14歳は大人です

今回、梅原大吾さんと対談して、“ 14歳 オレ様 起源説”を確信しました。

“オレ様”の解釈はどーでもいいのですが、意味としては「業界トップになる子は、14歳の時点ですでに頂点を意識している」ということです。


梅原さんは、14歳の時には「自分は、世界で一番(格闘ゲームが)強い」と思っていたそうです。

新宿や池袋のゲーセンで無敵だった彼は、そこにやってくる海外からのゲーム好きな大人の旅行客にも勝っていたようで、それにより世界の中での自分のレベルを理解したのでしょう。


さてみなさん。自分の 14歳の時を思い出してください。


「何かで自分が世界で一番だと思う」という状態を想像できますか?

質問は、「あなたは 14歳の時、何かで世界で一番でしたか?」ではありません。

また「あなたは 14歳の時、何かで世界一だと思っていましたか?」でもありません。

質問は、「 14歳の時の自分がそんなことを思う、という状態自体を、想像できますか?」です。


私も自分が 14歳だった時のことを思い出しつつ考えてみたんですけど・・・想像もできないのですよね。

14歳で自分が世界トップだと感じる、っていう状況自体が。

どうやったらそんな状況になりえるのか、皆目見当もつきません。


ところが、いろんな分野のトッププレーヤーについて考えてみると、その大半が 14歳では既に「世界一」を視野に入れています。

たとえばイチロー選手やダルビッシュ選手などは、14歳ならほぼ確実にプロ入りを意識してたでしょうし、(今、それくらいのレベルの少年なら)間違いなく「大リーグで活躍する自分」を夢想していることでしょう。

ゴルフの石川遼君や宮里藍ちゃんも高校の時にプロ入りですから、14歳であれば、すでにプロ入りを決めたか、少なくともプロ入りのタイミングを真剣に検討していたはず。

浅田真央ちゃんだって 15歳の時には世界のトップクラスの選手でした。

横綱になるような相撲の力士も中卒で入門が普通だし、オリンピックで入賞する選手も大半がそんな感じ。

北島康介さんは 14歳の時に才能を認められ、高 3でオリンピックに出ています。錦織圭さんも 12歳の時に全国小学生の大会で優勝し、13歳ではアメリカのテニスアカデミーに留学してます。


将棋の森内名人や羽生王位もプロ入りは 16歳と 15歳ですから、14歳には当然、頂点(将来の名人)を意識してたはず。

最近は欧州のコンクールで優勝する日本人音楽家も多いけど、2010年にジュネーブ国際音楽コンクールのピアノ部門で優勝した萩原麻未さんも、13歳でイタリア・パルマ・ドーロ国際音楽コンクールで史上最年少優勝してます。

バイオリンやピアノ、バレエなどのアーティストもだいたい 13歳から 15歳には欧米の名門校に留学が決まったり、国際コンクールで入賞していたり・・・

もちろん美空ひばりも宇多田ヒカルも、15歳の時にはすでに天才少女、稀代の歌姫と呼ばれてました。

草間彌生さんなどアート系の人も、その頃から「周りの子とはぜんぜん違う」感性を発揮してますよね。


これが他の分野にどれくらい一般化できるのかはよくわかりません。

たとえば将来ノーベル賞をとるような研究者は 14歳くらいの頃、どんなだったのか、偉大な起業家は 14歳の頃、どんな子供だったのか。哲学家や思想家、作家はどうなのか、など。

14歳で世界レベルになるのがスポーツ分野だけなら身体能力のピークが 10代というだけの話ですが、将棋からアートまでとなると、数的能力、思考力や感性までかなり幅広い能力の話になります。

もし、ビジネスやエンジニアリングや研究分野でももっと早くから( 10代向けの)エリート養成機関があったら、14歳で頭角を現すビジネスパーソンや技術者がでてきもおかしくないと思いません?

数学オリンピックみたいな単発のイベントではなく、世界トップレベルの教育を 10代そこそこの子に正式に与えられる機関が必要では?


欧米と異なり飛び級制度もない日本では、そういう子に「 18歳で医学部か東大に入ればいい」といった“ものすごく低い(しかも遅い)目標”を与えることで、将来の可能性を殺してしまってる気もする。

最近はそれがちょっと心配な私です。


それにしてもオムツしてた時代も含めて、赤ちゃんからたった 14年で世界トップレベルに達するなんてびっくりですよね。

経済成長とともに人生 50年が 80年となり、一般の人は社会にでる年齢が、15歳→ 18歳→ 22歳→ 24歳とどんどん遅くなってます。

けれどスペシャルな人の才能開花のタイミングは、全く遅くなっていません。彼らは昔も今も、14歳には世界で勝負できる位置に達してる。


というわけで、自分の子供を見た時に、14歳の段階でそういう状況でなければ基本は凡人確定であり、

反対に、なんであれ 14歳の時に突き抜けたレベルだったら、「せめて高校くらいは卒業を」とか、「勉強しなさい」とか、くだらないことを言うべきじゃない。


しかもそういう年齢で業界トップを見据えている子供は、その時点で大勢の大人と“対等かつ真剣に”関わっています。

15歳の真央ちゃんだって、当時 19歳の先輩スケーターからどんな目で見られていたか。決して子ども扱いなんて、されてないでしょう。


14歳が子どもだと思われてるのは、大人と勝負できるモノを持たない大半の子供たちが「子ども扱いされてるから」です。

ごく少ないけれど、その時点で大人と勝負できる何かを持ってる子は、すでに大人として世界を見ています。

そして実はなんの才能も持ってないように見える子の中でも、このあたりで“大人”が始まってる子はたくさんいるんじゃないのかな。

その分野のエリート養成コースが確立されてないがために見えてないだけで・・・。


だから学校とか先生とかの大人は、あんまり子供をバカにしないほうがいい。

14歳の子供達の中には、すでに普通の大人を大きく凌いでいる子が一定数いるんです。

彼らは、あなたよりよほど才能に溢れ、既に成熟してる。それを忘れないほうがいいでしょう。


というわけで今日の結論 → 14歳は大人です!



そんじゃーね。


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