遠い国の子供たちを不幸にする意味

オンライン上で動画による教育コンテンツを無料提供しているカーン・アカデミー


久しぶりにサイトを見たら、もともとあった算数だけじゃなくて、経済学からファイナンス、化学に物理、さらには(アメリカでのセンター試験にあたる)SATやGMATの準備まで、内容がどんどん充実してきてる。

コンピュータサイエンスのセクションでは、初心者でもプログラミングが学べるようになっていて、英語ができる人なら(=インド人とかフィリピン人とかなら?)、学校に通うお金がなくてもこういったスキルを身につけ、クラウドで仕事を受注して・・・生きていけるようになりそう。


てか日本の家庭だって、子供を英語塾に通わせ、かつ、数学の塾にも通わせるって二重に無駄じゃない? 

小さい頃から youtubeで英語のアニメを見せて育て、その流れでカーンアカデミーの動画も見せとけば、自分でさくさく英語で算数を学んでいったりするかもしれないじゃん。しかもぜんぶ無料で。


★★★


話を戻しましょう。

「世界中のすべての人に無料で教育を届けたいと本気で考えている」と語る創始者のサイマル・カーン氏は、バングラディッシュからアメリカに移住した父母の下に(米国で)生まれています。

最初、いとこの女の子の家庭教師をするために作ったこのサイトは、数多くの篤志家の協力を得てどんどん発展。今や彼のいう「無償の教育を世界中のすべての人に」という目標は、決して夢ではないと思えるほどです。

既に日本語への翻訳の取り組みも始まっているし、スペイン語、ヒンドゥ語バージョンなどもあります。


創業者のカーン氏が、このサイトを立ち上げた経緯や思い、現在の教育の問題点などについて語っている下記の本を読みました。

世界はひとつの教室 「学び×テクノロジー」が起こすイノベーション

世界はひとつの教室 「学び×テクノロジー」が起こすイノベーション



その中の一部を引用

私もひとりの親として、わが子が世界でいちばんかわいいと思う気持ちはよくわかります。どんな母親も父親もそうでしょう。それは生物学上の問題です。


しかし、この生物として自然な親の愛情には、何やら危険な影響がつきまといます。ときに私たちは、個人としても社会としても、子どものためなら身勝手になってもかまわないと考えることがないでしょうか。


どう見ても、これでは偽善者です。それでも私たちは、みずからのDNA、みずからの家族のために行動します。感情的には正しいけれど、道徳的には誤っていることを、自分たちには無条件で認めます。わが子が教育を受けているかぎり、よその町、よその国、よその大陸のこのことなど気にもかけません。


しかし、この孤立主義的・自己優先的な立場をとることが、本当にわが子のためになっているのでしょうか?


私はそうは思いません。むしろ、不平等が拡大し、不安定さが増す世界で生きることを子供に強いるようなものです。わが子を救うもっともよい方法は、すべての子供を救うことです。


この文章の最後の部分。あたしも以前、これとほぼ同じ意味のことをツイッターでつぶやいた(つもりだった)んだけど、結果としてちょっとした炎上になりました。

今回この文章を読んで、「なるほど、こういう言い方をすればいいのね」と学んだ次第。まっ、ここまで間接的な言い方をしたら、何を批判してるのか理解できない人も多そうだけど。


★★★


そうなんです。

わが子を救うもっともよい方法は、世界中のすべての子供を救うことなんです。


なのに世界は反対に向かおうとしてる。強烈な憎しみを子どもたちの心に植え付け、将来への希望を奪い取るという方向に。


そんな方向に進んだら、自分の子供の将来も危うくなる。
なんでそれがわからないかな。


そんじゃーね