年功序列の組織では年齢が上がるとポジションも上がり給料もあがりますが、「実際の仕事をしているのは若手のオレなのに、なんで部長の給料があんなに高いんだ?」と思う時もありますよね。
いったい給料とは何の対価なのでしょう?
新入社員〜3年目まで
(1)作業の対価・・・80%
(2)服従、拘束への対価・・・20%
“作業の対価”は、文字通り、指示された作業をやることの対価で、バイトの時給と同じようなものです。働き初めて3年程度はこの比率が非常に高いでしょう。バイトと違うところは、“水曜日は午後から”など、都合のいい時間だけ働くわけにはいかないし、残業も否応なく引き受ける必要があること。それが二番目の“服従、拘束への対価”です。
つまりは、「毎日、決められた時間に出勤すること」「言われたことをなんでもやること」が仕事。だから一生懸命で、まじめにやる人が評価されます。
3年目〜平社員の最後まで
(1)作業の対価・・・60%
(2)服従、拘束への対価・・・20%
(3)我慢への対価・・20%
作業の対価が給与の6割程度と新人時代より比率は小さくなりますが、実際にこなしている仕事の量は新人より多いです。またそこには若手の指導・育成も入ってきます。もちろん服従、拘束への対価も存在します。
加えて、我慢への対価も上乗せされます。下についた新入社員がどんなにダメダメでも我慢、上と下の板挟みになって文句のはけ口がなくても我慢、顧客の理不尽なクレームにも我慢です。
誰が悪くて起ったトラブルであろうとも、現場のクレームの大半はこの立場の人が謝って抑える必要があります。“ストレス”がたまり始めますが、だからこそ給与にその対価が入ってくるのです。
マネージャー、課長、部長
(1)判断の対価・・・50%
(2)組織管理の対価・・・30%
(3)仕事実務への対価・・・20%
いわゆる“管理職”になると、給与の意味は一気に変わります。
通常業務が巧くいっている時は社員だけでも仕事はまわります。管理職の重要な責務は、非定型なことが起った時に判断をすることです。
平社員なら「大変なことが起りました!どうしましょう!?」と言えますが、この立場では「それは大変だ!よし、こうするぞ!」と決めないといけません。
トラブルや突発事項など「何があっても、なんとかする」のが仕事であり、「逃げない」ことが最も重要です。だから、“自分スタイルのなんとか仕方”を習得しないとつらくなります。反対に、どんな時にも社長や役員から「なんとかしておけ」と言ってもらえるようになれば立場は安泰です。
仕事実務(作業)の割合が低くなるのがこの時期の特徴で、だから下からは「部長は何をやってるんだろう?」と思われたりもします。
経営者(取締役)
(1)資源配分への対価・・・50%
(2)結果責任を負うことへの対価・・・50%
経営者も“判断”が仕事ですが、その判断は特に“資源配分に関わる判断”に集中しています。
手元のお金をどの事業につっこむのか、優秀な人材にどのビジネスを任せるか、切り札となる技術をどう利用するか、次の1ヶ月の優先順位はどれか、など、時間、金、技術、人などの、企業がもつ限られたリソースの使い道を決めるのが経営者の仕事です。
また結果責任を負うことも経営者報酬の対価です。業績が悪ければ職を追われますし、欠陥商品、事故、違法行為などについても、自分の指示かどうかに依らず責任をとることを求められます。
なにかあった時に役員以上の人が「最善を尽くした」と開き直ると世間から叩かれるのも、この立場になればプロセスではなく結果に責任をとる必要があるからです。
アーティスト、プロ選手など
最後に、才能をベースに活躍する職業人の場合、たとえばプロスポーツ選手や、ミュージシャン、アーティストなどは、
(1)才能への対価・・・80%
(2)個人犠牲への対価・・・20%
でしょうか。基本は才能の商売です。ただし、プライバシーをあれこれ暴かれたり、疲れていても笑顔を作る必要があったりと、スターならではの悩みもあります。有名税とも言われる部分が“個人犠牲への対価”と考えられるでしょう。
このように給与の対価は立場によって、また業界や企業によっても異なります。ストレスの大きな仕事をしている人は、そのストレスに耐えることに対して報酬をもらっているのかもしれません。
自分の給与が低すぎる、高すぎると考える時に、まず「自分の給与は何の対価として支払われているのか?」と考えてみてはどうでしょう。
また、自分は何を対価としてお金を稼ぎたいのか?と考えれば、就職や転職に関しても新たな視点で考えることができるかもしれません。
じゃね。