植草教授、また「警察のでっちあげ」だと言ってるらしい。でも同時に「覚えていない」とも言っているらしい。矛盾してるように思えますけど、警察発表だけの段階なので、まだよくわかりません。本人も混乱してる状況なんでしょう。
同様の犯罪で3回目の逮捕です。最初は野村総研のエコノミストだった頃、98年です。電車の中でボックス型の4人がけの席があるでしょう。二人ずつ向かい合うタイプの座席。あそこで女性の前に座り、自慰行為を行って逮捕。次が04年で品川駅のエレベーターでミニスカートの後ろから手鏡。んで今回はおしりを触る痴漢。うーん、痴漢行為の全部のタイプをやってますね。
所属は一回目が野村総研、二回目の事件の時が早稲田大学の大学院の教授、今回は名古屋商科大学の客員教授です。野村総研はまあ仕方ないでしょう。一回目の犯罪がほとんど報道されてないので、早稲田も仕方ないでしょう、知らなかったんだと思う。でも、名古屋商科大学は「勇気あるよね」と思います。つーか「よくやるよね」と。
痴漢系と万引き系は、犯罪というより「性癖」なんで、治らない、とほぼすべての専門家が言います。しかも2回目の時、警官に捕まってますが、これは「尾行を受けていた」ということです。警察は認めませんが。「たまたま警官が痴漢を見つける」なんてありえないんです。万引きも同じです。悪質な常習犯がいる、という通報に基づき、警官は毎日同じ電車の同じ車両に乗ったりして犯人を待ち伏せするんです。で現行犯で逮捕できる機会を待つ。
だから、痴漢や万引きで誰か(身内とか自分の会社の人)が捕まった、と聞いたら、一番大事な質問は「誰に捕まったのか?」です。女性に突き出された、なら冤罪の可能性もあります。周囲の人につきだされたら、冤罪はあり得ないが、初犯の可能性はあります。警官に捕まった場合は、「常習犯」です。万引きも同じ。スーパーでいきなり警官に捕まるなんて変でしょ。スーパー側が「あの女が来た!」ということで、警官を呼んで一緒に監視カメラで見張ってるです。そこで現行犯で押さえる。
この二つの犯罪について言えば、「警官に捕まる」というのは、イコール「悪質な常習犯」ってことです。
★★★
彼の経歴は、企業の後、大学、大学でしょ。今の名古屋商科大学が彼を雇った時、ちきりんはびっくりしました。すごいリスクとるなあ、って。自分の大学の女子学生に被害者がでたらどーすんだろ?って思いました。「大学って、やっぱまだ甘いんだなあ〜」と思いました。だってね、企業、大学、企業っていうキャリアはこの人にはあり得なかったと思いませんか?あの二度目の逮捕の後、まともな企業で彼を雇う会社なんて「ありえない」ですよ。それが「大学だったら、あるんだ!」というのが、ちきりんが驚いたことです。
しかもこの人、エコノミストとしても別に何の業績もないですよ。アカデミックにも学卒だし、小泉政策に提言してた内容も無茶苦茶時代遅れで筋違い。単に「マスコミに顔が売れている」ということ以外なんもない。そういう人で、しかも痴漢の常習犯を雇うって、どーゆー判断なんだ?名古屋商科大学。
ここの大学、最近はやりのMBA教育にも力を入れているようですが、「リスクマネジメント」「HRM」などの授業で何を教えているのか聞きたいものです。つーかさあ、そこまでしないと生徒が集まらない大学って、いかがなものかと思います、はい。
次に彼が捕まる時の肩書きが、また「○○大学」だったら、まだ、そんな大学が存在するとしたら・・・絶望しちゃうわ、ちきりんは。
はい。
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「一度でも犯罪を起こしたら、どこにも雇ってもらえなくなるべきだと言っているのか?」って?いいえ、そうではないんです。彼が心から反省し再起を近い、それを信じた「誰か」が彼を雇うのは問題ないです。「誰か」です。個人が運営している組織、ということです。社会的な信頼を失った人がやり直す方法は、自分を信じてくれる個人の信頼に応えるところから始まるのが普通だし、たいていそれしか方法はありません。
ちきりんがどーしても気にかかるのは、「個人」ではなく「社会的組織」の代表格である「大学」というものの倫理観、もっと言えば、「男女差別感」です。
大学には、こういう犯罪を「軽微な犯罪」と考える素地があるんでないの?と言う気がしています。誰か一度、企業と大学でどちらが「セクハラ」が多いか、ちゃんとした調査をしてほしい、と思います。韓国で実験結果の偽造で捕まったファン教授が、自分の研究室の女性研究員から実験用の卵子の提供を受けていたことが問題視されました。日本の大学院にも、学位認定のために自分を女性として見る教授や指導教官に、何も言えないままの女性の学者の卵の方がたくさんいらっしゃるんではないの?ってのが、ちきりんの「疑惑の目」です。
昔は企業でも大学でも状況は同じだったと思います。でも企業の方はここんとこ大きく改善されはじめた、と思います。特に海外進出している企業は、まじめに取り組まないと「数百億円」みたいな訴訟につながってしまいます。女性の支持を失いたくない消費財形の企業やサービス企業も同様です。死活問題になりつつあるから、真剣に取り組んでいる気がします。
でも・・・大学の取り組みって、すごく遅れているのでは?そして世間の人もそれを当然(仕方ない)と思っているところもあるよね。植草さんを、早稲田の後、民間企業が雇っていたら大変な騒ぎだっただろうと思います。その会社へのマスコミ取材も相次ぐし、株主総会でも質問がでたでしょう。でも、名古屋商科大学なら皆「ふううん、よっぽど先生のなり手がないんだな」くらいの感じです。皆、期待さえしてない。それでいいのか、名古屋商科大!?って感じです。
★★★
「スカート覗いたくらいで、かわいそうに」・・・そう思って彼を雇用したのではないですか?名古屋商科大学の皆様。
「スカート覗いた“くらいで”」という感覚が、どれくらい「甘く」て「やばい」判断か、企業はもう気がつき始めているけど、大学が気がつくのはまだまだ時間がかかるでしょう。マスコミと同じだよね。「最も先端的なことを発信すべき組織こそが、最も古くさい。」そーゆー感じ。
ではまた明日
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注)ちきりんは、こういう痴漢行為を“殺人”とかと比しても重罪だ!とまで言う気はありません。客観的に「微罪の範疇である」という考え方に反対もしません。でも、この手の犯罪を「微罪だ」と言う感覚が、女性にとって一生を左右する問題になっている、というのも、また事実だと思うんです。
女性研究者が「教授からのセクハラを甘受するか、博士号を欲しいか」という判断にさらされるとしたら、どーですか?セクハラが微罪だと“しても”、被害者の女性にとっては一生のキャリアの問題でしょう?企業と違って、大学の研究者って簡単に転職もできないのだから。
男性の立場でも想像くらいはできるでしょう?「教授のお母さまと継続的に性的関係を持たなければ、あなたに博士号は与えない。」って言われたら、どう??これ、微罪?ほんまかい、という気がするちきりんです、はい。