偽ちきりん!?

今日は、今年の字として選ばれた“偽”ということについて書いてみる。


まずは、今年こんなに食品偽装が報道された理由は、“構造的なもの”だということを書いておきたい。

商品やサービスのコストは原料と人件費と管理費の3つしかない。原料代を下げるか、人件費を下げるか、経費を浮かすか、しか、安くする方法はない。だから「限界を超えてコストを下げたい企業」は、原料に偽物を使うか、労働者から搾取することを考える。

搾取されている労働者は、それでも職についている間は沈黙しているが、職を離れる時に置きみやげのように原料の偽物問題(使い回し等を含む)を“告発”する。


ところで、今回の賞味期限の偽造問題では、多くの人が「消費(賞味)期限なんか、意味無いのでは?」と気がついたと思う。

例えば家族の間なら、主婦が期限切れの食材を使うことはよくあるでしょ。でも、その料理を食べた家族が「騙された」と訴えることは(日本では)あり得ない。

じゃあ介護ヘルパーさんがご老人のおうちで調理をして、その家の台所にある期限切れの調味料を使って料理をして、介護をしている相手であるに食べさせたとしよう。これは問題?

あんまり問題になりそうにないよね。そんな状態はいくらでもあるでしょ。家にひとつも消費期限切れの調味料がない人の方が少なそう。


じゃあ、そのご老人が翌日はデイケアセンターに行って、その介護施設の食堂で食べたご飯に期限切れの調味料が使われていたら問題?

その介護施設が、個人が自宅を改装して運営している、被介護老人5人のところだったら問題?

その介護施設が、全国にチェーンを持つ有名な不動産会社の運営だったら問題?

その調味料の仕入れ方法が、「消費期限が近づいたものを集中的に仕入れて、単価を安くして売っていることで有名なスーパーマーケット」での購入であったら、問題?

いったい何が問題で、何が問題でないのか。微妙だよね。


それと、今でも魚屋や肉屋で鮮魚、生肉を買うと、消費期限なんてついてないこともあるでしょ?(スーパーの中の肉屋だと、価格を印刷したシールに期限がついてます。)

卵や牛乳だって、明確な期限なしに売っている産地に近い田舎の店とかまだありそう。小さなパン屋で、焼きながら売っているパンにも、自家製まんじゅうを売っている小さな土産物屋のまんじゅうやせんべいにも、消費期限も賞味期限もついてない。ことはよくあるんじゃないかな。

これは法律だから、一定の条件を満たすと期限を設定しなくちゃいけなくなって、それを守らないと大変なことになる。そのラインがどこにあるか、私たちは知っているか?

あたしゃ知りません。(って、開き直ってどーするよ。)

★★★

コンビニの弁当の作り方は有名だ。夜の9時くらいから大量の弁当を作り始める。夜中の12時の1分前にすべての食材を、大量の弁当箱に“詰め終える”。それぞれの食材は、もっともっと前の時刻に調理されたものだ。夜にやっているのは“トレイに詰める”という作業だけだ。

そして、12時を過ぎて日付が変わると一斉に、弁当に“その日の日付”が製造日として印刷されたシールを貼る。大手のコンビニチェーンは、さすがに“日付の改ざん”はしないかもしれない。しかし、前日に作られた食材を“詰めて”“蓋をした日”を製造日とする手法は、昨日のプリンを明日売るのとどーちがうのか。

も一回言うと・・

「何が問題なのか」明確にした方がいいと思うわけだ。


ちきりんがこの問題で思ったのはね、日本にはびこる“オーバースペック病”のひとつに不審のメスが入ったということかな、と。

実は家電なんかも昔はそうだった。日本の商品は明らかにオーバースペック。そのためのすべてが価格に上乗せされていた。現在はオーバースペックな家電は“ちゃんと”ブランド化されている。“亀山モデル”とか。

必要以上の品質を備えたモノは“ブランド化”して売ればいい。普通のものは、そんな異常な品質である必要はない。ということ。

過剰包装とかも同じだと思うのだけど、この国の“やり過ぎ感”は目に余る。デパ地下でいくつか食材を買うと、包装紙でゴミ箱が溢れかえる。

あまりにも無駄な決まり事が多くないか?


実は誰も守れてないし、守れないようなルールを作って自己満足するのはやめようと、誰かがそう言い始めることが必要なんじゃないの?日本の食品会社の社長すべてに頭を下げさせるまでコレ続けるつもり?と思っていたら、衣料会社もだって。カシミヤ70%のマフラーにカシミヤゼロ。

あのね。カシミヤ70%の手触りとゼロの手触りがわからないなら、「騙されてもいーんじゃないか?」と思う。表示がないとわからないようなものは、なくてもいいだろ?と。まあ、それに「気がつかなかった」(と言い張れる)アパレル会社の社員って何さ?とも思うけど。


新鮮と表示されているから新鮮なのではなくて、美味しいと思えることが(その理由が新鮮さである場合もあるだろうし)大事。食べ物が“食べたらやばいかどうか”くらいのことはクンクンして推理できるくらいの生存スキルを身につけた方がいい。

カシミヤ100%だから高くても納得するのではなく、「私は○万円払ってでもコレを手に入れたい」という自律的な意思こそが重要なのではないかと。思うわけ。


まあそんなことで。


偽物ちきりんより。
じゃね!