名前が“振り込め詐欺”に変わりましたね。これは役所(警察)としてはなかなかいい対応でした。行動も迅速だったし、よく考えてる。
基本的に、どんな嘘をつこうと、最後は“すぐに振り込んでください!”となるわけですから、振り込め詐欺という名前が一番わかりやすいよね。
最初は、「バカだなあ、なんでそんなのにだまされるかな」と思っていましたが、テレビとかで、「誰でもだまされる(可能性がある)。一番だまされるのは、俺はだまされないと思っている人である。」というような話がよくでてくるので、ちきりんも考え方を変えました。
確かに「私もいつだまされるかわからない」と思っている方が、だまされにくそうだしね。
ところで、この犯罪は、まあもちろん罪ではあるのだが、結構ちきりんは憎めない感じがするのよね。第一に、命や健康を奪う犯罪ではないこと。次に、だまされる方も「完全無過失」とはやっぱり思えないこと。最後に、犯人側に努力と才能が感じられること。
ああいうことやってる人、こんなにうまくやれるんだったら、まともに起業でもしたらもっと儲かるんじゃないの?とさえ思います。
会社組織みたいにマニュアル作って、ターゲット顧客を明確にして連絡リストを入手して、仕事に向いた人を選んで採用してトレーニングして、何度もトライアンドエラーさせて実戦訓練をつませて・・・ほんと、こんなことやらずに合法的なビジネスで起業した方がいいですよ。
その上、次々と登場するだましの口上が、人間の弱いところをついていてとってもおもしろい。最初から並べると
・息子さんが交通事故を起こした
・留学中の息子さんが訴えられた
・ご主人が、電車で痴漢した
・息子さんがエロサイトの料金を払ってない
・医者である息子さんが医療ミスを起こした
・息子さんが、ある女性を妊娠させた
これ、共通点は“全部男性”ってこと。息子かご主人なんですよね、登場するのは。「いかに男性って信じられていないか」がよくわかる。ちなみにだまされる方は男性も女性もあるようです。妻、母、父ですね。そういう人から、男の人って何やるかわかんない、と思われてます。
もう一つの考え方は、男性の方が失うモノが大きい、ということ。例えば、ちきりんが交通事故を起こした。でも失うモノは少ないよね。たとえ逮捕されても、賠償金を背負うことになっても。男の人だと、これのせいで仕事や出世の可能性を失うと大変だ!ってのがあるんでしょうね。
「一時の気の迷い(であるはず)の痴漢で一生を棒に振るのはまずい」というやつね。失うものが少ない人は強いです。
それに、このリストが、まさに「やりそうなこと」なわけですね。それが笑えます。
今後なにがでてくるかな〜と考えてみましたが、思いつかないんです。でもね、必ず新しいことがでてきます。その辺、すごい努力がなされている。新しいネタを考えて、ちゃんとしゃべりのシナリオも作るわけで。
あと、お金ってあるところにはある、と思いますよね。数百万とか数千万とか・・・
いくらかわいい息子、夫のためでも、そんなに払ってどうするよ?って感じがします。交通事故なんて、普通は保険があるんだから、示談で二千万はらうより、保険で一億払う方が良いでしょ。
そもそも交通事故は重過失だけど、懲役になる可能性さえほとんどないんだからね。が・・そういう論理的判断ができない状態に追い込むってのが、ポイントらしいです。
それにしても、当日振り込めるお金が数千万円、数百万円ある人がそんなに沢山いること自体がすごい。ちきりんはホントにそんなにお金が必要になったら、株売ったり、投信解約したりで、現金化に数日はかかります。普通預金とか定期預金とかにみんなそんなにおいているのね。びっくりです。投資にお金が回らないはずだわ。
だまされて大金をとられちゃった人のその後、ってのも興味あります。ちょっと不謹慎だけど。
ちきりんは、もし母がだまされちゃったら・・・母のお金だし経済的にはどうでもいいけど、母が落ち込んだりしそうだから心配になりますね。
これが、お金を共有保有している夫婦の間だともっと深刻かもね。「なんてことしてくれたんだよ、お前」って話になりそうだ。これかわいそうだと思いません?だって、奥さんも母親も、ご主人や息子を思うあまりお金を出したのに、それで責められちゃうのよね。「お前は俺を信じてないのか」とか。悲しくなっちゃうわよね。
「もし本当だったら、私がお金を振り込んでなかったら、あなたは痴漢で捕まって、仕事だって首になってたかもしれないのよ!」とか言いたくなるかも?その辺、人間関係も試されそうに思います。
というわけで、振り込め詐欺、すごく人間くさい犯罪ですね。決して正当化する気はないんですけど、時代背景を反映した犯罪だと思います。
食べるに困っている戦後すぐだったら、誰もこんなお金払えない。みんな豊かで、失うモノを多く持っている、そういう時代です。
みなさん、気を付けましょう!
ではまた