経団連の攻防 “移民編”

前に、「日本の今後数十年のキーワードは高齢化を含む人口減少だ」と書きました。その絡みで移民政策についても何度か積極的なことを書きました。

移民については賛否両論が大きく分かれ、友達からも「あれについては自分は意見が違う」と何度か言われました。

なんだけど、もう「移民に反対」なんて議論は成り立たないだろうと、ちきりんは思ってるんだよね。ノーチョイス。移民なしでは成り立たないっす、私たちの国は。

議論の対象になるのは「いつ」とか「どう」とか「どのレベル(の人数)で」とかだけなんじゃないかな。


なんだけど、この話は今日は省略。今日の本題は、この「移民が必要」という話が、最近は別の方向から出てき始めたなあ、ってことについて。

★★★


今までは、移民が必要という議論は主に、

(1)人口の減少による経済規模の縮小、活力減少問題
(2)高齢者介護と医療の担い手不足問題

という2面からでてきていました。


でもこの二つの理由、あんまり「パワーがない」のよね。だから話が進まない。

だって(1)はマクロには問題だけど、ミクロにはかなりどーでもいい。

少々経済が不活性化したって、日本の今の経済レベルからすればせいぜい「海外旅行はできなくなります」とか「ブランド品は買えなくなります」とか「節約して暮らしましょう」くらいな話だろうと皆が思ってる。

マクロ的には、世界第2位の経済規模が15位になることは大問題かもしれないけど、個々人のレベルではそんなことが「心配で眠れない!」ってな人はいないよね。


(2)についても、問題が顕在化するのが、まだ先、なんです。

今、介護が必要とされてる世代はちゃんと子供を3人生んでいる。だから介護してくれる人がちゃんといる。だから現時点では、孤独死が増えてきましたね、という程度ですんでるんです。大半の人たちには危機感が感じられない。

子供を一人、もしくはゼロしかもたない人の多い世代が老後を迎えるのは、まだ早くて30年後なので、危機感が醸成されないんです。人間は30年も先のことを考えて心配で眠れない、というふうにはできてませんから。


ところが!


ここんとこ、「パワフルな理由」がでてきました。移民政策を一気に進展させる可能性のある超パワフルな理由。


日本でパワフルな理由と言えば?


そう、


泣く子も黙る経団連!



彼らが「工場で(安い賃金で)働く(元気で病気をしない若い)人間が必要だから、移民を入れろ」と言い出したのです。


これは強力ですよ。すごい強力。なんたって、今や日本で強力なパワーと言えば道路族と経団連だけですからね。


★★★

豊かになった日本には、安い賃金で文句も言わず、厳しい製造現場で働こうという若者が不足してる。日系移民も数に限界がある。なのでいよいよ「日系ではない移民もそろそろ入れてくれ!」と経団連が言い出した。

移民なんていれたら、失業してるフリーター日本人はよけい職がないって?

ヨーロッパと同じですよ。移民がやるだろう仕事、経団連が移民にやらせたい仕事と、日本のフリーターがやりたい仕事は全然ちがう。


経団連って、ホントに笑える。地方議員や道路族と同じくらいやることがわかりやすい。ストレートなんだよね。子供みたいだ。

あれがほしい、これがほしいと自分が欲しいものを、周りを頓着せずに主張する。なんの捻りも建前もない。

ほんとに時代遅れでうざい団体だよ。


そんじゃあね!