エコナ問題からの学び

花王のエコナが問題になっている。発がん性の疑いのある材料がどうのこうの、とのこと。「商品は安全だが、安心のために発売をやめる」という話は花王のホームページを見てもちょっとわかりにくい。

エコナはおなかに脂肪が付きにくい油ということで人気になり、マヨネーズやシーチキンなど各種の加工食品にまで使われている。洗剤屋の花王にとって機能性という切り口で食品市場に参入できることになった画期的な商品でもある。またここ数年の“トクホブーム”の中心的な商品でもあったと思う。

花王は売らんかな、というタイプの会社ではなく、慎重で消費者目線に敏感な企業だと思う。その企業の目玉商品がこうなんだから、いったい世の中の「健康食品」がどのくらい怪しいものなのか、この事件から学ぶことができるってもんだ。


ここ1,2年、国家が個人のおなか周りを測ると言い出したあたりから、多くの人が健康に敏感になり、健康食品、機能性商品やダイエット食品市場は超有望な市場になりつつある。最近のコンビニでは、「カロリーゼロ」だの「脂質ゼロ」だのいう商品が並んでいる。


なんだけど、

「めちゃめちゃ甘い、カロリーゼロの、コーラ」とか、

「脂質ゼロ」の「とろっとしたゼリー」とか、

飲む気にも食べる気にもなれないちきりんです。


とろっとしてるのは、脂質ではないなら、きっと「糊り」なんじゃないの?



「砂糖は健康によくない」という概念は可笑しい。砂糖はさとうきびという自然産物からとれるんだよ。
良くないのは“砂糖”ではなく、“食べ過ぎること”です。油も同じ。紅花やコーンやゴマなど自然物から絞られる油は多い。不健康なのは“油”ではなく“食べ過ぎる”という行為の方です。


砂糖より、「人工甘味料」っていう物質の方が圧倒的に「不自然」だし「不健康」だ。ほぼすべての「カロリーゼロ」の「甘いもの」には、砂糖以外の“何か”が大量に入っている。健康食品とやらを食べる時には意識をした方がいい。「今、自分が食べようとしているのは、工業製品だ」と。


エコナも同じでしょう。余分な油は体に付くようにできている。それは自然なことだ。だからこそ人間は栄養を体に蓄え、空腹や飢餓を一定期間乗り切る力をもつことができる。

そうならないもの、すなわち「体が蓄積したいと思わないもの」「体が取り込みたいと思わないもの」なんてのは、“自然”に反するものだってことで、なにかしら無理な物質だってことなのだ。

特に“トクホ”というマークをもらうには、それなりの効果を実証する必要があり、「実験で示せるレベルの効果」を出すには、一定レベル以上まで“不自然さ”を積み重ねる必要がある。



世の中は病んでいる。

食べても飲んでも太らない、甘くて脂っこくて美味しい食べ物を、欲望のままにいくらでも食したいという私たち。


健康に気を遣うというのは、カロリーゼロの食品を手に取ることでも、油がつきにくい油を使うことでもない。また、飲むだけで血圧や血糖をさげる「人工的ななにか」を右手で摂取しながら、左手では好きなモノを無規律に食べ続けることも意味しない。


健康に気を遣うとは、「自然な食べ物を適量、楽しむ」ということなのだ。


「いくら食べても太らない甘いもの、脂っこいものを毎日食べ続ける」=「不自然な食べ物を大量に摂取する」というのは、それなりにやばいことだと。少なくとも子供には、あんまりこんな不自然なものを食べ続けさせない方がいいんじゃないかと。

そういうことを再認識させてくれたという意味で、エコナ問題は結構、意義深い。



そんじゃーね。