明日のニッポン!

ちきりんが初めて海外旅行に行ったのは既に四半世紀前にもなります。その頃、つまり欧米先進国で20年以上前に見たことの多くが、最近は日本でも見られるようになってきました。

たとえば今は日本のコンビニやファミレスで中国人アルバイトを見るのは今は珍しくないですよね。でも当時の日本ではそんなのはほとんどなかったから、ロンドンの空港でハンバーガーを買ったちきりんは「あれっ、私はイギリスじゃなくてアフリカに来たんだっけ?」と驚きました。

街中でキスするカップルにも当時はびっくりしたけど、今は日本でも遭遇するし、中年以上のカップルで手をつないでいる光景も不思議ではなくなりました。久しぶりに会った友人とハグハグしている日本人も増えてきましたよね。

また欧米では当時から、どこの店も防犯システムが整備されていて驚きました。今、日本もそうなりつつあります。デパートの商品にも防犯タグやロープがつくようになり、あちこちに防犯カメラがある。でもまだまだ日本は治安がいい。大きな鞄は受付に預けないと入れてくれないという店は、日本ではまだほとんど見たことがないです。

あまり変わってないと思うのは、服と車の色合い。西欧先進国は色に溢れている。例えば中年以上の女性が真っ赤なコートを着ている。車もカラフル。一方の日本人は圧倒的に無彩色好きですね。特に年をとると地味な装いをする。60歳を超えて赤い車に乗るなんて「いかれてる」か「ロックスター」でしょ。最近は日本もかなりカラフルにはなってきたけど、まだまだ二十数年前の欧州より地味に見えます。

★★★

“欧と米の違い”も行って見るとよくわかりました。例えばGパンの比率。アメリカではヨボヨボのおじいさんでもジーンズをはいている。でも欧州だと、若い人でもアメリカほど多くない。これは、撮った写真の後ろに写っている人のジーンズ率をみるとすぐわかる。ロンドンとNYは全然違う。

欧州にはやたらとカフェが目についたが、米国にはファーストフード店とダイナーが多い。「お茶を飲む」というのは当時のアメリカにはなかったと思う。アメリカに“お茶する”店を初めて根付かせたのはスタバなんじゃないかな。

違うものへの寛容度も違っていた。欧州の方が圧倒的に「違うもの」(ちきりんを含む)に馴れている。これは不思議だった。移民の国、人種のるつぼといわれる米国の方がなんでこんなに画一的で排他的なのか。後から聞いたらアメリカ在住の黒人の友人も「パリにいったら余りに自然に周りに溶け込めて驚いた」と言っていた。

★★★

そうやってあちこち旅している時、「将来の日本は欧州と米国のどちらに似てくるんだろう」と考えていました。経済では米国を真似しているけど、人の生き方としては欧州志向の人が多いよね、などと思ってました。

でも最近、「どっちも違う」と思い始めた。日本は明らかに「第三の道」というか「独自の道」を進み始めているという気がします。どんな国かというと、それは「パワーシニアの国」なんじゃないかと。


ちきりんは、日本に「なぜ若い(=40代まで)のリーダーが育たないのか?」ということをずうっと考えているのだけど、これはその問いへの答えであり、かつ、諦めでもあります。「この国は、シニアが率いる国になる」、皮肉でも反対しているわけでもなく純粋な予想としてそう思うのです。

したがって日本では、グーグルもアマゾンも興らないし、ビルゲイツもブレアも現れない。全然別のタイプの国になる。ちなみに中国は日本と違う。アメリカ型の国になると思う。もしかしたら韓国もです。でも日本は“全然”違う国になる気がしてきた。


若い起業家が失敗して逮捕されたり表舞台から引きずりおろされ、もしくは成功した人達は小金持ちになったことで満足してしまって、初めての戦後生まれの総理大臣がぼっこんぼっこんにされて。

一方で丸山弁護士だの若尾文子の旦那だのが超ノリノリで選挙にでて、75才の石原さんが61才の猪瀬さんを副都知事に指名する。

のを見ていると、その思いが確信に近くなる。


長くなるので今日はこの辺でやめますが、これはおもしろいテーマだと思っているです。これからの日本がどういう国、社会になるのか。ちきりんのひとつの答えがこれ。


「パワーシニアの国、日本!!」

になるです。


ではまた明日。