キャリアのVSOP

誰に聞いたか、何で読んだのか、覚えてないのですが、ずっと昔に聞いて「なるほどその通りかも。おもしろい!」と思ったのが「キャリアのVSOP」という話。

VSOPはブランデーの等級を表す言葉ですが、それにひっかけ、各年代でどうキャリアを積んでいくべきか、アドバイスする話です。


<V:20代はバラエティ>

20代で大事なことは、とにかく多彩な経験を積むこと。

自分が何に向いているか、やってみないとわからない。

あまり頑なに「自分はこれが向いているはず」と思い込み、それ以外のコトは見ない、触れない、みたいな生活をしないこと。

小さい頃から憧れてた職業に就くこと以外なにも試さない人がいるけど、世間をまったく知らない子供の頃の夢に固執しすぎるのもどうかと思う。

それは天職かもしれないが、単なる子供っぽい思い込みかも知れないのだから。

20代にあれこれやってみるのは、決してリスクなんかじゃない。

多彩な世界に触れること、バラエティを保つこと、視野を広め、見えている世界をできるだけ広げておくこと、そして大いに迷うこと、20代ではそれが大事、という話。


<S:30代はスペシャリティ>

30代は、20代で経験したいろんなことの中から「オレはコレで行く!」という分野を見定め、その分野に集中して専門性を高め、「この分野ならあいつ」と言われるよう知識、スキルを築いていくべき時期。

この時期に自分の「コア」を作る、「何の専門家なのか」を明確にする。それが大事、という話。集中と深掘りの30代。

反対にいえば、30代(30才から39才まで)の間にまだ「あれにしようか、それともこっちに行こうか。オレは何をすべきなんだ?」とか言ってたらダメですよ、ってこと。

30代になったら迷わない。そのためにも20代でやりたいことをすべてやって、ちゃんと迷っておかなくちゃいけない。


<O:40代はオリジナリティ>

40代になったら、専門性だけでは勝負できません。日々、新しい技術やトレンドが生まれ、それらにたいして、より高い専門性や感度をもつ 若手が現れる。

だからこの年代で発揮すべきは、マニュアル化できない「自分らしさ」。

「これはあの人の作品だよね」「あの人の仕事はユニークだよね」「そんな考え、普通はでてこないよね!」と言ってもらえる仕事をしないとダメ。

他の人が担当していたら違うものになったはず、自分が担当したからこそ、こうなった、といえる「オリジナルな何か」が必要。

そうじゃないと市場から求められない。

「学んだ何か」ではなく、「自分が生み出した何か」で勝負する。それが 40代。


<P:50代はパーソナリティ>
そして 50代になれば、パーソナリティがすべて。

専門性なんて若い世代にかなうわけがない。オリジナリティだって、持ってて当たり前の年代。

だから 50代になれば、「あの人と仕事がしたい」と思ってもらえるかどうか、人格とキャラが切り札になる。

したがってこの年代までに、人間としての魅力をしっかり身につけておく必要がある。

「あの人がいるからあの会社で働いてみたい」と思わせないと、経営者として人も雇えない。

「ぶっちゃけ内容はよくわかってないんだけど、あの人がリーダーなんだったら内容に関わらずやってみたい」と思ってもらえるかどうか、最後は人間力勝負、という話。


★★★


この話、最初に聞いたのは 20代で、その時もすごく腑に落ち、「なるほど!」って思いました。

そして私もょうどこのとおりにキャリアを積んできました。

20代では水商売から起業の真似事まで多種多彩な仕事を経験し世界各国へも旅行。

“世間的にマトモな人”だけでなくアングラな世界に生きる人を含めていろんな人と会い、憧れだった海外留学や転職も体験しました。

30代では「これで行く!」という分野を決めて邁進。そして 40代は「私の仕事」と言える分野で、「ちきりんならでは」と言われるものを作ってきた。

さらにこれからは「ちきりんさんと会いたい」「ちきりんさんと仕事してみたい」と思ってもらえるかどうかで、できることが決まっていく段階。


キャリアのVSOP。すごくよくできた話だと思うのに、出典がわからなくて残念。ご存じの方がいらしたら教えて下さいませ。



そんじゃーね!

追記)皆様のご協力により、原典の本がわかりました!  しかも意外なオチがあってびっくりしたよ。感謝です!
↓ クリックすると説明エントリに飛びます。
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20120829


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