自分を守る能力

何かよい結果が出たとき、

(1) 「運がよかった!」と思う人と
(2) 「オレはすごい!」と思う人がいます。


反対に、何らかの悪い結果が出たときに、

(1) 「運が悪かった」もしくは、「あいつのせいだ」と思う人と
(2) 「自分のせいだ。自分が悪かったんだ・・」と思う人がいます。


いずれも(1)の人は、その結果を引き起こした原因が「自分の外」「自分以外のもの」にあると考えており、反対に(2)の人は、理由や原因は自分の中にあると考えます。

中には、よい結果の場合には「自分がすごい」と内に理由を求めるのに、悪い結果の場合には「あいつのせいだ」と考えて、「自己中」と誹られる人もいます。

反対に、よい結果の場合には「○○さんのおかげ」と考え、悪い結果の場合に「オレはもうダメだ!」と落ち込み、「謙虚すぎる。もっと自分に自信をもつべき」と言われる人もいるでしょう。

いい結果がでた時、もしくは悪い結果がでた時に、自分がどういった考えをする傾向にあるか、あらかじめ理解しておけば、状況を客観的に理解できます。また自分の周囲の人に関しても、それぞれの時にどういった反応をする人なのかを事前に知っておくと、無用な軋轢が避けられます。


★★★


小中学生時代、算数の問題を自分で解いた後、巻末の解答ページを見て答え合わせをしますよね。つきあわせた答えが異なっていたら、「99.99999%、自分が出した答えが間違っている」わけですが、中には「巻末に書いてある答えが間違っている!」と考える人もいます。

俄には信じがたいかもいれませんが、こういう人は実在するんです。

なぜ実在すると断言できるかというと・・・昔、ちきりん家には、こういう人が5人もいたからです。


そこまで図々しくなくても、なにかに失敗した時に、「なぜ?」という言葉が頭に浮かぶ人は少なくないでしょう。

この場合の「なぜ?」という言葉には、ふたつの意味があります。ひとつは純粋に失敗の理由を知りたいという意味ですが、もうひとつは、「自分はちゃんとやったのに、なぜ結果がよくないの?」という不満がこもった疑問です。

実際には「自分がちゃんとやってなかったから」失敗しただけなのですが、人は無意識に自分をかばいます。「自分の努力は報われて当然」という気持ちが「なぜ?」を呼ぶのです。


レシピ通りに料理を作ったのに、食べた人に褒めてもらえない場合も、外責的な人は「選んだレシピがダメだった」と思うか、「あの人(食べた人)は、あまり味覚が鋭くないよね」などと考えます。

実際には「あんたの料理が下手なだけ」という場合が大半ですが、自分ではそうは思いません。外責的な人の「自分をかばう力」は、なかなか侮れない、かなりすごい能力なのです。

そして、こういった能力こそが、まさに「自分を守る能力」だとも言えます。もともとのレシピがイマイチだったのに、美味しくない料理を目の前に「私は何をやっても巧くいかない人間だ。本当に私はダメだ」などと落ち込んでいたら、とてもつらいですよね。

仕事でも同様で、なかなか結果がでない時、すべてを自分のせいにしていたら、自分で自分を痛めつけてしまいます。

あまり思い詰めず、「自分を守る能力」を身につけるという意味でも、「結果の善し悪しの原因は、自分の中にも外にもあり得るのだ」と、日頃から意識しておくとよいでしょう。



んではまた!