ぐちゃぐちゃにして放り出すアメリカにうんざり

イスラエルとハマス(ガザ地区にあるパレスチナ人の組織)間での爆弾攻撃が激しくなっています。

当然ながら多くの民間人犠牲者が出ているし、それぞれの国の子供が相手側の大人に虐殺されたり、地上戦も始まるかもという緊迫した状況です。

このエリアの紛争は今に始まったことではありませんが、私は 1995年頃にこの地域を“観光客”として訪れているので、それなりに平和な時期も断続的にはあるんです。

でも何かのきっかけがあると、スグに爆弾が飛び交い始める。


イスラエルは先進国だし、なによりアメリカの全面的な支援を受けています。

てか、事実上アメリカの飛び地領土的な国ともいえるくらいなので、常に最新鋭の軍事力を備えています。

一方ガザ地区のパレスチナ人は、そもそも国家自体がまだ成立してないから全員が難民とも言える状況だし、産業もなく極めて貧しいエリアです。

私は当時、バスでイスラエルの支配地から(ガザ地区ではなく、ヨルダン川西岸のほうの)パレスチナ自治区に入ったのですが、

検問所を超えてパレスチナ側に入ったとたん、今までの近代的な町並みがいきなり瓦礫とホコリに溢れ、壊れかけたビルばかりのスラムのような風景に変わったことに、心底びっくりしました。

日本もパレスチナ自治区での病院建設など人道援助をしていますが、イスラエルはそうした施設も含めて遠慮無く爆弾を落としてぶちこわします。学校も病院も、作っても作っても壊される。悲惨としかいいようがありません。


ここんとこ中東はあちこちで紛争が広がっていて、下手すると大規模な戦争が起こるんじゃないかと心配です。

アラブの春以来、大変なコトになっているシリアでは、なんと国民の 4割にあたる 900万人が家を追われ、難民化していると報じられています。

アサド大統領と反政府軍の戦いが収まらないわけですが、ここでも反政府組織を支援しているのが、アメリカです。

反米的なアサド政権を倒したいのでしょうが、アメリカが反政府軍への武器や資金の供給をやめれば、内戦は(アサド政権の勝利という形で)終結するはずです。でも、いつまでもいつまでも彼らは諦めない。

アメリカはこの「他国の政権を、反米的だという理由で倒しに行く」のを、シリアだけでなく、イラクでもやってました。

2003年「大量破壊兵器がある!」といちゃもんをつけて、サダムフセイン政権を倒しにいったのです。


アメリカとしては、シリアのアサド大統領も同じように倒したいのだと思いますが、「いったい、あんたに何の関係があるん?」って感じです。

イラクに関してもフセイン政権を倒した後、(アメリカ側兵士にも)多数の犠牲を出しながら長年駐留していましたが、3年ほど前に撤退。その結果、イラクもまた不安定化して、クルド人、シーア派、スンナ派の間での内戦が始まってしまいました。

たしかにサダムフセイン氏は強権的で独裁者だったのかもしれない。

でも、イラクの人々にはそれなりに(爆弾の飛んでこない)安定した日々があったはずです。


独裁的な指導者がいてマイノリティを差別しているなら、長い時間かけてでもその国の人たちが問題を解決すべきなのであって、アメリカが(口だけならともかく)手まで出す必要はありません。

民主化はその国の人たちが立ち上がって行えば良いんです。

いきなり地球の反対側からでていって「独裁はダメ」とかいって、爆弾落としてぐちゃぐちゃにして帰ってくるとか無責任すぎるでしょ。

アサド大統領だって、よくない指導者なのかもしれない。

だからといって、延々と反政府軍を支援して内戦を長引かせ、シリア国内全部を住めない土地にしてしまう(国民の 4割もの人を難民にしてしまう!?)必要があるんでしょうか?

その上、石油のでない北朝鮮の独裁者や、サウジアラビアなどの「親米的な独裁政権」に関しては放置してるわけで、アメリカの行動もわかりやすすぎます。


しかもアメリカは長年、中東のあちこちで、反米政府と戦う抵抗軍にふんだんに武器と軍事訓練を提供してきたため、それらの武器が回り回って他の国でのテロや紛争につながっています。

これではまるで、テロを養成してるようなもんです。

イスラエルも、貧しいパレスチナにあそこまで本気になる必要は全然ありません。

なのに、世界で唯一イスラエルを止められるアメリカは、彼らに一切の口出しをしないのです。

アメリカが認めてくれている限り、イスラエルの暴走は止まらないでしょう。

もちろん、未だに事実上の恐怖政権であるロシアも、あちこちの海で他国を挑発し続ける中国もかなり鬱陶しいです。

でも、それらに比べてもアメリカは、ダントツに鬱陶しい国だと、私は思っています。


そして日本だってもうちょっとなんか、異なるポジションがとれるはずなんじゃないでしょうか? 

アメリカと仲良くするのはいいけど、イスラエルにそこまでの義理がある? 

むしろ石油輸入の多くを中東に依存してる日本にとって、アラブの国との関係はとても重要なはず。

こんな無茶な状態になりつつあるのに、「イスラエルさん、止めましょうよ」と言えない国が、安保理常任理事国になるなんてありえない。てか、なりたいと言うこと自体が恥ずかしい。

集団的自衛権ではあれだけ議論しながら、中東で起こってるこんなめちゃくちゃなことには、ここまで無関心だなんて、本当に不思議です。



そんじゃーね

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