こうやって書いてみると、長い間に結構変わってるもんだな〜と思います。人それぞれいろんなスタイルがあり、それも一定でなく変わっていくんだろうな、と思うです。

人生ってよく旅にたとえられるけど、なるほどねって気もします。


んじゃね〜