想像力欠如

北朝鮮のミサイル関係で、国連安保理の制裁決議云々の話の報道。

なんだか、違和感の多いちきりんです。どっちかいうとマスコミより一般の人の反応の方が余程まともな感じ。

「まだ話し合いの余地は残すということですか?」と信じられないような質問を小泉首相にしたテレビキャスターがいましたが、ちょっと「戦争」にたいする想像力が欠如してる気がする。

「話し合い以外の解決方法」って何?、本気でやる気あるの?? 防空壕掘ったり、疎開するような生活をホントにやる気あるんかい??

ないですよ、私には。


実効的な制裁、たとえば中国や韓国が本気で北朝鮮支援を止めるとか、海上臨検をやる、みたいなことになったら、あの国は無茶をするしか方法がなくなるじゃん。

アメリカのイラクのように、「泥沼になっても戦争する」という覚悟が決まっている時以外、そんな追い込み方をしたらあかんのよ。

でも、脅かすのは大事なの。だから、「それをほのめかしながら」「違うところに着地する」ってのは、すごいまともな外交です。

それを「結局骨抜き」とか「日本は孤立」とか言ってる人って、一度どういう思考をしてるのか聞いてみたいもんだす。


★★★


一般の人ってのんきでしょ。ごく普通に今も生活してるでしょ。まさか戦争が起こるなんて思ってないでしょ?

それは一面では「思考停止による平和ボケ」とも言えるけど、ちきりんは「本能的に戦争なんてないと確信してる」という意味で、まともだと思います。


戦争なんてしたい人、いないよね。アメリカはイラクで手一杯だし、中国・ロシア・韓国は国境を接した国との戦争なんて絶対したくないでしょ。

もっともやりたくないのは金正日です。日本と北朝鮮が戦争したら、日本人は「誰か死ぬけど、私じゃない」可能性が高い。でも、戦争したら金正日はなんらかの形で必ずアウトです。死んじゃうんです、

死ななくてもフセインみたいにアメリカで牢屋に入ることになります。自分が絶対にアウトだとわかってる人は戦争したりしない。こっちがなんにもしないのに、攻めてくるなんてアホなことはしないってば。


ところが、やたらと日本の人って「戦争したがってる」ように見える。「まだ話し合いの余地はあるんですか?」ってなんやねん??


★★★


冷静さを失っている、というよりは、「想像力の欠如」が一番の問題だと思う。

戦争が起こったらどうなるか、自分が年をとったらどうなるか、なんでも同じ。

先を考えなければ楽しく、好きなこと言ってくらせる。

普通の人はそれでいいけど(その方が人生楽しいし!)、少なくとも「ジャーナリスト」だと自称する人はもうちっとまともなこと言って欲しい。


先制攻撃論を唱える人もどーかしてる。「言うのはいいけど」「実行はあり得ない」です。

基地だけ叩いて、そしたらいきなり金正日が「ごめんなさいっ!」って謝って、すべてが解決するの?

その後はどうなるのか、こういうこと言う人って「その後のシナリオ」をちゃんと示しているか?

先制攻撃論自体を言うのは悪くないです。強気は見せておけばいい。(実際には、今これを言う人の多くは総選挙狙いだと思うけど)でも実行はありえない。


★★★


というわけです。

アメリカは最初から戦争やる気があるから、戦争やろうとしてるから、相手を追い込むのです。日米開戦の時もそうだしイラクもそう。戦争やるために、相手を追い込んでいく。相手が暴発するように挑発し追い込む。

でも日本は違うでしょ。戦争なんてやる気無いんです。

私たちがまず明確に意識しなければならない問いは、追加の制裁措置の検討でも、今回の決議の評価でも、先制攻撃論の是非でもない。「戦争を本気でやる気あるんですか、我が国は?」ってことでしょ。


後先考えず無茶をするのはやめたほうがいい。なんも考えずに犬を蹴飛ばしてかまれましたと。そんなの許されるの小学生までです。



ではまた明日


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